第33話負ける事は死と同義と思いなさい
「ラーク王国現国王、デミウルス・ドミスラーク国王へスーラ聖教国、ミシェル教皇様よりお言葉を頂いております」
「ふむ、申してみよ」
このリリアナという娘の不敬な態度には苛立つものの、ここで騒げば私の命が危ないと、湧き出てくる怒りをぐっと堪えてミシェル教皇からの伝言を言うように促す。
「では『勇者を失った王国は神に見放されたという事でしょう。それは女神の怒りを買った何かがあると考えております。しかし、女神は寛容なお方でございます。我がスーラ聖教国の下につくと言うのであれば救われるでしょう』というお言葉を頂いております」
「ふ………ふざけるな小娘がっ!!」
しかし私の堪忍袋の緒もこの娘、並びにミシェル教皇からの言葉と態度に切れてしまい、怒りのまま怒鳴り散らす。
当たり前である。
この娘、並びにミシェル教皇は王国をスーラ聖教国の植民地となれと言っているのだ。
到底受け入れられるものではない。
そして私が呼んだ護衛である近衛兵達がここに来るまであと数十秒、更に万が一何かあったとしても私の影が複数人潜んでる為例えこの娘が武力で訴えかけてこようとしても護衛が来るまでは何とかなるであろう。
影と言えども国王である私の影であるのだ。
武力ではなく潜むことに能力を割いている為近衛兵程では無い物の、それでも一定以上の武力は有している。
「かしこまりました。では貴方を邪教徒と判断させて頂きますので世界の平和の為にもここで死んで頂きましょう」
そうリリアナという娘が宣った瞬間、どこからともなく私を護衛するように影が現れる。
「この私に刃を向けるという事は皆さま邪教徒ですね。一か所に邪教徒が集まって頂き探す面倒が省けたので助かりました」
そしてリリアナはまるで鼻歌を歌うかのように私の影を何の苦も無く、次の瞬間には六人もいた影たちを一瞬にして全員切り伏せていた。
この、目の前で起きた光景に私はこの娘がスーラ聖教国四翼であると本当の意味で理解する。
「はい、私のお仕事はおしまいですね。ただ、この馬鹿が呼んだ近衛兵とかいう邪教徒もついでに掃除しておきましょうか」
「な、何を言って………っ」
そしてスーラ聖教国四翼が一人であるリリアナは仕事が終わったと言うではないか。
しかしまだ私は生きているのでリリアナが言っている意味が分からず問いかけようとしたその時、私の視界は徐々に傾き始め、声は出せなくなり、そして───最後に見た光景は首から上が無い私の身体であった。
◆
「と、いう訳でいよいよ今年も全国の学園、魔術学園及びう騎士学園合同学園対抗武闘大会の季節となりました」
本日、妹を何とか日本へ送り返し今現在、周りには相も変わらず一癖も二癖もある変態達により平穏ではないものの妹が居ないという意味では平穏な学園生活を謳歌している。
最早現地の変態共は諦めているのである意味では悟りの境地もすぐそこまで来ているのではと思えるほどには何とも思わなくなった俺を誰か褒めて欲しい物である。
別に、日本で妹が居ない間に賢者タイムを発動でき心も体もリフレッシュできたからとかではないのでそこは間違えないで欲しい。
そして今現在、本日の授業は全て終了し残すは終ホームを残すのみである。
「いいですか皆さんっ!生徒会長やレミリア様にその婚約者であるクロード様がいるからって気を抜いてはいけませんよっ!!今年こそは個人優勝だけではなく総合優勝をし、あの憎きセントラル騎士学園、特にあの行き遅れの女騎士教師にどちらが上か思い知らせてやる時が来たのですっ!!みんな死ぬ気で勝ちなさいっ!!負ける事は死と同義と思いなさいっ!!良いですねっ!!」
「今年も個人優勝はうちで間違いねぇなっ!!」
「それに何といっても生徒会長やレミリア様にその婚約者様がいるんだっ!!総合優勝も頂いたも当然だぜっ!!」
「これで『でも総合優勝はセントラル騎士学園だから真の世界一はセントラル騎士学園です。詳しかったら総合優勝してみなさいよ。まぁ、できればですけどね。そういえば帝都魔術学園などという名前だけの魔術学園様は以前総合優勝したのはいつでしたっけ?あ、一回もありませんでしたね。まさか帝都という名を頂いているにも関わらず一回も総合優勝したことが無いだなんて思いもよりませんでしたもので。ごめんなさいね、無知で。オーホホホホホホッ!!』とか上から目線で言われてきたこの一年間の雪辱を晴らし、どちらが真の世界一か圧倒的大差で見せつけて差し上げますっ!!」
教室、クラスメートたちのいつになく真剣な目線の先には担任が血走った目で演説をかまし、生徒たちが各々感情を爆発しているこのカオスな空間を果たして終ホームと呼ぶのかどうかはさておき、しれっと俺の名前が当たり前の様に渦中の存在として加えられているのは何故だろうか?
まぁ、最悪出るとしてもサレンダーすれば良いだけだしな。
「旦那様は個人優勝した場合は何を選ぶのだ?」
そんな消極的な事を考えている時、レミリアが個人優勝した場合を聞いてくる。
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