終末戦争後の人類の生き残りらしき親子の話です。
核兵器が使用され文明が崩壊し、地表に降り注いだ放射線により、地上の動植物が変質した世界。
本作では、そんな過酷な環境での夏の風物詩である蛍が描かれています。
作者は、淡々と終わる世界を描いています。
声高に戦争への非難を描きません。
これは、すべてを受け入れた諦観と静寂感が漂う物語なのです。
古来、朽ち草が変じたものが蛍だと言われます。
文明が朽ちた果てにこそ、微かな光は似つかわしい。
そんな詩情も湧く短編です。
終わりゆく夏の日の物憂い夕べに、終末世界の空想に浸るのも悪くないものです。
お勧めいたします。