コロニー活用計画


 オルゴール通信をかけると、はたしてディアヌさんはルテティアにいました。

「私に知恵?確かに考えはありますが……そうね、やはりヨーロッパの問題、二人でよい提案を作りましょう、明日、スペース・ラグーンで話をしませんか?」


 リュリュさんを連れて、ディアヌさんはやってきました。

 勿論ナスターシャさんはクセーニャさんを連れています。


 ディアヌさんの考えでも、日本ホームとアメリカホームからは、『皆の意見に従う』という意見にまとまるとの事です。


 ディアヌさんは、

「でもそんなに揉めないはずよ、事務局はすんなり通るはず」

「問題はコロニーの性格をどうするかだと思うの、ナスターシャさんはどう思う?」


 ナスターシャさんは、

「私が思うには、やはりコロニーはメイドの地域出身の集まり、そうですね、管理官府のように、細かく対応する組織、各国の地域を管轄する……うまく言葉にならないけど……」

「それよ!管理官府よ!」


 ?


 ディアヌさんが、

「ハウスは執政官府、コロニーは管理官府、いままで全てハウスで行っていた仕事をコロニーに委譲する」

「ハウスが大きくなれば、当然発生する問題、誰も認めざる得ない、ましてコロニーは廃止されたわけではない……」


「仕事を移譲するとは?」とナスターシャさん。


 ディアヌさんは、

「事務手続きなどをするのは、一般女官の方たちや『女給』さんたち、この方たちを採用後は、メイドハウスの裁量で該当コロニーに配属するのよ」


「マルスのハウスは結構忙しいですから、レイルロードのパスポート発行など、地域ごとに細かく分けるのは、サービス向上につながる」


 ナスターシャさんが、

「でも献上品の話はどうするの、小型のハレムにはならないわよ」


 ディアヌさんは、

「そこよ、管理官府職員といえど、メイドに昇格できる道はあるでしょう、ここの間口を広げればいいのよ」

「ナイトガールってご存知、ミコ様のために、企業が抱えている専門のコールガールだけど、今ではその道の専門家などは採用しないわ」


「ナイトガールとはハレムの外のメイド補助、そのように取られているわ、あわよくば寵妃の位が手に入る、チタニアステーションのハイデマリーさんがひねり出した考えだけど、ストレート過ぎて百合の会議で批判を受けた、しかし、この考えを拝借しましょう」


 ナスターシャさんが、

「つまりこういうことね、復活させるコロニーには、増大する事務処理のために増員する『女給』さんたちの任用管理のため、そしてレイルロードのパスポート発行など、ハレム本来の仕事以外を移譲する」


「そしてここが肝心なところでしょうが、『女給』さんたちにも、メイドに昇格する制度をつくる、ただ事務処理を担当する一般女官ならその都度、名誉付きとして昇格させればよいが、ミコ様のお側近くに使える以上は、侍女でなければならない、つまり抱かれる覚悟が必要」


「ハレム外で、その覚悟を求められるのはナイトガールのみ、だから管理官府職員の中に、ミコ様のお身の回りのお世話ができる資格としてナイトガールを設定する」


「その通りです」とディアヌさん。

 そして、

「この計画を正直にサリー様には申し上げておくことが肝要、内諾を得るためには『仕方ない』がいいわね」

 

 こうしてまとめられたのが『コロニー活用計画』、ハウスキーパー事務局にエカテリーナさんが提出すると、


 マルスのホーム内の事、コロニーは制度として生きている。

 運用方法で対処できるので、ナイトマネージャーの職権で行われたい。

 との返事が返ってきました。

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