10話 これで全てのダンジョンを走破したことになるのかな?

 再びダンジョンへ戻ってくると最短ルートを通りダンジョンを調べて行った。

 五階おきに強い魔物がいるようだった。


 まぁ強いといっても他の階層より少し強い程度で困るような相手でもなかった。


 そして、三十を超えたくらいからドラゴンなどのAランクの魔物が現れ始めていた。

 ただ、そこまでいくとそれほど多くの数が現れないようで、むしろ上の階より楽になっているかもしれない。


 どうせ一撃で倒せるよね……。


 あとは手加減する必要がないので、変に気を使って魔法を弱くする作業もいらないので安心して魔法を放っていくことができた。


 ドゴォォォォン! ドゴォォォォン!


 周囲に鳴り響く爆発音を気にせずに颯爽と進んでいく。


 一人でこうやって歩いていると昔小屋から出たときのことを思い出すなぁ。


 でも、あの小屋付近にいた魔物より弱い魔物しかいないようだった。

 そして気がつくと五十階までたどり着きそうなくらい潜っていた。


 次で終わりみたいだね。でもこの気配――。


 今までは魔物がいたはずだが、五十階層にはなにも生息していないようだった。

 実際に見てもやはり誰もいなかった。


 ただ、大きい魔力の反応を感じる。

 その反応の方へと近づいていく。


 すると、そこにあったのは巨大な魔石だった。


 そして、それが明るく光り輝くと魔物が現れていた。

 出てきたのは巨大な石の魔物、ゴーレムだった。


 ただ、その巨大さはかなり大きく、今まで見たことないほどの大きさだった。


 もしかして、このゴーレムがダンジョンの守護者的な魔物なのだろうか?


 やはりゴーレムが現れた後も魔力を感じなかった。

 どうやら魔力で動いてるわけではないようだ。

 試しに軽い魔法を使ってみる。

 バシッと何か弾かれるような音がして、魔法が消えてしまう。


「敵発見。排除する……」


 襲いかかってくるゴーレム。どうやらこのゴーレムは魔法が効きにくい素材でできてるようだ。まぁ効きにくいだけなら……。


 ドゴォォォォン!!


 さらに威力を上げた魔法を使うとゴーレムは破裂してしまった。


 これで全てのダンジョンを走破したことになるのかな?


 やっぱり思ったほど難しくなさそうだった。


 これなら学生の間にみんな走破してしまうんじゃないかな。


 そんなことを思っていると奥にあった魔石の一部が欠けて、僕の元に寄ってくる。


 もしかしてこれが走破した報酬……なのだろうか?


 まぁ貰えるものは貰っておこう。

 その魔石を受け取ると僕は元来た道を戻っていった。


 翌日、いつも通りに教室へいくとアデルが嬉しそうに話しかけてくる。


「リーノくん、聞いてくれたまえ。ついに詠唱破棄を成功したんだ」


 僕の肩を掴むと本当に嬉しそうに言ってくる。


 直接見てたよ……とは言えずに僕は苦笑しながら「そうなんだ……」と相槌を打つくらいしかできなかった。


 それでもアデルには十分だったようで、嬉しそうに微笑んでいた。

 そして、ライズが教室へ入ってくるとアデルは自分の席へと戻っていった。


 どこか不機嫌そうなライズ。


 自分の頭を軽く掻くと何か言いにくそうに話してくる。


「あー……。リーノ、学園長が呼んでたから行くように。後のやつは昨日同様ダンジョンで特訓だ」


 えっ、学園長が?

 どうして僕が呼ばれてるんだろう、何もしてないのに……。


 いや、昨日の夜にダンジョンを走破したり、昼間は周りの人にドラゴンの肉を振る舞ったりしていた。

 流石にここまで動いてて何もしてないとは言えないかも……。


 となるとやっぱり怒られるのかな。


 ◇


 少し怯えながら言われた通りに僕は学園長室へとやってきた。

 軽くノックして中から声が聞こえるのを待ってから入っていく。


「失礼します……」

「君は……リーノ君だな。よくきてくれた」


 怒られるかと思っていたが、学園長は笑みを見せてくれていた。


「それでどうして僕が呼ばれたのでしょうか?」


 怒られるのでないなら呼ばれる理由が思い浮かばなかった。


「それは簡単なことだよ」


 それだけいうと学園長はテーブルの上に小さな魔石を置いた。

 その魔石はどこか見覚えがあり、思わずじっくり眺めてしまった。


「あっ!?」


 そして、ようやく心当たりを思い出して声を上げてしまう。

 ただ、それは失敗だったと慌てて自分の口を閉ざす。


 しかし、それを聞いて学園長は満足そうな表情を見せていた。


「やはり君は走破していたんだね」


 学園長にはすべてお見通しのようだった。

 いや、よく考えると僕をこの学園に呼んだのは学園長だ。つまり彼は初めから僕がSランク冒険者ということを知っていたわけだ。


「何が目当てですか?」


 思わず聞き返してしまう。


「いや、特に何かがあったわけじゃないんだよ。やはりお主を入れて正解じゃったな……」


 何か含めたような言い方をしてくる。

 ただ、それ以上言葉を続けないということは今は話す気はないということだろう。


「わかりました。では僕はそろそろ授業の方へ行ってもいいですか?」

「あぁ、それもそうだな。あまりここで時間を取らせてはダメだったな」


 もう戻っても良さそうなので、僕は軽く頭を下げた後に部屋を出て行った。


(学園長)

 やはり最強のSランク冒険者じゃな。

 儂の想像以上の能力じゃ。儂が一月かけてようやく攻略したあのダンジョンを一日で……、いや、ほんの数時間で攻略してしまうとは――。

 既にSランクということもあって本当に受けてくれるかわからなかったが、本当にこの学園に入学してくれるとはな。

 儂も最高の魔法使いと言われていたのじゃが、それ以上の逸材……。

 彼がいればこの学園も安泰じゃな。学園対抗の大会も……。


 学園長は嬉しそうに手元にある『学園対抗魔法大会』とかかれた紙を眺めていた。

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