第47話


 世界は海原を越え遥かに広く、そして、思いの外狭い。

 何かを覆い尽くさんとして身をよじる波は、どこまでも等しく連なり、行く手に広がる陽光は、その背を顕わにして目を眩ませる。 

 出会う島(くに)はどれも皆小さく孤立して、他を受け入れることなく、小さな夢を見続ける。

 私の島の王とてそれは同じ。

 あの男の夢もその一つ。

 ただ、その夢は、この世界を根幹から覆し、夢の在りようを揺るがした。

 ただ見る夢から、作り出す夢へ。

 その行く先は、多様でありながら、また、一つ所に収斂する。

 それは、未来…

 幾星霜の闇の彼方。

 それは、私自身につながるという夢の形。

 私は、男の言うことを信じ、道を行く。

 示された行く先にある、確かなものの気配を頼りに。

 何も掴み取ることの出来ない自分を去って、身の置き所となる過去と未来をつなぐために。

 私は男の島へ戻る。

 男の目論見、それすなわち私の存在意義の帰結。

その成就。

天かける槍のその導くままに。


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