今回はまさかの「歌で都を落とす」という展開で、ここまで準備してきたものが一気に繋がるのが楽しかったです。
イファルの恥ずかしい愛の詩から始まって、メルが曲をつけ、スズ達が増幅装置を作り、それが最終的に降伏勧告そのものになるとは(笑)。最初は完全に笑いどころだった要素が、ちゃんと戦争を止めるための手段になっているのが良かったです。
特に、オーアルシアがイファルの歌に応える場面は印象的でした。前回まで「助けて」と願うことしかできなかった彼女が、今回は自分からバルコニーへ飛び出し、歌声を返している。救出されるだけではなく、自分の意志を示しているところが好きです。
そこからドライアドまで踊り始め、敵味方関係なく歌が広がっていく光景は、戦争物なのにほとんどお祭りですね。しかもクレアや双子、スズ、リム、メルまで、これまで登場した能力や役割がそれぞれ別の形で参加しているので、単なる奇策ではなく「みんなで成立させた作戦」になっていました。
一方で、肝心のレオだけはノイシュに足止めされて、この大騒ぎに参加できていないのも妙に彼らしいです(笑)。
王も最初は頑なだったのに、娘へ流れ弾が飛んだ瞬間に「馬鹿者!」と叫ぶところで、立場以前に父親なんだと伝わってくるのも良かったです。
剣や砲撃で決着をつけるのではなく、最後は敵兵まで歌い出して戦意を失っていく。大森林編ならではの、かなり記憶に残る都の制圧になったと思います。
今回はイファルの恋愛事情がまさかの「作戦そのもの」に組み込まれていく流れが面白かったです(笑)。
あれだけ真面目に書き溜めていた愛の詩が、メルの手によって歌へ変わり、さらにスズ達が魔鉱兵を巨大な音響装置に改造してしまうとは思いませんでした。恋文、音楽、魔術、魔鉱兵が全部ひとつの作戦に繋がっていく発想がすごいですね。
特に好きだったのが、最初は恥ずかしがっていたイファルが、
「俺の歌声次第で、戦を止められるかもしれないんだ」
と本気で練習するようになるところです。
オーアルシアへの想いだけではなく、できるだけ戦わずに済ませたいという気持ちも重なっているので、単なるギャグイベントでは終わらないのが良かったです。前回まで豪快にウォーアックスを振り回していた人物が、今度は歌で戦争を止めようとしているのもすごい落差ですね。
一方、レオとリムの「デート」も微笑ましいと思っていたら、しっかりエリシュがついてきているのには笑いました。
「偶然通りすがっただけだ!」
はさすがに無理があります(笑)。
ただ、その後の熊との場面ではリムの性格がよく出ていました。獲物だと思っていた熊が子供へ蜂蜜を与えているのを見て攻撃をやめ、それでも危険になれば自分が囮になろうとする。以前から見えていた「役に立たなければ自分には価値がない」という部分と、「誰も死なせたくない」という優しさが、少し危うい形で繋がっているようにも感じました。
そして最後の一文がかなり不穏ですね。
みんなそれぞれ全力で準備しているのに、「作戦が失敗した場合」を誰も考えていない。
ここまで準備風景が楽しく描かれていただけに、その一点だけぽっかり抜け落ちていることが逆に怖いです。満月の夜、イファルの歌が本当にオーアルシアまで届くのか。そして計画通りにいかなかったとき、誰がその穴を埋めることになるのか気になります。
今回はイファルの意外な一面と、森の都側の事情が一気に繋がってきて面白かったです。
族長達との会合では堂々とレジスタンスをまとめていたイファルが、夜中に一人で愛の詩を書いていて、それをリムに音読されてしまう流れには思わず笑ってしまいました(笑)。戦場では豪快なウォーリアーを操る人物なのに、恋愛になると途端に隠したくなるくらい繊細になる。このギャップがすごく良いですね。
そして、その直後にオーアルシア側の事情が明かされたことで、あの詩の意味が一気に重くなりました。
イファルにとって彼女は単なる昔の恋人ではなく、本来なら結ばれるはずだった相手だったんですね。一方のオーアルシアも「攫いに来てくれる気がして」と今でも森を見続けている。二人とも気持ちは残っているのに、帝国という大きな力によって引き離されているのが切ないです。
特に王と王妃も、娘を苦しめたいから結婚を強制しているわけではないところが印象に残りました。
帝国に従わなければ森の民そのものが危うい。だから娘一人の幸福より民族全体の生存を選ばざるを得ない。誰か一人を悪者にすれば解決する話ではなくなっているのが、この章の面白いところだと思います。
ノイシュと森の民の王とのやり取りにも少しずつ亀裂が見えてきましたね。帝国に従っている側も決して一枚岩ではなく、「これ以上森を荒らすなら」という言葉から、この支配関係にも限界が近づいているように感じました。
最後の「イファル、助けて……」はかなり強い引きでした。
次の満月に予定されている都への攻撃が、単なる軍事作戦ではなく、イファルとオーアルシアにとっては過去を取り戻せるかもしれない戦いでもあると分かって、ここから一気に物語の見え方が変わった気がします。
今回はレオとノイシュの再戦がかなり熱かったです。
最初に面白いと思ったのは、ノイシュがただ強いだけではなく、罠が発動した場所を逆に安全な経路として利用しながら進んでいるところでした。レジスタンス側が地形と罠を徹底的に利用している一方で、ノイシュも経験から即座に対応しているので、「どちらかが一方的に賢い」という戦いになっていないのが良いですね。
そしてやっぱり印象に残るのはプロトナイト対アークナイト。
以前のレオならノイシュの挑発に乗って真正面から勝負していた気がしますが、今回はリムとの連携を前提に、まず守ることを選んでいる。ノイシュからすれば「つまらない戦い方」でも、レオにとっては確実に成長なんでしょうね。
そこからパーシャルアーマーの特性に気づいて、
「そっか、避けなくていいんだ!」
となるところもレオらしくて好きでした(笑)。
普通なら防御力の高さを「耐えるため」に使いそうなところを、「なら攻撃に専念できる」と考えるのが面白いです。ただ、完全無敵ではなく守られていない部分もあるので、勢いだけでは勝てないバランスにもなっていました。
リムのスナイパーも良い仕事をしていますね。単なる後方支援ではなく、レオが前線で相手の意識を引きつけ、その隙をリムが狙うことで初めてノイシュを追い詰められる。前回の二人の会話を経て、戦闘でもちゃんと相棒らしい動きになっているのが印象的でした。
それでも最後にはノイシュが経験の差を見せて撤退するので、完全決着にならないのも納得感があります。
「都で会おう」という言葉で、今回のアジト奪還が本当に前哨戦だったことも改めて感じました。
そして最後、逃げていくノイシュをエリシュが複雑な表情で見送るところも気になります。レオにとっては強敵でも、エリシュにとってノイシュはそれだけではない存在なので、いずれ都で再会したとき、この兄妹がどう向き合うことになるのか楽しみです。
今回はそれぞれの魔鉱兵の個性と、操縦者の戦い方がかなりはっきり出ていて面白かったです。
特にイファルのウォーリアーが印象的でした。本人の整った外見とは正反対の、豪快に斧を振るう戦闘スタイルというギャップが良いですね。フィーラとセリアも、単純に強力な魔法を撃つのではなく、森そのものを味方につけて戦うので、「大森林で戦うレジスタンス」らしさがしっかり感じられました。
そして後半のクレア対スカウトがかなり好きです。
機体性能だけならブレードダンサーが上なのに、相手は正面から性能勝負をせず、幻惑によってクレアの判断力を崩してくる。ここまで高性能機で押してきたクレアが、「強い機体に乗っているだけでは勝てない」相手にぶつかったのが面白かったです。
そこへスズが助けに入る流れも良かったですね。
森を焼かないために事前に装備を換装していたことが、そのまま今回の戦闘で生きてくるので、ただ都合よく新技が登場した感じがありませんでした。戦場や環境を考えて準備していたことが勝敗に繋がるのは気持ちいいです。
戦いが終わった後も、クレアがスズまで幻影だと思って一瞬構えてしまうところに、敵の攻撃が相当厄介だったことが伝わってきました。それを「ちょっとお姫様、しっかりしてよ」で戻してくれるスズとの掛け合いも、この二人らしくて好きです。
一方でノイシュもいよいよ動き出していますし、レジスタンス側がかなり優勢に見える今だからこそ、アークナイトが戦場に加わったときにどう状況が変わるのか気になります。
今回はノイシュ側から同じ戦場を見ることで、レジスタンスの作戦が一気に立体的になっていて面白かったです。
特に印象に残ったのが、ノイシュと斥候部隊隊長の「主君に仕えること」についての会話でした。
ノイシュは形勢が悪くなったからといって主を捨てることを信用の問題として考えているのに対して、隊長は主従関係をもっと現実的な「契約」として見ている。同じ帝国側でも価値観がまったく違うんですね。単なる敵軍の会話ではなく、それぞれがどんな時代を生きてきた人物なのかまで感じられるやり取りでした。
しかも隊長が「今回を機に引退する」と話した直後に戦闘が始まるので、妙に不穏なのも気になります。
戦闘そのものも、力押しではなくレジスタンスらしい戦い方なのが良かったです。
歩哨を狙って敵を動かし、そのタイミングで炎によってアジトを孤立させ、さらに高所を確保したスナイパーから内部を丸見えにする。前回説明されていたゲリラ戦法が、実際の戦場でどう機能するのかがよく分かりました。
