アマテラスの休暇


 すこし時間を遡って、ベティ女子スクール付属小学校の遠足、そのランチの招待状がアメリカメイドハウスに届いた頃、アマテラスさんはマルスのアマゾネス婦人戦闘団の視察にやってきていて、『ベティー・ブーブ・ショーボート』に泊まっていたのです。


 相手をしていたのが、アリシア・デヴィッドソンさん。

「視察、ご苦労さまです、この後、休暇とか聞きましたが?」


 アマテラスさんが、

「別に不要なのですが、ヴィーナス様がゆっくりしなさいとおっしゃって、このまま『ベティー・ブーブ・ショーボート』に、お世話になろうかなと思っています」

「予定はないのですか?」とアリシアさん。


 アマテラスさんは、

「別に取り立ててはありません、私はこのようなことは初めてでして、休暇の過ごし方など知らないのです」


 くすくす笑ったアリシアさんが、

「プラネテスを率いる、最強戦士のアマテラス様も休暇は未経験なのですね」


 アマテラスさんが、

「はじめての経験は、誰かに導いてもらわねば分からない、ということです」

 さらに笑ったアリシアさんでした。

 そして、

「では一つ、暇つぶしに私に協力してくれませんか?」

「かまいませんが、なにをするのですか?」とアマテラスさん。


 アリシアさんは、

「もうすぐアメリカメイドハウス管轄の、ベティ女子スクール付属小学校の、四回生の遠足があるのです」

「その日は生徒たちと一緒に、女親などが同行することになっています」


「一応、生徒から招待状が届き、それに返事を出すことになっています、でも中には出したくても出せない生徒もいるのです」


「ベティ女子スクール付属小学校は無料で、寄宿舎も完備していますので、親のいない優秀な子供さんたちも在学しているのです」


「そのような子はアメリカメイドハウスに招待状をだし、メイドたちの誰かが親代わりとして参加するきまりです」

「どうです、一つアマテラス様も人類の小さな娘さんの、一日保護者になってくれませんか?」

 

「私が?向いていないと思うが?」とアマテラスさん。


 アリシアさんは、

「たぶんセシリーさんも参加されるでしょう、お孫さんも参加するので、なにかあっても、彼女が何とかしてくれますよ」

 

 こんな話があり、アマテラスさんはアリシアさんに押し切られ、最後に残っていた招待状に、自分の名を書いたわけです。

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