本作の設定は、「真犯人オンライン」という没入型VRゲームで推理対戦をするというものである。プレイヤーはそれぞれゲーム内世界のキャラクターの誰かに扮し、それぞれ与えられた標的を殺害。完全犯罪を目指してトリックを仕掛ける。捜査フェーズでは探偵役として証言の聞き取りや現場検証を行い、犯行手法と真犯人を暴くことができれば勝ちというルール。互いにどのキャラクターがプレイヤーキャラクターかわからないほどNPCが自然な受け答えをしたり、プレイヤーが殺害ミッションを完了するとNPCには自動でアリバイが生成されたり、幅広い犯行手段がゲーム内で実現できたりなど、まだ最新のAIを使っても実現困難な超高性能ゲームだ。まあそこはどうでもよくて、要するに本物の殺人事件とは異なるゲーム的な設定を前提にした上で、真犯人を推理するところに面白さがある。一風変わった特殊設定ミステリだ。
しかも読者もプレイヤーと同じ条件で推理ができるフェアネスがしっかり担保されている。まるで自分が「真犯人オンライン」をプレイしている気分で推理が楽しめるのだ。これはなかなか面白い体験である。
技術的にも、同じ舞台で同時に二つの犯罪が同時に展開され、それぞれの事件の登場人物のアリバイ、偽や本物の手がかりが矛盾したり破綻したりせず、それぞれ唯一解しかない描写となっていて、相当高度なロジックを組んでいる。そのような見事さも読みどころの一つと言えよう。
本作は今のところ二章までで中断している。しばらく動きがないようだが、今年一月に閑話回が投稿された。続きを首を長くして待つことにしよう。
殺人事件といえば凄惨なもの。それを娯楽として楽しむ読者たる自分は、かなり歪んでいるのではないか。
そんな悩みを吹き飛ばしてくれるのがこの作品です。
殺人事件を作り上げる『ゲーム』の中で繰り広げられる、熱い推理合戦。
『ゲーム』である以上、不謹慎も何もあったものではありません。
熱く推理を戦わせ、終わった後は爽やかな気分になれる。
そんな新感覚な殺人ミステリーでした。
他にも、対戦型の推理という摩訶不思議なスタイルを採用していたりと、本作の魅力は多々あるのですが……。
読んでみればわかります! おすすめです! 是非読んでみてください!