一方でノイシュも、「少数で追えば各個撃破される」とちゃんと理解しているので、決して油断しているわけではない。それでもなお罠にはめられているところに、今回はレジスタンス側が一枚上手だったことが伝わってきます。
それにしても、保存食が硬くてまずいというところから始まるのが妙に好きでした(笑)。強敵として描かれているノイシュにも普通に食事があり、早くこの森から帰りたいと思っている。その生活感があるからこそ、敵味方を単純に分けきれない感じがあります。
最後にはレオのプロトナイトとリムのスナイパーがきっちり役割分担していて、前の話で組まれたチームが早くも機能しているのも気持ちよかったです。
ただ、アジトの中にはノイシュ本人がいるんですよね。罠にかかったとはいえ簡単に終わる相手ではなさそうなので、この包囲戦がどこで崩れるのか、それとも最後までレジスタンスの狙い通り進むのか気になります。
今回は「共闘するための信頼をどう作るか」がしっかり描かれていて面白かったです。
イファルがウェルスランド側を無条件では信用せず、アジト奪還という具体的な成果を求めるのが自然でした。それに対してエリシュもただ従うのではなく、「対等な立場で協力すること」を条件に出しているので、味方になった瞬間に全部丸く収まるわけではないところが好きです。
そしてレジスタンス側の魔鉱兵が、帝国軍から鹵獲した機体をそれぞれ独自に改造しているという設定も良いですね。補給すら“狩り”で賄っているあたりに、正規軍とはまったく違う戦い方や生活感が出ていました。ウォーリアー、ドルイド、スナイパーと、それぞれ操縦者に合わせた機体になっているのも実戦でどう動くのか楽しみです。
聖樹の描写も印象的でした。
最初は何か特別な魔力を持つ木なのかと思わせておいて、「古木に飾りつけをして聖樹様と呼んでいるだけ」と説明される。でも雷に裂かれてなお生き続けている木だからこそ、人々がそこに意味を見出したという話がとても自然で、この森の民の文化が少し身近になった気がします。
そこから七体の魔鉱兵が出撃する場面は、いよいよ大規模戦が始まる感じがあってワクワクしました。これまで各地で出てきた異なる系統の機体が、一つの部隊として動くのも見応えがありそうです。
そして最後のメルと巨大狼の場面がすごく好きでした。
前回レオと激しく戦ったあの狼が、今回は敵意を見せるでもなく、メルの竪琴を静かに聴いている。この森では、人間が理解している以上に獣にも独自の意思や秩序があるのかもしれませんね。
激しい戦いが始まる直前に、聖樹の下で竪琴を聴く狼という静かな場面を置く締め方がとても印象に残りました。
今回は大森林らしい危険と、キャラクター同士の掛け合いが同時に楽しめる回でした。
序盤のレオが完全に気を抜いているところから、いきなり狼の群れとの戦闘に繋がる落差がすごいですね(笑)。しかも狼がただ襲ってくる猛獣ではなく、「森を荒らす余所者を見定めているのではないか」と説明されることで、この大森林には人間とは別の秩序が存在しているように感じられました。
特に印象的だったのは、ボスとレオの最後のやり取りです。
単純に倒す・倒されるという決着ではなく、一撃を交わしたあと狼側が去っていくので、あれは本当に縄張りへ入ってきた相手の力量を試していたのかもしれませんね。一度だけ振り返るところも妙に格好よくて、敵というより「森の主」という表現がよく似合っていました。
そしてレオも、怖がっているのに最後には自分へ注意を向けようとするあたり、以前よりずいぶん頼もしくなった気がします。自分は何者にもなれない、とリムへ弱音を吐いていた直前の話があるからこそ、誰かを守る場面では自然に身体が動いているのが良いですね。
リムの石つぶてによる援護や、クレアが素早く武器を回収するところなど、それぞれの得意分野もしっかり戦闘に反映されていて楽しかったです。
それにしても、命懸けでメルを守った直後にクレアから一発もらうレオ……英雄扱いだけでは終わらせてもらえないのが、この一行らしいですね(笑)。
大森林に入ってから、人間同士の戦争だけではなく、この土地そのものの文化や生態系が前面に出てきたので、今後レジスタンスや帝国軍が「森のルール」とどう関わっていくのかも気になります。
森に入ってから、これまでとはまた違う緊張感があって面白かったです。
特に序盤のエリシュが、リムやスズに急かされても偵察の手順を崩さないところが印象に残りました。こういう慎重さを見ると、単に強いだけではなく「生き残るための経験」を積んできた人物なんだと感じます。夜の森も、敵兵だけでなく野生動物まで警戒しなければならないので、大森林そのものがひとつの敵のように思えました。
その張り詰めた空気の中で、レオとリムが焚き火を挟んで話す場面がすごく良かったです。
これまでレオは期待される側として戦ってきましたが、「ウェルスナイトの量産が始まったら自分はいらなくなるかもしれない」という不安を口にしたことで、一気に年相応の少年らしさが見えた気がします。一方のリムも、自分の存在価値を「役に立つこと」と結び付けてしまっているので、立場は違っても二人は意外と似ているんですね。
そこからの、
「これからはあたしに弱音を吐くこと」
という言葉も好きでした。
かなり強引なのに、直後に「命の恩人だからだよ!」となるあたりがリムらしくて、重くなりすぎないのも良いですね。二人の距離が急に縮まったというより、互いの弱い部分を少しだけ見せられる関係になった感じがしました。
そしてレジスタンスとの合流後は、一転して政治的な駆け引きになるのも面白いです。
イファルがウェルスランドを簡単には信用せず、「帝国とどう違うのか」と問いかけるのは当然なんですよね。帝国と戦っているからといって、自動的にウェルスランドが正義になるわけではない。これまで諸都市を味方につけながら進んできた物語だからこそ、この疑問をちゃんと作中で出してくるのが良かったです。
さらに最後の「満月の夜に都へ一斉砲撃」という命令。
イファルが一瞬表情を変えたことで、単純に攻撃すればいい話ではなさそうなのが気になります。都には何があるのか、レジスタンス側が考えていた作戦とは何なのか。そして帝国側ではノイシュも大森林へ向かっているので、満月までの短い時間にそれぞれの思惑がどう交差するのか、かなり楽しみになってきました。
Ⅴへの応援コメント
今回、帝国側の描写がかなり印象に残りました。
特に「生き残りたければ誰もみな幸せでなければならない」という一文が怖いですね。表向きは戦勝と平和を祝っているのに、その実態がまったく逆だと一言で分かるのが強かったです。皇帝も単純な武力だけではなく、人の欲望や物語まで利用して兵を動かしているので、敵としてかなり厄介に感じました。
そして“四将軍”の登場で、一気に帝国側のスケールが大きくなりましたね。ゾックをすぐ奪還するのではなく、まず周囲を固める判断も含めて、戦争が個々の戦闘だけでは動いていないことが伝わってきます。
一方で後半、ルミラたちが荷造りをしている場面になると急に生活感が出るのも好きでした。ルミラの「散らかっているけど本人には全部分かっている」タイプの研究者らしさや、忘れ物がバザー行きになる話など、張り詰めた展開の合間にこういう会話が入ると人物が身近に感じられます。
リムとクレアも少しずつ打ち解け始めていますし、レオナルドだけが知らされている“念のため”の情報も気になります。大森林ではノイシュ側も動き出しているので、今度は森を舞台にどんな形で両陣営がぶつかるのか楽しみです。
ドミナス、完全に自分の影響力を過信していましたね(笑)
冒頭で「これからの世の中、ものを言うのは金」と豪語しているだけに、その直後にプロトナイトが窓の外から現れる流れが最高でした。
金や人脈でどうにでもなると思っていた相手の前に、文字通り巨大な力が現れるのが痛快です。
しかもプロトナイトが屋敷をめちゃくちゃにしながらも、リムだけはそっと掴んで救出するところが良かったです。
前回までレオとリムが実際に戦っていたからこそ、ここでレオが助けに来る展開にもちゃんと積み重ねを感じました。
リムがレオに抱きつくところも素直に嬉しくなりますね。
一方で、ドミナスを倒したから全部解決!では終わらないのもこの作品らしいです。
奴隷制度や人身売買という大きな問題に対して、「これで全部良くなりました」ではなく、孤児院をひとつの象徴としてこれから変えていく、という描き方なのが印象的でした。
そしてリムの正体には驚きました。
まさか森の民のレジスタンスだったとは……。
ただ、ここでも「では助けに行こう!」と単純に話が進まず、本当に味方なのか、帝国の罠ではないのかと疑う国王の判断がかなり現実的ですね。
そのうえ結局、危険な確認任務を押し付けられるのがまたルミラ(笑)
最後の、
戦果を出せば妬まれ、失敗すれば責められ、部下からも文句を言われるという独白が妙に切実で笑ってしまいました。
有能だからこそ一番面倒な仕事が回ってくるタイプなんでしょうね……。
ゾック編が綺麗にまとまったと思ったところで、今度は大森林とレジスタンス。
舞台も状況も一気に変わりそうなので、次の任務がどうなるのか楽しみです。
今回は魔鉱兵の「試作から量産へ」という段階に入ったことで、一気に兵器開発ものっぽさが増していて面白かったです!
