第11話
「どっちにしろ一生懸命しないといけないんだったらさ、あたしみたいにもうやること決めてるほうがいいんじゃないの?」
かりんとうがなくなって手持ち無沙汰になってしまいはなが話に参加しだした。
「京子ちゃんもまりのちゃんも先どうするかわからないから言いあってるんじゃない。京子ちゃんがバリバリに働くにしろ、まりのちゃんがいい人見つけるにしろ、どっちにしろそれがどうなるかわからないわけじゃない? もしかしたら京子ちゃんまりのちゃんみたいな人の部下になるかもしれないし、まりのちