5.キエラの人々

●カンゼル

 享年:63歳(1940年−2003年10月)

 登場作品:①,⑧(回想)

 キャッチフレーズ:「天才科学者・悪魔の頭脳」

 ジョブ:

 FP:なし

 習得技能:なし

 固有技能:洗脳

 特記事項:デュークと契約しつつ自我を維持し続けた驚異の人間。朝日の祖父。


 はい、すべての元凶、カンゼルさんです。父のザイゼルが年老いてからできた息子で、兄達を打ち負かし、後継者になりました。

 フェルティガエではありませんが頭脳は天才的で、また話術に長けていました。彼が後継者になるまでに闇に葬った人間は、実はかなりいます。


 ナチュリとの出会いやその後のことは、ナチュリのところで述べた通りです。意識を失ったナチュリを地下に連れて行き、ヒールには「母は死んだ。これからはお前が働け」と伝えました。

 ナチュリを地下に閉じ込めたことは、カンゼルしか知りません。デュークの元に閉じ込めたので、不完全ではありますがナチュリは身体の時を止めたまま生き長らえていました。カンゼルは時折彼女の元を訪れては、フェルティガを使わせていました。


 デュークと共闘関係にあったカンゼルですが、意思決定力はカンゼルの方が上でした。まだ宝鏡ほかがみの封印がきっちりなされていたので、デュークも自由には動けなかったんですね。それにジュリアンを生成した際に新たに小さな分身を生み出したためにかなり衰えていた、というのもあります。

 また、カンゼルが王になってから目に見えてエルトラを圧倒していったので、特に文句を言うこともなく、任せていました。


 カンゼルはヒールに対してはわずかに愛情らしきものはあったかもしれませんが、逃げられたことで烈火のごとく怒りました。夢鏡ミラーなどを駆使しずっとミュービュリを探していましたが、ヒールが先手を打ったこともあり、ずっと見つけられずにいました。

 カンゼルが朝日を見つけたのは、朝日が家を出てユウが現れた、あの時です。


 そんな訳で、孫である朝日に対しては「絶対に手に入れたい実験材料」という認識であり、愛情というものはありませんでした。

 ですが実際に対面し、自分に似ていることを感じたカンゼルは本気で彼女を欲しい、と思いました。

 それがデュークにもうつり、デュークの中でもどこか特別な人間という認識になったと思われます。

 『天上の彼方』では、ちょっとだけ若い頃のカンゼルが書けたのが嬉しかったです。自信満々でふてぶてしいんだけど、ちょっとカッコいい。



●ジュリアン

 享年:11歳(1992年−2003年10月)

 登場作品:①

 キャッチフレーズ:「哀しきマリオネット」

 ジョブ:魔術師(攻撃特化)

 FP:10000

 習得技能:★衝撃波,★変化へんげ

 固有技能:なし

 特記事項:ガラスの棺により生成された、言うなればユウのクローン。


 ジュリアンの生成について、カンゼルはヒールにも内緒にしていました。ヒールがユウの管理にかかりきりだったというのもありますが、「これだけの力を持った人間がもう一人できれば便利だな」という思いつきでやってみたことで(この辺、朝日が似てるところ)、あまり期待してはいなかった実験だったからです。

 結果として細胞は順調に復元し、ユウより遅れること七年、彼は誕生しました。

 ですので、元々持っている素質はユウと同じですが、彼はすぐにデュークが生み出した分身によって管理されたので、自我というものがずっと抑えつけられたままでした。FPがユウより高いのも、その影響です。


 ヒールがユウの攻撃性を押さえ、様々な力を使えるように育成したのに対し、カンゼルは元々持っていた攻撃力をひたすら増大させることに力を注ぎました。デュークが支配していたので暴走することもなく、ある意味順調に彼は成長していきました。

 最初はキエラ要塞の地下で育てていたのですが、そろそろ実戦に出せるのではないかと考え、外に出しました。

 しかし見たこともない光景、浴びたこともない光に彼はすっかり委縮してしまい、力が出せなかったので、定期的に外に出して慣れさせることにしました(本能的な怯えだったため、デュークの分身でもどうすることもできなかった)。

 キエラ要塞の北東の遺跡につながっていた地下通路は、そのためのものです。


 そして北東の遺跡を選んだ理由は、誰も立ち入ることのない場所だったからです。カンゼルにとっては最後の秘密兵器だったため、一部の忠臣以外には隠していました。

 最後のあの日、ジュリアンはいつものように北東の遺跡にいました。そこへエルトラ軍が交戦を開始し、朝日とユウの侵入の報告を受けたカンゼルは、今こそジュリアンを使う時だと、北東の遺跡に移動しました。


 ジュリアンはずっと分身に操られていましたが、ユウと闘っている間に徐々にその呪縛から逃れていきます。

 どんな攻撃もユウに躱され、また彼は力をセーブするということを学んでいなかったためにムキになってどんどん放出していき、あっという間に追いつめられました(自分の身体の欠陥のことを知っていたユウがそう仕向けたのです)。