プロトナイトが強くなればそれで終わりではなく、量産するなら人員も設備も整備体制も必要になる、という話がちゃんと出てくるのがいいですね。
スズの「私と同じレベルの天才が少なくとも三人」は思わず笑いましたが、その後に部下、パペット、生産設備まで必要だと続くので、実際かなり切実な問題なんだなと分かります(笑)
そしてウェルスナイト!
名前はかなり直球ですが、「豊穣の騎士」という意味を考えるとウェルスランドらしくて好きです。
プロトタイプだった機体が、少しずつ王国独自の兵器へ変わっていく感じがありますね。
一方でエリシュの起動実験が失敗したのも気になります。
単純な「適性がありません」ではなく、適性そのものはあるのに、精神的な何かが魔力の放出を邪魔しているらしいというのが意味深です。
兄や帝国、自分の立場など、エリシュは抱えているものが多いだけに、何が原因なのか考えたくなります。
クレアだけ何か察して耳打ちしているところも妙にリアルで笑いました(笑)
真面目な兵器開発の場面なのに、こういう会話が挟まるので堅くなりすぎないのがいいですね。
そして最後にリムの問題が戻ってきましたか……。
やっぱりドミナス、素直に手放すつもりはなかったんですね。
替え玉まで用意して王命をかわそうとするあたり、相当厄介そうです。
しかも最後にルミラがプロトナイトを見て、それからレオを見る。
……その視線、絶対ろくでもない任務を思いついてますよね(笑)
魔鉱兵の点検から始まったはずなのに、最後には「もしかして次はドミナスの屋敷へ?」と思わせる引きになっていて、続きが気になります。
今回はクレアの感情が一気に表へ出てきた回で、かなり印象に残りました。
最初のリムの場面、前回まであれだけ明るくレオと話していた子が、首輪と手枷をつけられて連れていかれる姿になっているのが重いですね……。
レオに気づいて一瞬だけ悲しそうに笑うところも、余計につらかったです。闘技大会が終わっても、彼女にとっては何も終わっていないんだなと感じました。
その直後のチンピラ再登場は「本当に来た!」となりました(笑)
昼間負けた腹いせに夜道で襲うあたりどうしようもないのですが、そこへクレアが現れて一瞬で片付けてしまうのは爽快でした。
レオを助けたと思ったら、そのまま本人がレオに襲いかかるのは予想外すぎましたが(笑)
そして今回一番好きだったのは、クレアがレオに怒っている本当の理由です。
単純に「父の仇だから許せない」ではなく、
「父を倒した以上、その責任を負って強く生きろ」
という方向に感情が向かっているのがすごく良かったです。
レオが負ける姿を見ることで、自分の父まで弱かったように感じてしまう。
だからレオには強くあってほしい。
でも父を倒した相手を素直に認めることもできない。
この矛盾した感情がクレアらしくて、人間味がありました。
それまで技術的だったクレアの剣が、怒るほど力任せになっていく描写も好きです。
戦いながら会話して、言葉だけでは整理できなかった感情をぶつけ合っている感じがしました。
それにしてもエリシュの
「おおかた試合を観て自分も暴れたくなっただけだろう」
は雑すぎて笑いました(笑)
スズの「棒きれ振り回して分かり合えたら世話ないわ」もごもっともです。
最後は少ししんみりした空気になるのかと思ったら、レオが途中から妙なことを意識し始めるので、ちゃんとレオだなあと(笑)
重い感情を扱いながら最後まで暗くなりすぎないバランスが良かったです。
リムの問題もまだ残っていますし、クレアとレオの関係も今回でかなり変わったように感じるので、この先が気になります。
今回はレオとリムの対決が見応えありました!
リムの投石、かなり厄介ですね。
単純に遠距離から攻撃するだけではなく、複数の砂袋を別々の軌道で投げて逃げ道まで潰してくるので、レオがなかなか近づけないのも納得でした。少しずつ手足へのダメージを積み重ねて動きを鈍らせる戦い方も上手いです。
それでもレオが最後に、投げ返した砂袋同士をぶつけて砂塵を作り、その隙に一気に距離を詰めるところは「そう来たか!」となりました。
ちゃんとこれまで培ってきた観察力や機転を使っているのに、それでもリムには届かず判定負けになるのも良かったです。主人公だから毎回勝てるわけではないところに、闘技大会らしい緊張感がありますね。
あと、観客席でスズが突然「レーオー!!」と応援し始めたところから、リムに「ガールフレンドが三人も」と言われる流れは笑いました(笑)
本人は必死に否定しているのに、そのせいで頭に一発もらってしまうのがレオらしいです。
そして何より最後ですよね……。
最初にゾック卿が「奴隷に獣をけしかける悪しき伝統は終わった」と宣言していたので、闘技場そのものが新しい時代へ変わったのだと思っていました。
それなのに、最後になってリムがドミナスの「剣奴」だと明かされるのがかなり皮肉でした。
しかもリム本人はレオと話しているとき明るく振る舞っていただけに、「ご主人様に出場しろと言われたら、いつでも出なきゃいけない」という前回の台詞の意味がここで一気に変わりますね。
何気なく聞き流していた言葉が、後からこんな重さを持ってくるとは思いませんでした。
大会では身分を問わず上位入賞者に王国軍への道が開かれる。
その一方で、優勝したリムをドミナスが素直に手放すとは到底思えない……。
レオとの勝負が終わったと思ったら、むしろここからリムを巡る話が始まりそうで気になります。
闘技場の雰囲気がすごく良かったです!
観客の野次や売り子、常連選手への声援まであって、本当にその街で長く続いてきた娯楽なんだなと感じました。
ゾック卿の演説も印象的でした。
単純に「ウェルスランド軍に入れ」ではなく、「自分たちの街は自分たちで守ろう」という形に持っていくあたり、占領された側の市民感情までちゃんと考えているんですね。
戦争の最中なのに、こういう政治的な部分もしっかり描かれているのが面白いです。
そしてトレーロ戦!
