2021年5月21日 00:26
【5】稼ぐのは「人物視点」か「カメラ視点」かへの応援コメント
作品をカメラ視点で書く参考になりました。書いて下さってありがとうございます。小説の映像化と映像のノベライズにまつわるエピソードを書いていただけないでしょうか?数年前、自分の好きな人物視点の小説がアニメ化されました。しかし、心理描写や説明が大幅にカットされ面白さの減少を感じました。どうすれば小説の面白さを映像化できるのか知りたいです。お忙しいとは思いますが、書いていただけたらありがたく存じます。
作者からの返信
小説の映像化において魅力が半減するケースについては、3つほどネガティヴな要因をあげられます。一つ目。特に一人称視点での小説では心理描写を「モノローグ」に置き換えることになります。ですが、モノローグだらけの映像は展開が遅くなる(モノローグをやるタイミングではドラマの進行が停止する)ため、映像全体の時間尺を考慮したとき、省くべきと判断されることがほとんどだと思います。たとえば、「エヴァンゲリオン」ではシンジ君が電車のイメージの中で頻繁にモノローグを吐きますが、その間、使徒との交戦などのドラマは停止します。これは脚本技術的に常識とされており、「心理的な葛藤」と「状況的な葛藤」は同時に描けないのです。二つ目。説明と描写(視覚)を天秤にかけたとき、描写を優先すべきと判断する現場が多いため、モノローグ的なことを避けたがる傾向があります。なぜなら「映像表現において言葉による説明を多用することは悪」という意見が一般的だからです。要するに、「映画なんだから言葉じゃなく映像で語れ」ということです。そういった芸術的志向からモノローグを避け、小説的な魅力は半減しても、かわりに映像的な魅力がプラスされていると考えるべきかもしれません。第三に、声優なり俳優がモノローグを語るとして、その間にどういった映像を流すのか、かなり工夫が必要になります。ごく一部、先ほど言及したエヴァンゲリオンのように登場人物の長いモノローグを登場させる作品はありますが、その間をもたせるきわめてトリッキーな映像表現となっており、監督の才覚で手を変え品を変えやるとしても、だんだん観衆に飽きられると思います。三つのネガティヴな要因をあげましたが、それらすべてを前提にしても、本気で原作小説と向き合い、モノローグと描写を高いレベルで両立させている作品はあります。個人的なベストは、映画「涼宮ハルヒの消失」。稀有な作品ですので、もしチャンスがあればご鑑賞ください。「どうすれば小説の映像化は面白くできるのか」という問いについての、現時点での最高のお手本であり、一つの答えだと考えています。
2020年1月5日 23:56
今回も勉強させていただきました、自分の考えをまとめるだけでも大変でしょうに。頭が下がります_(._.)_カメラのスイッチ切り替えが多くならないように気をつけないとですねぇ。
こちらこそ、早速のご清覧痛み入ります! m(_ _)m
【5】稼ぐのは「人物視点」か「カメラ視点」かへの応援コメント
作品をカメラ視点で書く参考になりました。
書いて下さってありがとうございます。
小説の映像化と映像のノベライズにまつわるエピソードを書いていただけないでしょうか?
数年前、自分の好きな人物視点の小説がアニメ化されました。しかし、心理描写や説明が大幅にカットされ面白さの減少を感じました。
どうすれば小説の面白さを映像化できるのか知りたいです。
お忙しいとは思いますが、書いていただけたらありがたく存じます。
作者からの返信
小説の映像化において魅力が半減するケースについては、3つほどネガティヴな要因をあげられます。
一つ目。特に一人称視点での小説では心理描写を「モノローグ」に置き換えることになります。ですが、モノローグだらけの映像は展開が遅くなる(モノローグをやるタイミングではドラマの進行が停止する)ため、映像全体の時間尺を考慮したとき、省くべきと判断されることがほとんどだと思います。たとえば、「エヴァンゲリオン」ではシンジ君が電車のイメージの中で頻繁にモノローグを吐きますが、その間、使徒との交戦などのドラマは停止します。これは脚本技術的に常識とされており、「心理的な葛藤」と「状況的な葛藤」は同時に描けないのです。
二つ目。説明と描写(視覚)を天秤にかけたとき、描写を優先すべきと判断する現場が多いため、モノローグ的なことを避けたがる傾向があります。なぜなら「映像表現において言葉による説明を多用することは悪」という意見が一般的だからです。要するに、「映画なんだから言葉じゃなく映像で語れ」ということです。そういった芸術的志向からモノローグを避け、小説的な魅力は半減しても、かわりに映像的な魅力がプラスされていると考えるべきかもしれません。
第三に、声優なり俳優がモノローグを語るとして、その間にどういった映像を流すのか、かなり工夫が必要になります。ごく一部、先ほど言及したエヴァンゲリオンのように登場人物の長いモノローグを登場させる作品はありますが、その間をもたせるきわめてトリッキーな映像表現となっており、監督の才覚で手を変え品を変えやるとしても、だんだん観衆に飽きられると思います。
三つのネガティヴな要因をあげましたが、それらすべてを前提にしても、本気で原作小説と向き合い、モノローグと描写を高いレベルで両立させている作品はあります。個人的なベストは、映画「涼宮ハルヒの消失」。稀有な作品ですので、もしチャンスがあればご鑑賞ください。「どうすれば小説の映像化は面白くできるのか」という問いについての、現時点での最高のお手本であり、一つの答えだと考えています。