第20話 薬草納品

 次の日、私は朝から冒険者ギルドに来ていた。

 もちろん昨日採取した薬草の納品である。


 納品は受付とは別になるらしく、指定された場所に向かった。

 途中建物から一度出て、中庭らしき場所に行くとそれらしき場所がある。冒険者らしき人物が数人並んでいる。


 最後尾にならびながら、念のため一番後ろの冒険者に声をかける。

 やっぱりここで納品するらしい。

 声をかけた冒険者が話好きだったようで、色々話しかけてくれる。どうやら早朝でそんなに並んでいないが、夕方は長蛇の列が出来るらしい。

 後はモンスターの死骸を持ち込むときは臭いや血が室内に散らないように裏口から入るのがマナーだとか、色々と有益な話を聞いた。

 そのうちにようやく自分の番が来たので、カウンターにいるギルドの職員に、ギルドカードと依頼のかかれた木片を差し出す。


「はい、Fランク冒険者のクウ様ですね。薬草採取の依頼の納品ですね。こちらは最低10株からの納品となります。こちらのトレーにお願いします」


 受付の女性職員が木製のトレーを差し出してくる。


(最低10株からなのかっ。全然聞いてなかった。多めに採ってきて良かったよ)


 私は内心胸を撫で下ろしながら肩掛けカバンから薬草を取り出してトレーに積んでいく。シュンとディアナ、血吸コウモリ達の頑張りで百株近くの薬草を採取してきた。

 一皿目のトレーがあっという間にいっぱいになる。

 少し慌てて職員の女性が二皿目のトレーを出して来るので、私はそちらにもいっぱい薬草を積んでいく。

 三皿目に取りかかった所で、慌てた様子で応援の職員を呼び出している。女性ギルド職員の声が漏れ聞こえてくる。


「先輩、先輩! ヘルプー。検品手伝ってぇーっ」


 事務仕事をしていた別の職員がやってくる。

 トレーの上に山と積まれた薬草を見て、一瞬ぎょっとした顔をしたその先輩だが、さすがに先輩だけあって、すぐに顔を取り繕うと、すごい勢いで薬草の検品を始める。

 いつの間に合図したのか、そのあとも二人ほどギルド職員が追加され、そんなに待たされることなく薬草の検品が終わる。


 どうやら私への応対も先輩に変わったらしく、声をかけてくる。


「クウ様、納品お疲れさまでした。依頼は無事に完了となります。薬草の状態ですが、一部を除き、大変素晴らしい状態でしたので、この分上乗せしてお支払になります。こちらが根が痛んでいて、通常価格での買い取りとなるものです」


 そういって差し出された薬草は、私が自分で採取したものだった。


(ありゃま。やっぱりディアナ達の方が採取上手だったか。まあ、仕方ないね。それにしても、ちゃんと状態確認して選別されるんだね。検品も早いし、相当優秀なんだろうな)


 私が薬草を見ていると、先輩は報酬をトレーに乗せて差し出してくる。


「こちらが報酬になるのでご確認下さい」


「はい、確かに確認しました」


 私は枚数を数え、肩掛けカバンにしまう。


「あ、そうだ。これなんですけど、ギルドで買い取っていますか」


 私はついでに、大きな動く木から採ってきた枝と紫色の石を差し出した。

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