17話 つまり、とっても効果のすごいポーションってことなんだね

「一体その短剣はなんなんだ!?」

「えっと……、普通に武器屋さんに売ってた剣だよ?」

「そういえばリーノ君、何か調べたいことがあるって剣をたくさん買ってたよね? もしかして、その剣ってそれで作ったものなの?」

「そうだよ。魔力を込めてみたらこうなったんだよ」

「魔力を?」


 アデルが折れてしまった剣に魔力を込め始める。

 しかし、剣には何も変化は出なかった。


「魔力を込めたけど、何も起こらなかったぞ?」


 それにつられるようにシーナも近くにおいてあった木剣に魔力を込めていた。しかし、シーナの方も何も変化することはなかった。


「もうちょっと強く魔力を込めてみて。こんな感じに……」


 シーナから木剣を受け取ると魔力を込める。すると木剣は以前と同じように青白く光る。


「いやいや、そうやって光ることがおかしいから!」


 前に一度見せているはずなのにアデルは驚いてツッコミを入れてくる。


「うん、きっとコツがいることなんだよ。練習したらアデル達も出来るようになるよ」


 笑みを見せながらアデル達に伝えると彼らは諦めたように苦笑していた。


 ◇


 それから短剣について色々と聞かれてしまったけど、なんとか誤魔化すことが出来たようだった。ただ、絶対に人に使ったらダメだと念押しされてしまったが。

 お店に売ってないようなものはあんまり作るべきではないかもしれないね。

 ただ、その点ポーションは安心だね。薬草と水と魔力だけあれば誰でもできるわけだし、普通にお店にも売られてる。


 これで驚かれるようなこともないよね。


 それに魔力回復ポーションは使うことが多そうだし。

 早速魔力回復ポーションを作っていく。それと一緒にポーションも作っていく。

 出来上がったものは空間魔法で作った空間にしまい込んでおく。


 ◇


 翌日、いつものようにマシェやシーナに魔法を教えていた。しかし、僕の魔力が尽きる前に二人の魔力が完全になくなってしまった。


「もう魔法が使えないし、今日はこのくらいかな?」

「……疲れた」


 二人は少し息を荒げながら膝に手をつけていた。


「お疲れ様。これあげるよ」


 二人に魔力回復ポーションを渡すと彼女たちは驚きを見せていた。


「こんなに高いものを良いの?」

「うん、僕が作ったものだからそれほど高くないからね」


 そのことを伝えると更に二人は驚いていた。


「そんなに簡単に作れるものなの?」

「……私は聞いたことない」


 あれっ、そんなに作り方が知られていないものなのかな?


「とにかく、飲んでみると良いよ。魔力が回復するから」


 シーナ達を急かすと彼女たちはポーションに口を付ける。

 その瞬間に彼女たちの魔力が完全に回復する。


「えっ!?」


 そのことにマシェは目を丸くする。


「……魔力が完全回復してる?」

「うん、魔力回復のポーションだから回復するよ」


 何をおかしなことを言っているのだろう?

 シーナの方もキョトンとしている。


「……ポーションはあくまでも少し直すだけ。これだと完全回復してしまってる……」


 えっと、それはどういうことだろう?

 でも、僕が使った素材は普通にポーションを作る素材なんだけど……。

 そもそもポーションって完全回復するものじゃないの?

 一応普通のポーションの方もマシェに見て貰う。


「これはポーションなんだけど、こっちはおかしくない……よね?」

「……うん、おかしいよ」


 あっさりマシェに否定されてしまう。


「でも、傷を回復するポーションだよ」

「……それは間違いない。でも、ポーションにも色々種類がある。お店で売られているのは一番ランクの低いポーション。これは最上級すら超えてる……」

「つまり、とっても効果のすごいポーションってことなんだね」


 ようやく理解した僕は大きく頷いた。するとそれを聞いたマシェはため息を吐く。


「まぁ、リーノ君ならそうだよね。それよりも魔力が回復したのなら魔法の練習を再開しようよ」


 嬉しそうに言ってくるシーナ。それを聞いてマシェもハッとなる。


「……特訓し放題?」

「いやいや、やり過ぎはよくないよ。それに魔力回復ポーションはそんなに大量に作ってないから――」


 十本くらいしか作ってないので数回しか出来ない。それでも、期待のこもった視線を送ってくるので、僕は苦笑を浮かべた。


「それにしても、リーノ君はどうしてこんなに色々出来るの?」


 不思議そうにシーナが聞いてくる。


「色々って……別に家においてあった本に書かれていたものを読んだだけだよ」


 他に特別なことをした覚えはない。

 しかし、それを伝えるとマシェが目を輝かせていた。


「リーノの知識の源……。きっと、伝説級の本……。ぜひ読んでみたい……」

「別に僕の家まで来たら読めるよ。今度来る?」

「……いいの?」


 目と鼻の先まで顔を近づけてきてマシェが聞いてくる。

 僕が頷くと嬉しそうに両手を挙げて喜んでくれる。

 しかし、その仕草が恥ずかしかったのかすぐに顔を赤くして俯いてしまった。


「そうだ、せっかくだしシーナも一緒に来る? 誰もいないし何もないところだけど、今度の休みにでも――」

「えっ、いいの?」


 マシェが喜んでくれたのだからシーナも喜んでくれるかなと軽い気持ちで誘うと想像以上に驚き、喜んでもらえた。


「でも、リーノ君の家って休みの間に帰れるほど近いの?」

「うん、キッケルの町近くの森から来たからちょっと魔法で飛んでくれば数時間で着くよ」


 当たり前のように答えるとシーナが呆れたような表情になる。


「空を飛ぶ魔法なんて上級クラスの魔法だよ……。それを数時間も続けられるほど魔力が持たないよ。それにキッケルの町って普通に馬車で向かっても七日はかかるよ?」

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