『無職転生』に並ぶ怪作
- ★★★ Excellent!!!
一年ほど前に読み始めた時、排泄やシモの描写が(もちろん迂遠ですが)あってびっくりしました。アイドルがうんちやおしっこをしないように、キャラの性器やトイレ描写を潔癖に避ける作品が巷ではほとんどだからです。
さらに、普通のボーイミーツガールでは『いい雰囲気になること』をゴールとして物語が閉じるか、緊密な関係でも性だけ消臭したまま主人公が奮起して突き進んでしまう非人間性があります。
異質な力を以ってしても、泥臭くて『地続きな現実』で苦悶していく主人公。精神が生臭くて大義無し欲望有りなところが身近で好きです。
だからこそ関わる人が増えて人並みに成長していく様にも一層力が入ります。
個人的には、”子供と孫という家族再生産まで描写した『無職転生』”に並ぶ怪作です。ノクターンノベルでなくとも人の営みとして『性』は避けて通れません。モチベーションの源泉であり、苦しみも幸福もその周りに多くあるのですから。
『普通の人間の青臭い理想』と『現実の狭間』が魅力的な”最強モノ”です。