最初は完全に相手のペースで、レオの得意な先読みまで逆に利用されてしまうのがかなり厄介でした。
「先読みを先読みする」というのも面白いし、そこでレオが観察すること自体をやめるのではなく、逆に相手の死角を利用してフェイントを仕掛けるのが気持ちよかったです。
トレーロも負けた途端に嫌な奴になるわけではなく、最後まで観客を楽しませるプロなのが良いですね。
むしろ負けても人気者なのがよく分かりました(笑)
そして最後の
「……あれ?勝ったの俺だよな!?」
で笑いました。
あれだけ頑張って勝ったのに拍手を全部トレーロに持っていかれるレオが不憫すぎます(笑)
次はいよいよリムとの対戦。
トレーロが「私などよりずっと強い」と言うくらいなので、かなり手強そうで楽しみです。
今回は前回の重い政治的な話から少し空気が変わって、レオ達の日常っぽいやり取りが見られたのが良かったです。
冒頭の「エリシュさんも稽古に飽きること、あるんですね」からの反応が好きでした(笑)
いつも戦いや稽古に一直線なエリシュにも、ちゃんと気晴らししたい瞬間があるんですね。
ただ、城下へ出た途端に雰囲気が一変するのが印象的でした。
「無血制圧」と言っても、実際にそこで暮らしている人たちからすれば決して何も起きなかったわけではない。クレアが馬車の中では気づかなかった街の惨状を、自分の目で見て言葉を失うところが重かったです。
戦争の勝敗だけでは見えてこない部分が描かれているのが良いですね。
そして円形闘技場が単なる娯楽施設ではなく、賞金付きの試合を利用した実質的な兵士選抜になっているのも面白い発想でした。
しかもレオ自身が「強い兵士を見つけるための基準」にされているという……本人からしたらとんでもない役目です(笑)
そんな中で最後に出てきたリムがまた気になります。
明るく人懐っこい感じなのに、「戦いしか取り柄がない」「ご主人様に出場しろと言われたらいつでも出る」という言葉だけ妙に引っかかるんですよね。
レオが早速ちょっとドキッとしているのも微笑ましかったですが、この子がただの対戦相手で終わる気が全然しません。
「どっちが勝っても恨みっこ無しにしようね?」という爽やかな約束で締めながら、次の試合がすごく気になる終わり方でした。
Ⅳへの応援コメント
今回は戦闘そのものより、勝った後の政治や立場の整理が中心になっているのが面白かったです。
特にクレアの場面が印象に残りました。
「フェリアは帝国には与しません」と言い切るところは格好いいのに、その発言によってウェルスランドにフェリアへ攻め込む大義を与えてしまい、結果として自国の兵と戦う可能性まで生まれてしまう……。
女王として正しいことを言えば全部解決、とはならないところがすごく好きです。
そしてエリシュへの疑惑も、やっぱり簡単には消えませんね。
これまでの行動を読者は知っているだけに、周囲から「帝国の間謀では」と責められる場面はかなりもどかしかったです。
しかも国王が出した答えが「兄を討て」ではなく「こちらへ協力するよう仕向けろ」というのも意外でした。
エリシュにとっては、倒すよりずっと難しい命令なのでは……と思います。
ルミラが単純に庇うのではなく、水中用試作魔鉱兵やフェリアの情報という具体的な成果を並べて弁護するところも、いかにもこの人らしくて良かったです。
感情ではなく「今回の寄り道にはこれだけの意味があった」と結果で周囲を黙らせるのが頼もしい。
戦には勝ったのに、クレア、エリシュ、レッドクロスそれぞれに新しい問題が増えていて、「ここからが本当の反攻なんだな」と感じる回でした。
特にエリシュと兄の次の再会がどうなるのか、かなり気になります。
今回は派手な戦闘のあとに、登場人物それぞれの内面が見えてくる回で良かったです。
まずクレアが、国も父も失った直後なのに、「自分だけ逃げてきてしまった」と責任を全部背負おうとしているのがかなり痛々しかったです。それでもメルに寄りかかりながら少しずつ気持ちを整理して、
「お前は私の家だ」
と言えるところがすごく印象に残りました。
国も宮殿も失ったクレアにとって、帰る場所は土地ではなくメルなのかなと思うと、この二人の関係がより好きになります。
その直後にレオが食器を回収しに来るのも良いですね(笑)
かなり重い空気だったのに、急に生活感が戻ってくる感じがこの作品らしいと思いました。
しかもレオが、騎士見習いなのに船員の雑用まで普通に手伝っているのがいいです。
甲板で稽古をさせてもらう代わりに働くというのも、妙に律儀でレオらしいですね。
料理番から、
「お前さんはお前さんにしかできねぇことをしな」
と言われる場面も好きでした。
これまでレオ自身は流されるように魔鉱兵へ乗ってきた部分が大きかったと思うのですが、周囲から見れば、すでに「レオだからできたこと」がたくさんあるんですよね。
本人だけがまだ自分の価値をちゃんと分かっていない感じがします。
そして後半のスズですよ(笑)
ずっと「レオは何のために戦ってるの?」と真面目な話をしていたので、レオ自身の目的を掘り下げる場面になるのかなと思っていたら、
「だったら、私のために戦いなさいよ」
で一気に空気が変わりました。
これはレオじゃなくても「それって……」となります(笑)
そこから慌てて、
「お互い頑張りましょうってこと」
と取り繕って、最後には「寝ろ!」で追い出すスズが可愛かったです。
しかもレオも意味が分からないと言いながら眠れなくなっているので、ちゃんと効いてるじゃないですか(笑)
翌朝の稽古に身が入らなくなるところまで含めて、とても良い締めでした。
戦いの目的を持っていなかったレオが、これから何のためにプロトナイトに乗るのか。
クレアもまた、自分が女王として何をすべきなのか考え始めていて、今回はそれぞれの「これから」が動き始めた回だったように感じました。
今回は陸でも海でもずっと追われっぱなしなのに、それぞれの得意分野を使って切り抜けていくのが面白かったです!
まず砂漠で、海賊船の艦砲射撃とスズの炸裂火球弾を組み合わせて追撃部隊を崩していくところが良かったですね。ノイシュ側も煙幕を使って砲撃をかわそうとしていて、ただ一方的に撃たれるだけではなく、双方が相手の手を読んで対応しているので戦闘に駆け引きがありました。
その中で、走行中のブレードダンサーに掴まりながらスズが無理な姿勢で砲撃する絵面がかなりすごいです(笑)
「ハッチを開けられたら、もう百発は撃てるのにー!」
からの、
「風の圧力で装甲が内側から吹き飛ぶわね……」
というやり取りも好きでした。
本人達は必死なのに、状況を想像すると無茶苦茶すぎて笑ってしまいます。
そして、追っ手を撃退してようやく逃げ切ったと思ったところで、ノイシュがちゃんと次の罠まで仕込んでいたのが厄介ですね。
敗走しているのに本人だけはずっと落ち着いていて、「手は打ってあります」と言えるあたり、本当にしぶとい敵だと思います。単純な戦闘能力より、こういう何手も先に準備してくるところがノイシュの怖さなんでしょうね。
後半の海戦はレッドクロスが完全に主役でした。
二隻に挟まれそうになった瞬間、敵の射程外まで大きく迂回してから位置関係を変え、一隻をもう一隻の盾にして攻撃を封じるという発想が面白かったです。派手に撃ち合って勝つのではなく、「逃げるための操船」で相手を出し抜くのが海賊船長らしくて格好いいですね。
エリシュの
「見事……というより、あっけないな」
に対して、
「逃げに徹すりゃこんなもんよ」
と返すところも好きです。
ここまでの戦いでは魔鉱兵が目立っていましたが、海に出た途端にレッドクロスの経験値が一気にものを言う感じがしました。
だからこそ、正面にも二隻現れたところでは本当に「今度こそまずい」と思いました。
それでもレッドクロスが、
「この船がボロボロになっても、あんたらだけは必ず送り届けてやる」
と言うのが格好いいですね。口調は豪快でも、船長として乗せた人間に責任を持とうとしているのが伝わってきます。
そこから「正面は味方!」になるのは気持ちよかったです(笑)
ウェルスランド海軍の二隻がそのまま左右を通過して敵艦を挟み込み、海賊船まで艦尾砲で援護する流れは、映像で見たくなるような場面でした。
しかも、せっかく必死に戻ってきたのに「港湾襲撃作戦はもう掃討戦に入っていて、自分達は大幅に遅刻していた」というオチまであるのが面白いですね。
クレアという新しい同行者も増え、フェリアの状況も大きく変わってしまったので、ようやくウェルスランドへ戻った一行がこれからどう動くのか楽しみです。
今回はかなり大きく物語が動きましたね。
まず神官長の言葉が本当に嫌らしくて、「今まで通り女王でいてもらう」と言いながら、実際には用意された言葉を話して世継ぎを残すだけのお飾りとして扱おうとしているのが、帝国に取り込まれたフェリアの状況をよく表していると思いました。
その直後にノイシュが出てくるのも効いてますね。
レオとカニスの決闘すら利用して、「どちらが死んでも自分に損はない」と考えていたのが分かって、やっぱり抜け目のない人物だなと。自分で戦わず、周囲の対立まで手柄に変えてしまうあたりが厄介です。
そして今回は何といってもカニスですね。
頭と片腕を失ったソードマスターが、それでもクレアをかばって立ち上がる場面はかなり熱かったです。
それまで豪快な武人という印象が強かっただけに、「クレア、我が娘……」で二人の関係が明かされるところは驚きました。
ずっと政争に苦しみながら、それでも愛した人の祖国を守ろうとしていたことまで分かると、これまでのカニスの言動も少し違って見えてきますね。単純に帝国嫌いだったわけではなく、自分なりに危うい均衡を守ろうとしていたのかと思うと切ないです。
その後のクレアとスズの会話は、重い場面の直後なのに二人とも全然素直じゃなくてちょっと笑いました(笑)
「誰のせいでこうなったと思っている」
「そこから!?」
となるのがすごく自然で、この二人は今後もかなりぶつかりそうですね。
そんな中でレオが、
敵とか味方とかではなく「自分たちなら逃がせる」とだけ伝えるのも良かったです。無理に仲間になれとは言わないところがレオらしい。
最後にカノポス隊までクレアを逃がす側に回って、今まで敵だった三体が一緒に砂漠を走り出す締めも好きでした。
特に、壊れたプロトナイトの操縦室へ吹き込む砂漠の風の描写が、ずっと張り詰めていた展開から少しだけ解放された感じがして印象的でした。
クレアは国も父も一度に失ってしまったわけですが、ここからレオ達とどういう関係になっていくのか気になります。
カニスとの決闘が終わったと思ったら、ほとんど間を置かずクレアが飛び込んできて、一気に状況がひっくり返る展開が良かったです。
特にブレードダンサーの登場が格好いいですね。チャリオットをそのままプロトナイトにぶつけて、そこから宙返りして襲いかかってくるという、ソードマスターとは全然違う戦い方なのが面白かったです。機体ごとにちゃんと個性があるので、戦闘シーンを読んでいて動きが想像しやすいです。
それと、クレアがレオの姿を見て一瞬攻撃をためらうところが印象に残りました。
将軍を倒された怒りで飛び込んできたのに、操縦しているのが自分と同じくらいの子供だと知った瞬間、完全には割り切れなくなる。さらにメルが怯えていることにも気づいて攻撃を止めるので、クレアが単純に激情だけで動く人物ではないことも伝わってきました。
レオとスズの会話も好きです(笑)
火球で吹き飛ばされた直後の、
「下手くそ!大丈夫なわけないだろ!」
「その調子なら平気そうね」
このやり取りにはちょっと笑ってしまいました。かなり危険な状況なのに、この二人らしい空気が残っているのがいいですね。
後半のカノポス隊も強敵感がありました。
四体がただ一斉に襲ってくるのではなく、チャリオットで円を描きながら包囲して、攻撃されれば距離を変えてすぐ陣形を立て直す。個々の強さより連係そのものが武器になっているので、先ほどカニス一人を倒したレオでも簡単には突破できないのが納得できます。
しかもスズの魔法も無限には使えず、暑さと疲労まで効いてきて、少しずつ逃げ道がなくなっていく感じがかなり緊張しました。
そこへ援軍らしき部隊が現れて一安心かと思わせて、
「我が軍が、帝国の紋章を掲げている……!?」
で終わるのはずるいですね(笑)
クレア達が戻ってくる間に王都で何が起きたのか、一気に不穏になりました。ノイシュと神官達の動きがここに繋がってきた感じもあって、次の展開がかなり気になります。
今回はクレア側とレオ側が同時進行で動いていて、かなり読み応えがありました!