 そしてカンゼルが倒れ、カンゼルの分身も眠らざるを得なくなり、彼を操っていた小さな分身では、彼の恐怖心を抑えることはできず、暴走させることになりました。


 それを救ったのが朝日です。ジュリアンは初めて人の温もりを知り――そして、デュークの分身はジェシカのことが頭をよぎりました。

 その瞬間、瓦礫が崩れ、一瞬だけデュークの支配から逃れたジュリアンは、朝日を突き飛ばして助けました。

 彼が自分の意思で行動したのは、これが最初で最後です。



●ザイゼル

 享年:70代後半(1966年没)

 登場作品:なし

 キャッチフレーズ:なし

 ジョブ:なし

 FP:なし

 習得技能:なし

 固有技能:なし

 特記事項:デュークに操られ、キエラを建国した王


 作中には全く出てきませんが、話には何回か上がっているため、一応。

 元々はエルトラの武官で、東の大地にも進出するべきだと名乗りを上げ、エルトラを出ていった人です。そこで地下への通路を発見し、デュークに取り込まれ、キエラを建国しました。


 デュークに操られたものの、元々は明るく豪快で、男性にも女性にも人気のある人でした。かなりの人間が彼についていったのも、元々彼が魅力的な人だったからです。

 カンゼルは五十を過ぎてから儲けた子供で、息子たちの中でも特に可愛がっていました。だからカンゼルの策略で兄達がどんどん後継者候補からこぼれていっても全く疑問に感じませんでした。

 しかしカンゼルの方はというと、腕力と愛嬌ばかりで頭の弱いザイゼルのことを完全に見下していて、年をとっていたこともあり、陰では「じじい」呼ばわりしていました。



●ディゲの少年

 享年:14歳(2003年没)

 登場作品:①

 FP:4800

 習得技能:★衝撃波,★変化へんげ,★瞬間移動

 固有技能:なし

 特記事項:唯一ユウと二度闘った少年


 公園と無人島、二回闘った少年です。「ディゲでは一番だった」と威張っていた男の子ですね。

 名前を出してませんが、ディゲの中では出番が多かったので入れてみました。

 フェルティガを火炎に変えることができ、瞬間移動も使いこなすので、恐らく本人が言うようにディゲの中ではトップクラスでしょうね。ゲートも3回超えてますし……。ただ、仲間ごとユウを殺そうとするなど、精神的にはだいぶん歪んでいる少年でした。



●幼い少年二人

 年齢:共に24歳

 登場作品:①

 FP:2000ぐらい

 習得技能:★衝撃波,★防御ガードLevel.3,強化

 固有技能:なし

 特記事項:朝日と闘った子供たち


 この子たちも名前が出てないですが、作品中に二回登場しているので入れてみました。

 ユウと夜斗を追って朝日がゲートを越えてきたときに対峙した子供たちです。当時は9歳。一人はフェル切れで倒れ、もう一人は朝日の強制執行カンイグジェで眠らされました。

 二回目はキエラ要塞で。朝日に遭遇し、急いでカンゼルに報告。そのままカンゼルを連れて地下通路を抜け、北東の遺跡まで連れて行きました。カンゼルにありったけの防御ガードをかけ、フェル切れで倒れていたところを保護されました。


 エルトラの保護下で教育をやり直されましたがやんちゃな性格は元々だったようで、フィラには戻らず、今ではエルトラ軍の一員になっています。

 朝日と対決したことは覚えていないはずなのですが、フェルティガが全く効かなかったことがかなり恐怖だったらしく、たまたま朝日とすれ違ったときはビクッとしていたらしいです。

 今は東の大地の開墾に駆り出されています。……若くて元気ですからね。



●ヴィリュ

 享年:15歳(2002年没)

 登場作品:①

 FP:3200ぐらい

 習得技能:★衝撃波

 固有技能:なし

 特記事項:朝日と闘ったディゲの女の子


 上記のディゲの少年と共に公園に現れ、ユウに負けて気絶した女の子。そして二回目は、朝日が無人島で交戦しました。朝日の後を追いかけて山道から落とすことに成功しましたが、そのあとユウに一瞬でやられてしまいました。ムラッ気のある性格。



●スウェン(2002年没)

 享年:16歳

 登場作品:①

 FP:2200ぐらい

 習得技能:★遠視Level.1,★感知Level.1,★幻惑Level.1,★隠蔽カバー

 固有技能:なし

 特記事項:朝日に倒された女の子


 朝日が無人島で遭遇した女の子二人組の片方。朝日に真っ先に気絶させられてしまいました。その後、ユウに抑えつけられて抵抗しているところに、上記のディゲの少年の火炎に巻きこまれ、死亡。

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