夜伽ののちルナ・ナイト・シティ

 もともと鍛え抜かれているアイハンさんの身体です。

 肌なども、アイハンさんの記憶には無いほどの艶があります。


 しかしアイハンさんは、

「いかん!とにかく磨かなくては……」

 体の隅々まで、念入りに洗っています。

 そう、今夜は夜伽なのです。


 アイハンさんは体を洗いながら、忍さんに教わった隠語を確かめていました。

 ミコ様の女たちの仲間に入るためには、必須の知識と思ったのです。


「どうも私は夜毎の事はわからないようだ……」


「ミコ様はその方面では名人です、任せればいいですよ」

 忍さんはそのように云いました。


 その夜のミコ様は激しかった……

 アイハンさんは無我夢中で、命じられたことはなんでもしました。


 全身を貫くような快感が走る……


「ミコ様……もうなんでもいたします……アイハンを……棄てないでください……」

 アイハンさんは何が何だか分からなく、ただただ棄てないで……と繰り返すばかり……


 そして朝が来ました。

 ミコ様に命じられることが無上の幸せに感じられる。

 アイハンさんは女奴隷の幸せを、心身ともに知ったのです。


 その後、二人は昼前まで、ベッドで抱き合って寝たようです。


「アイハン、良かったわよ、もう私の物ですよ」


 ミコ様の言葉がうれしいアイハンさん。

「ありがとうございます、私はミコ様の所有物です、この体、この心は全てミコ様のものです」

「私はミコ様のご命令をお待ちしています、どのようなご命令でも必ず成し遂げます」


 ミコ様は忍さんになにやら連絡してから、アイハンさんにいいました。

「私は今からルナ・ナイト・シティへ行かなければなりません、ついてきなさい」


 二時間後、二人はルナ・ナイト・シティにいました。


 コペルニクス・クレーターの外輪山に、ドームをかけて作られている都市。

 重力制御装置や空気製造装置、穀物と野菜の食糧製造工場もあり、空は夜空……ドームの外にはテラが見えます。


 ところどころに太陽光を集めた広場、サン・テラスがあり、そこにホテル街ができています。


 ここはいまや大娯楽都市で、マルスに移住できたマシなラスベガスの資本が牛耳っており、テラの小笠原ステーションとも宇宙鉄道がつながっているのです。


 先ごろこのルナ・ナイト・シティは、惑星テラに移管された、今のところ問題はないような……

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