まずクレアが、神官長から「カニスが謀反を起こした」と聞かされても、その場で鵜呑みにしないのが良かったです。「謀反を起こしたなら、なぜ逃げる?」とすぐ矛盾に気づくあたり、普段は部屋でのんびりしていても、ちゃんと女王として状況を見る力があるんだなと感じました。
そこからメルを連れてブレードダンサーで脱出する流れも一気に緊張感が増しましたね。盲目のメルが足音や声の反響から周囲を感じ取る描写も印象的でした。クレアが「私にはどうしてもお前が必要なんだ」と言うところも、二人の関係に何かまだありそうで気になります。
一方、レオとカニスの決闘も面白かったです。
ソードマスターのジャイアントケペシュが本当に厄介で、近づいても離れても危険というのが分かりやすい。その相手に、前の戦いで手に入れた部品から作ったチェインシューターを使うのも良かったです。今までの戦いがちゃんと次の戦いに繋がっている感じがありますね。
そしてカニス、戦っているうちにどんどん楽しそうになっているのが笑えました(笑)
「これぞ男の戦いよ!」と盛り上がるカニスに対して、スズが「馬鹿みたいに死ぬまでやることないでしょ!」と冷静に突っ込むところが好きです。周囲のほうがまともなのに、本人達だけ決闘に熱くなっている温度差が面白いですね。
最後の決着も格好良かったです。
「死角はどこにもない」と考えたところから、横ではなく“上”を選ぶのはなるほどと思いました。ジャイアントケペシュそのものを踏み台にして飛び越えるとは予想していませんでした。
ノイシュと神官達の企み、逃げ出したクレア、そして頭部を叩き潰されたソードマスターと、一気に状況が動いたので、この三つがここからどう合流していくのか気になります。
今回は、オアシスを出るだけのはずが一気に追跡戦から決闘まで発展していく流れが面白かったです!
町のあちこちに兵士が配置されていて、外には魔鉱兵まで待機していると分かったあたりから、「これは普通には帰れないな……」という緊張感がじわじわ高まっていくのが良かったです。そんな状況でもレッドクロスが冷静に逃走ルートを考えている一方で、エリシュが「また囮か」と頭を抱えているのにはちょっと笑いました(笑)
個人的に好きだったのは、エリシュとフェリア兵のやり取りです。
堂々と名乗って一騎打ちを挑んだと思ったら、本人が戦うのではなくレオに決闘を任せるとは思いませんでした(笑)
しかも「目的は時間稼ぎだ。頑張れよ」で送り出すのがエリシュらしすぎます。
そしてカニスも、前回の印象そのままに豪快でいいですね。
敵だからと問答無用で襲いかかるのではなく、エリシュが兵士を殺さず帰したことを見て決闘を受けるあたり、かなり騎士気質な人物なのが伝わってきました。こういう「敵対しているけれど嫌な相手ではない」キャラクターは好きです。
ソードマスターもかなり格好いいですね。
チャリオットを切り離して、巨大なケペシュを展開するところは映像が浮かびました。プロトナイトとはかなり戦い方が違いそうなので、レオがこの相手にどう立ち回るのか気になります。
それにしてもレオ、初陣からずっと難しい相手ばかり引き当てている気がします(笑)
今回も「時間を稼ぐだけ」で済むのか、それともまた何か予想外のことが起きるのか、決闘の続きが楽しみです。
Ⅲへの応援コメント
今回は戦闘そのものよりも、帝国側の内情やフェリア王国の政治事情が見えてくる回で面白かったです。
特に冒頭の御前会議、ノイシュが完全に失敗の責任を追及される立場なのに、持ち帰った長距離砲の情報を使って冷静に話をひっくり返していくところが印象に残りました。単純に「前回負けた敵役」で終わらず、ちゃんと有能さを見せてくるので、今後も厄介な存在になりそうですね。
長距離砲の解析も良かったです。砲身の構造を真似するだけでは同じ性能にならず、方角によって着弾点がずれるという問題が出てくるあたり、兵器開発が一筋縄ではいかない感じが出ていました。敵の兵器を鹵獲すればすぐコピーできる、という単純な展開になっていないのが好きです。
そして後半のフェリア王国に入ってから、一気に政治劇の色が濃くなったのも面白かったです。神官団と王国軍が対立し、その両方に帝国が裏から手を回しているという状況がかなり不穏ですね。表向きは同盟国なのに、実際には帝国の思惑が深く入り込んでいるという関係がよく伝わってきました。
そんな中で登場したカニス将軍がかなり好きです。
「フェリアはあくまでも対等な立場で同盟を結んでいるにすぎん」
この姿勢がすごく格好いいですね。帝国相手でも一歩も引かず、最後にはノイシュを牢へ入れてしまう豪快さまであって、一気に存在感を持っていかれました(笑)
行方不明になったクラーケンと所属不明の魔鉱兵、それを追うフェリア軍、さらにノイシュまで絡んできて、ここから砂漠で何が起きるのかかなり気になります。
嵐を越えたと思ったら、今度はまさかの砂漠の国に漂着とは……! 海の上での冒険から一気に景色が変わって、すごく新鮮でした。
まず冒頭の、船がかなりひどい状態になっている描写が好きです。帆が裂けて、マストも折れて、せっかく応急修理した船腹までまた壊れているというのが、昨夜の嵐の凄まじさをしっかり感じさせますね。無事に漂着できたとはいえ、「助かった!」ではなくて、そこからさらに物資不足や現在地の問題が出てくるのも冒険ものらしくて面白かったです。
しかも漂着した場所がフェリア王国というのがまた嫌なところですね(笑)。ただの見知らぬ土地ならまだしも、帝国の盟邦だから捕まったらそのまま帝国に引き渡される可能性がある。港に向かおうにもレッドクロスは顔が知られているし、だからといって砂漠を適当に歩くわけにもいかない。この「どの選択肢にもちゃんと危険がある」感じがすごく好きでした。
レッドクロスが古い地図を出してきて、現在地やオアシス、港までの距離をみんなで確認している場面もよかったです。こういう移動や補給についてちゃんと考えている描写が入ると、世界を実際に旅している感じが出ますね。特に「港と主要都市以外の内陸情報は更新が滞りがち」というところ、地味なんですが妙にリアリティがあって好きでした。現代みたいにいつでも最新の地図が手に入る世界じゃないんだなと感じます。
あと「忘れられし砂漠の都」という言葉がすごく気になりました。名前からしてもう何かありそうなんですよね。昔は陸路交易で栄えていたけれど、今は衰退しているというフェリア王国の歴史も面白いです。単なる“砂漠ステージ”じゃなくて、ちゃんとこの国にも繁栄していた時代や現在の事情があるのがいいですね。
そして、プロトナイトとプロトメイジで砂漠を進むという展開もかなりワクワクします。海中戦までやった魔鉱兵が今度は砂漠を歩くというのが、この兵器の汎用性の高さを感じさせますし、巨大な機体が砂丘の中を進んでいく光景を想像すると絵になりますね。「オアシスを見つけたら機体を砂に埋めて隠す」という作戦も、確かにあんな巨大なものが突っ立っていたら遠くから丸見えだよな、と納得しました(笑)。
何より最後の一文が不穏でいいですね。
「この旅がそれ以上の災いと新たな出会いに繋がることを一行は知る由もなかった。」
こういう締め方、大好きです。補給のためだけの寄り道になるはずだったフェリア王国編が、かなり大きな事件に発展しそうな予感がします。「災い」だけじゃなく「新たな出会い」と書かれているのも気になりますね。味方になる人物なのか、それともさらに厄介な相手なのか……。
海賊船、海戦、謎の魔鉱兵と続いてきたところから、ここで砂漠とオアシス都市というまったく違う舞台に切り替わるので、物語の景色が一気に広がった感じがしました。フェリア王国で一行が何に巻き込まれるのか、続きが楽しみです!
冒頭の悪夢から一気に引き込まれました。魔鉱兵に乗っているとどうしても巨大兵器同士の戦いに見えるけど、その中にはちゃんと人間がいるんですよね。前回の経験がレオの中にしっかり残っているのが伝わってきました。
そのあとのエリシュとの会話もよかったです。ノイシュが実の兄だと知って迷うレオに対して、エリシュがかなりきっぱりしているのが彼女らしいですし、そこから「奴に勝ちたいか?」と稽古につながる流れも熱かったです。
そして稽古のために甲板掃除や芋の皮剥きまでやらされるのが好きでした(笑)。レッドクロス、こういうところは本当に海賊船の船長らしくていいですね。
実際の立ち合いも面白かったです。レオが剣を投げて体当たりまで仕掛けるところは「おっ!」となったのに、それすらあっさり返すエリシュが強い……。単に技を教えるだけじゃなくて、「相手の先を読んだなら先手を打て」「以前の自分を超え続けろ」という教えなのも格好よかったです。
最後にエリシュ自身もノイシュには敵わないと分かっているのがまた不穏ですね。レオに必要な“手頃な強敵”が誰になるのか気になりますし、そこに嵐まで来て、また一波乱ありそうで続きが楽しみです。
敵の魔鉱兵をただ倒して終わりじゃなく、ちゃんと回収して調べる流れになるのがすごく好きです。スズが未知の技術を前にすると一気に研究者っぽくなるのもキャラが出ていて面白かったです。
レッドクロスとの会話もいいですね。パペットの話から「これが大量に普及したら船乗りの仕事がなくなるんじゃ?」ってところまで発想が飛ぶのが、この世界の技術がこれからどう変わっていくのか想像できてワクワクしました。
そして後半、一気に空気が変わるのが印象的でした。今まで魔鉱兵同士の戦闘として見ていたものの中に、実際には人間が乗って戦っているんだという現実をレオが突きつけられる場面が重い……。最後のエリシュの「いざというときになって悩まれても困るからな」も、騎士としての厳しさがよく出ていて好きでした。
海図を囲んで雑談できるほど穏やかな航海から、謎の拠点を発見し、海中から正体不明の敵に襲われる展開へ一気に切り替わる流れに引き込まれました。無人に見える拠点へ砲撃した直後、反対側から銛を撃ち込まれるという罠も巧妙で、船が大きく傾いて人や物が次々と海へ落ちていく場面には強い緊迫感がありました。
レッドクロス船長も相変わらず格好いいですね。混乱の中でも舵を取り、帆の角度や船底への注水まで利用して船を立て直そうとする姿から、腕力や迫力だけではなく、海の上で培ってきた知識と判断力を持つ本物の船長なのだと伝わってきました。「舵が折れちまうよ!!」という叫びには切迫感がありながら、筋肉自慢の船員たちらしい勢いもあって面白かったです。
レオとスズの場面も印象的でした。追い詰められたレオが「スズが装置になればいい」と無茶な提案をし、スズが「そんな都合のいい展開あるわけない」と返しながら、本当に成功させてしまう流れが熱かったです。ただ奇跡が起きたのではなく、レオの魔力と「死にたくない」「身近な人を死なせたくない」という意志をスズが受け取り、二人でプロトナイトを動かしたという形なので、これまで築いてきた関係が新たな力につながったように感じました。鼻血という負担も描かれていて、この方法が簡単に使えるものではなさそうなのも気になります。
また、緊迫した状況の中で、レッドクロスに受け止められたレオが柔らかさを意識したり、逆にスズを受け止めたときは思ったより固くて目を回したりする対比には笑ってしまいました。命が危ない場面でも、レオの少年らしさが消えていないところが好きです。
そして何より、最初にエリシュへ失礼な態度を取り、後から自分で謝りに来た船員の行動が胸に残りました。エリシュが謝罪を受け入れたことで二人の間に生まれたわずかなつながりが、最後に彼女の命を救う形で返ってくる。その代わりに彼自身が海へ吸い込まれていく結末はあまりにも切なく、ただの脇役では終わらない重みがありました。
船の揺れが収まったということはレオが海中で何かを成し遂げたのだと思いますが、敵の正体や落下した船員の安否はまだ分かりません。海上の船を守る者と、海中へ飛び込んだレオ、それぞれの必死の戦いが同時に進む、とても迫力のある回でした。
Ⅱへの応援コメント
レッドクロスの登場がとても印象的でした!
無礼な船員を一瞬で壁に押さえつける場面は迫力満点で、登場してすぐに「この船をまとめているのはこの人なんだ」と納得できる存在感があります。荒っぽい海賊らしさがありながら、エリシュたちには帽子を取ってきちんと挨拶するところも格好よく、ただ怖いだけではない船長としての魅力が伝わってきました。
ルミラとエリシュの会話もよかったです。軍内部の事情で危険な役目を任されているルミラと、レオを守る責任を背負っているエリシュでは立場が違いますが、それぞれ譲れないものがあるのが感じられました。口約束だけでは信用しきれないエリシュの警戒心にも納得できます。
プロトメイジに自信満々なスズと、不安を隠せないレオのやり取りも二人らしくて楽しかったです。新しい機体が実戦でどんな活躍をするのかも気になります。最後は船員たちの威勢のいい返事とともに出航し、これから本格的な海の冒険が始まるような期待感のある締め方でした!
