ダチアの華と呼ばれる一号生徒ラダさん。

　ある日、対抗戦以来のライバルであり親友でもある鈴姫さんから、ややこしい相談を受けた。

　二人は総族長の館にご機嫌伺いと称して、訪れることにした……

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　惑星ヴィーンゴールヴに、ヴァンパイア族が初めて移住した時、ラダさんは十七歳ぐらいに見えました。

　ヴァンパイア族、モンスター族もそうですが、年齢はほとんど意味をなさないのです。

　まずその数倍は、確実に歳を重ねているのは確かなのです。

　中には数十倍の者もいると思われます。

　美しい娘であったが、近寄りがたい雰囲気を漂わせているラダさん。

　何かを思いつめているようで、隙を見せないのです。

　ヴィーンゴールヴに移住したヴァンパイア族の子供たちの為に、学校が用意されていました。

　なんでも日本の教育制度を踏襲したそうで、惑星マルスに移転して来る、幾つかの大学に進学できるそうです。

　そのなかに一校だけ、特別の女学校が設立されています。

　ダチア高等女学院、八年制の高等女学校で、ヴァンパイア族の女子にとってはエリート中のエリート校、卒業生はそのままナーキッドに就職出来ます。

　さらにはメイド任官課程が併設されており、ルシファー様のお側に仕えるメイドになれるという。

　ボストンのハイスクールに在籍していたラダさんは、躊躇なくメイド任官課程の女専課程編入試験を受けました。

　もともとヴァンパイア族は美男美女が多いが、ラダさんは図抜けて美しい。

　誰もが任官すればすぐに寵妃になると思ったのです。

　ダチアの制服を着て町を颯爽と歩くラダさんを、人々はダチアの華と呼びました。

　惑星ヴィーンゴールヴには乾季と雨季があります。

　もともとこの惑星は、ルシファー様の根拠地ともいえる、惑星エラムの気候を再現しています。

　エラムはほぼテラと同じ、一天文単位で恒星を公転しており、少し恒星が小さい分、気侯は寒冷となっています。

　しかしヴィーンゴールヴの暦はテラの暦を使用しており、なおかつ学校は日本の教育年度で運営されています。

　そして暦は四月を迎えました。

　ラダさんは八回生になりました。

　入学式に在校生代表として、歓迎の祝辞を述べることになっています。

　つまりラダさんがダチア高等女学院の、一号生徒となった瞬間でもあります。