初陣の直後、レオが一騎討ちでの敗北に落ち込んでいるのかと思いきや、真っ先に気にしていたのが「プロトナイトって、格好悪くない?」という外見の問題だったところに笑ってしまいました。心配しながら励ます言葉を考えていたエリシュやスズとの温度差が面白く、レオの年相応な感性がよく表れていると思います。
ただ、レオの何気ない不満が単なるわがままで終わらず、兵器には性能だけでなく、味方の士気を高め、敵に力を誇示する象徴としての役割もあるという話につながるのが興味深かったです。アークナイトの白銀の装甲にもきちんと意味があり、プロトナイトがこれから王国の旗頭となることを考えれば、見た目も戦略の一部になるのですね。損傷した機体や回収した敵機をもとに改良が進むようなので、次に登場するときにはどんな姿になっているのか楽しみです。
国王との謁見では、レオが不用意な発言をしないように先回りして答えるエリシュが頼もしい一方で、本人は王を前にしても疑問をそのまま口にしてしまうところがレオらしかったです。形式や身分に慣れていない危うさはありますが、「なぜ自分なのか」を曖昧なままにしない姿勢には好感が持てました。
レオが選ばれた理由も、単なる偶然や特別な運命ではなく、血筋を調べたうえで魔術師の素質を受け継いでいる可能性に賭けた結果だと分かり、納得感がありました。それでも実際に起動できるかは未知数だったというのが、王国側の切迫した状況を物語っていますね。魔鉱兵を造れても操縦者が足りないという問題も見えてきて、兵器一つ完成すれば解決という単純な戦争ではないことが伝わってきました。
帯剣を咎められたと思ったら、そのまま王の許可を与えられ、騎士見習いとして扱われる流れも面白かったです。レオが小さな声で返事をして、王に聞き返すような仕草をされて慌てて言い直す場面には、緊張感の中にも微笑ましさがありました。褒美が金品ではなく、これから軍の中で動くための身分と権限なのも現実的で、レオが否応なく戦争の中心へ組み込まれていくことを感じます。
そして、敵を退けて終わりではなく、今度は王国側から帝国へ攻め込む方針が決まったことに驚きました。国王が家臣の意見を求める形を取りながら、実際にはすでに結論を決めているところや、ルミラが実力を認められながらも余所者として距離を置かれているところなど、宮廷内の政治的な空気も興味深いです。
最初は畑仕事から逃れたいと考えていたレオが、わずかな間に騎士見習いとなり、大陸への反攻作戦に参加する立場になってしまった。この急激な環境の変化の中で、レオやエリシュ、スズ、そしてルミラがどのように関わっていくのか、とても気になる展開でした。
レオの初陣というだけでも緊張感があるのに、敵陣への奇襲、魔鉱兵同士の戦闘、エリシュの過去まで一気に明かされ、非常に密度の高い場面でした。
まず、地形を利用してプロトナイトを隠しながら接近し、レオが正面で敵の注意を引きつけ、その隙に騎兵部隊が陣地へ突入する作戦が分かりやすくて面白かったです。単純に巨大兵器同士がぶつかるだけではなく、砲台や防衛線、騎兵隊の役割まで描かれているので、本当に軍同士が戦っている感覚がありました。
特に印象に残ったのは、敵の若い騎士が故郷に残した家族のことを口にする場面です。レオの耳には敵味方を問わず通信が入ってしまうため、これから戦う相手にも帰りを待つ人がいると知ってしまう。この描写によって、初めて巨大な身体を自由に動かせるレオの爽快感へ、戦争の重さが急に入り込んでくるのが切なかったです。
その直後に、父リカルドから教えられた「相手は無意識に自分の思考を予告している」という教えが生きる流れもよかったです。旅立つ直前の稽古がここでつながり、レオが決して操縦の才能だけで勝ったわけではなく、父から受け継いだ観察力を使って戦っていることが伝わりました。「奥義……の、ようなものだ」と少し照れたように説明するリカルドらしさもあり、その後の「必ず生きて帰ってこいよ」という言葉がより胸に残ります。
最初の三体を倒したことでレオが一気に活躍するのかと思わせておいて、ノイシュのアークナイトにはまるで通用しない展開にも引き込まれました。突撃からの急制動、蹴り、剣を囮にしたシールドバッシュと、レオが一手先を読んでも、そのさらに先を行かれてしまう。ノイシュがただ地位の高い指揮官なのではなく、本当に経験と実力を備えた強敵だと分かる戦いでした。
そして何より驚いたのが、エリシュとノイシュが兄妹だったことです。エリシュが以前語っていた「事情があってよそから独り流れてきた」という過去が、ここで一気に大きな意味を持ちました。ノイシュが皇太子妃という地位まで用意すると持ちかけても、エリシュが「そういう兄上だから、私は故郷を捨てたのです!」と言い切る場面が格好よかったです。彼女がイライザに忠誠を誓う理由にも、単なる恩義だけではない強い信念があるのだと感じました。
最後にはルミラの長距離砲撃によって、敵の防衛線ではなく船着場を狙い、退路そのものを断とうとしていることまで判明します。ノイシュもすぐに狙いを察して撤退を決断しており、両軍の指揮官が互いの意図を読み合っているところにも緊張感がありました。レオの初陣、ノイシュという強敵、エリシュの出自、ルミラの作戦と、今後につながる要素が一気に動き出した、とても読み応えのある戦闘回でした。
王都に到着してすぐ国王への謁見ではなく、秘密の作業場へ直接連れていかれる流れに、一気に物語の核心へ踏み込んだ感じがありました。敵軍が迫っているのに市街地は普段どおり賑わっているという描写も印象的で、まだ戦争を遠い出来事として捉えている人々と、王城内部の切迫した状況との温度差がよく伝わってきます。
そして、ついに登場した王国製の魔鉱兵が格好いいです。魔術師だけではなく、パペットたちまで整備作業をしている光景が面白く、魔法と工業技術が混ざり合ったこの世界ならではの開発現場になっていました。大きな手のひらに乗って操縦室へ向かう場面も、機体の巨大さが視覚的に伝わってきてワクワクします。
スズもかなり個性的な人物ですね。魔鉱兵開発チームの主任を務めるほど優秀で、説明も分かりやすい一方、レオを見て露骨に期待を外されたような反応をするところには思わず笑ってしまいました。凛々しいエリシュのほうが操縦者だったらよかったのに、と考えている本音も隠しきれておらず、レオとの関係が今後どう変化していくのか楽しみです。
操縦装置の仕組みも丁寧で、特に装甲の内側へ外の景色を投影する構造が興味深かったです。単にレバーで動かすのではなく、レオの身体感覚が魔鉱兵と一体化し、立ち上がろうと考えるだけで巨大な手足が動く。その感覚を「夢を見ているときのように溶けて」と表現しているところも印象に残りました。剣や鍬の刃先にも触覚はないというレオの考え方には、これまで父に畑仕事をさせられてきた経験が思わぬ形でつながっているようにも感じます。
ただ、起動実験に成功したばかりの少年へ、休む間もなく港町の奪還と敵戦力の殲滅を命じる展開には驚きました。ルミラの穏やかな口調と、要求している内容の重さとの落差が怖いですね。しかも味方は後から追いつくので先に戦ってほしいという、あまりにも実戦的な初任務です。レオが「やってみなくちゃ」と答えるのは頼もしい反面、機体の限界も自分の魔力の限界も分からない状態なので不安も大きく、初めての出撃がどのような結果になるのか気になります。
エリシュとレオが二人で旅を始めたことで、それぞれの性格や内面がぐっと見えやすくなった回でした。乗馬に不慣れなレオがエリシュの前に乗せられ、頭を預けても胸甲がごつごつして心地よくないという冒頭から、二人の微妙な距離感が伝わってきて面白かったです。華やかな旅立ちではなく、薪拾いや火起こし、硬いパンと葡萄酒という地に足のついた描写なのも、この世界の旅らしい空気を感じさせてくれました。
特に印象に残ったのは、エリシュが自分の過去を少しだけ語る場面です。よその土地から一人で流れてきた根無し草でありながら、拾い上げてくれたイライザへの忠誠を何より大切にしている。彼女の忠義が単なる騎士としての形式ではなく、居場所を与えてくれた相手への恩義から生まれていることが分かり、人物像に深みを感じました。「私がおまえを守ってやる」という言葉にも、強さだけでなく不器用な優しさが表れていたと思います。
一方のレオも、祖国を救いたいという立派な理由だけで王都へ向かっているわけではなく、「ここで引き返したら死ぬまで畑仕事だから」「現状を変えたい」という率直な動機を口にするところがとても人間らしかったです。大きな使命を前にしながらも、まだ英雄ではない少年の本音がきちんと描かれているので、素直に応援したくなります。
また、エリシュが帰りたくなったら自分が話をつけると言った直後、レオがそれによって彼女の命が危うくなる可能性まで察しているところにも驚きました。世間知らずで乗馬も不得意ですが、決して鈍い少年ではなく、相手の立場を考えられる優しさを持っているのですね。その答えを聞いたエリシュが、レオを「守るに値する」と感じる流れにも納得できました。
星空と焚き火の静かな場面の中で、二人の信頼が少しずつ芽生えていく様子が丁寧に描かれていて、とても好きな回でした。最後にエリシュが眠らず、剣の柄に手を掛けて周囲を警戒している姿も格好よく、口先だけではなく本当にレオを守ろうとしていることが伝わってきました。まだ出会ったばかりの二人が、王都までの旅とその先の戦いを通してどのような関係になっていくのか気になります。
前半の大規模な戦争描写から一転して、鍬を振るうレオと父リカルドの日常から始まる構成が印象的でした。世界では王国の存亡に関わる戦いが起きているのに、レオにとって目の前の問題は「なぜ騎士の家の自分が畑仕事をしなければならないのか」という不満なのが面白く、彼の年相応な性格が自然に伝わってきます。
一方で、リカルドが「領民が飢饉で苦しんでいるとき、この畑が役に立つ」と考えて自ら土を耕しているところには、騎士として領民を守るという彼なりの信念が感じられました。単なる変わり者の父親に見えながら、実は戦うこと以外の方法でも人々を守ろうとしている人物なのだと思うと、とても好感が持てます。
そんな穏やかな日常の中へ突然、王都からの名指しの召集が届く展開にも引き込まれました。軍港を壊滅させた帝国の新兵器と同じものを王国も製造したという話から、レオが呼ばれた理由が、その兵器を扱える適性に関係しているのではないかと想像が膨らみます。これまで畑仕事をしていた少年が、急に国の命運を左右する立場へ連れていかれる落差が大きく、物語が一気に動き始めた感じがしました。
護衛として登場したエリシュも魅力的ですね。最初は子供の護衛を命じられて戸惑っていたのに、仲間たちに送り出された直後には「明日と言われて明日まで待つ馬鹿があるか」と予定を前倒しする行動力を見せるところが格好よく、それでいて少し豪快で親しみやすいです。円陣を組んで盛り上がる女騎士たちを見て、レオだけがうんざりしている場面も微笑ましく、今後の二人の掛け合いが楽しみになりました。
最後のリカルドの「息子を、頼みましたぞ」という言葉には、急な召集への不安と、それでも息子を送り出す覚悟が込められているように感じます。レオが王都で何を見て、あの新兵器とどのように関わっていくのか、とても気になる導入でした。
Ⅰへの応援コメント
冒頭から、燃え上がる港町へ巨大な魔鉱兵たちが海を渡って進軍していく光景に一気に引き込まれました。騎士や帝国という重厚なファンタジー要素と、艦砲射撃や信号弾、部隊を振り分けるハンドサインといった軍事的な描写が自然に組み合わさっていて、独特の世界観がとても格好いいです。
特に、圧倒的な力を持つアークナイトが砲台をなぎ払い、後続部隊の突破口を開いていく場面は映像が浮かぶような迫力がありました。その一方で、味方の砲撃に対してノイシュが「戦争屋は、馬鹿のひとつ覚えで……!」と苛立つところからは、彼が単純な熱血騎士ではなく、戦場を冷静に見ている指揮官だということも伝わってきます。
「一人も欠けることなく、故郷に凱旋しよう」と兵士たちを鼓舞しながら、内心ではこの国を自分の出世の踏み台にしようとしている。その表と裏の落差が印象的でした。最後の「口元は笑ってはいなかった」という一文にも不穏さがあり、帝国最後の戦いが単なる勝利では終わらなさそうで、これからノイシュやウェルスランドに何が起こるのか気になります。
ユウグレムシ 様
企画を通して、まずは拙作をお読みくださりありがとうございました。
気になったことが多いのですが、処女作だったということで細かい点は割愛します。
文字数的に公募用の作品ではなくWeb小説かと思いますので、その前提でコメントさせていただきます。
魔鉱兵という剣を駆使して戦うロボで、それを操るのが騎士というのが面白いと思います。
第一話のⅠの4話目でロボが出てきて、その後に見せ場の戦闘が入るテンポが良いと思います。
物語の書き出しの流れとして興味が惹きつけられると思いました。
気になったのは登場人物の外見の描写がほとんどなく、何歳くらいでどのような顔立ちなのか分からなかったことでした。
恐らく主人公はレオさんなんだろうか、と思っていたのですが何歳くらいか分からず勝手に十八歳くらいかと想像していました。
戦闘シーンだと「子供」と呼ばれていて、もしかして十二歳くらいなのかとも思ったのですが、大人から見れば十八歳でも子どもにも見えますし、読みながら余計な疑問が出てきて没入感が削がれました。
人物に対する情報が少ないので、そこがずっと引っかかっていました。
人物の描写の少なさについては、例えばⅠの2話でリカルドさんに関して「わざわざ人力で鍬を振る」みたいな書き方があるので外見よりもそういった説明で人物の人柄を表したいのかとも思いました。
Ⅰの5話で見せ場として必要なのは分かるのですが、いきなりレオさんを実戦投入するのはやはり少し唐突な気がしました。
「どうしていきなり読んだ子供を?」と思ったのですが、その辺は後で魔力をもっている可能性があるから選ばれたと分かって良かったです。
とはいえ、「数少ない魔鉱兵を操縦できる人をいきなり実戦に投入して死んだらどうするんだろう」とも思いました。
守るためにエリシュさんがいたとは言っても、ここは少し気になりました。
あと、ナイトに乗っていた騎士は死んだのか気になりました。
レオさんが気にしていた描写はあるのですが、私が見落としたのかもしれませんが結果が分からなかった。
初めてレオさんにとっては人を殺したかもしれない経験なので、そこは生きているかどうか分かるようにした方がいいような気もします。後で実際に殺して葛藤するシーンがあるのかもしれませんが、それだと尚更かと思います。
ありがとうございました。
作者からの返信
お読み頂きありがとうございます。
このコメントとは別にファーストインプレッションを頂いておりますが、こちらに返信させて頂きます。
>勝手に十八歳くらいかと想像していました。
十八歳のメンタリティって、もっとしっかりしてるようなイメージがあります。
なにも説明しないと12~18ぐらいの年頃に見えるんですねー。参考になりました。
キャラの外見に限らず、描写していない箇所については、どう想像して頂いても構わないつもりで省いています。
(必要なのに描写し忘れてるところもたぶんありますが)
それと、好きな作家さんがキャラの外見描写をほとんどしない人で、その人の猿真似でもあります。
素人が半端にプロを真似るものじゃないですね。
>「数少ない魔鉱兵を操縦できる人をいきなり実戦に投入して死んだらどうするんだろう」
おっしゃるとおりです!!
>初めてレオさんにとっては人を殺したかもしれない経験なので、
>そこは生きているかどうか分かるようにした方がいいような気もします。
>後で実際に殺して葛藤するシーンがあるのかもしれませんが、それだと尚更かと思います。
そこはちょっと言えない理由がありまして、あえてぼかしたのですが、
「主人公のやっていることは人殺しでは?」という問題については、
第Ⅱ話や第Ⅳ話、最終話などでのちのち掘り下げています。
作品の根幹にかかわるテーマのひとつかも……。
読者様の勘が鋭いのも分かりますし、ちゃんと読んで頂けたのも分かりますし、目の付けどころがすごくいいと思いました。
素晴らしい感想をありがとうございます!
いずれまたお時間のあるときにでも、お気に召しましたら最終話まで付き合ってやってくださいませ。
追記:
ファーストインプレッションかと思ったコメントは別の方でした。失礼しました!
コメントを頂いたタイミングが近かったので勘違いをしておりました。
物語の設定がしっかりしているのと、敵キャラの描写まで丁寧で、力作なのが伝わってきました。^^
タイトル、硬派で格好いいですね。
作者からの返信
応援ありがとうございます!!
ギフトまで頂けるとは!!
タイトルについては「これしか思いつかなかった」というのが正直なところです。
魔鉱兵の話だから魔鉱騎兵物語。
(「騎士道物語」にも引っ掛けてあります)
欲を言えば、好きなキャラとか、好きなエピソードとか、
具体的な内容についてどう思ったか感想を述べてほしかったのですが、
自分で読み返しても疲れる作品ですし、
他人様に求めるのはやはり酷かもしれませんね……。
本当にありがとうございました。生きててよかった。
への応援コメント
今回は大森林編の締めとして、戦闘だけでなく、それぞれが何を選んだのかまで綺麗にまとまっていて印象に残りました。
まずレオとノイシュの一騎討ち。ノイシュがプロトナイトの新しい防御能力を見て、すぐに戦い方を変えてくるあたりはさすがですね。ただ強いのではなく、「相手に合わせて勝ち筋を組み替える」から厄介なんだと改めて感じました。
その一方で、二人の会話も興味深かったです。
ノイシュにとっては、競争して上へ行くことが社会を生きる当然の姿。対してレオは、そこまでして他人を踏み台にすることに納得できない。この二人は単なるライバルというより、かなり価値観そのものが対立しているんですね。今後何度戦っても、剣だけでは決着がつかなさそうです。
そして、都ではみんなが盛大に盛り上がっているのに、レオが一人で戦っていることを途中まで忘れている流れには笑いつつも、リムの言葉が刺さりました。
「レオなら大丈夫」と信頼することと、「だから一人に任せていい」は違う。
前にレオ自身が、周囲から期待され続けることへの不安を話していただけに、ここでリムがその部分に気づいてくれるのが良かったです。「四番手になるつもりないから」まで含めて、リムは本当に遠慮がないですね(笑)。
そしてまさか、最後に助けに入るのがあの狼とは。
川辺での出来事や、メルの竪琴を聴いていた場面がここへ繋がるとは思いませんでした。人間側から見ればただの猛獣でも、狼の側には狼なりの判断や関係があったのだと思うと、大森林そのものがレオ達を認めたようにも感じられます。
後半では、森の民が解放されたからといってウェルスランドの支配下に入るわけではなく、王が「兵を森に置くことは許さない」と釘を刺しているところも好きでした。
助けてもらったから全部言うことを聞く、ではないんですよね。協力はするけれど、自分達の土地と主権は守る。この距離感があるからこそ、今後の同盟にも説得力が出そうです。
そして最後の、
「世の中にはわざわざ言わんでいいこともある」
には笑いました(笑)。
大砲を向けていた事実をそっと胸にしまいつつ、「武力を振るわず戦を防ぐこと」を語る締めまで含めて、この章らしい終わり方だったと思います。フェリアの名前も最後に出てきましたし、大森林で得たものが今後どう繋がっていくのか気になります。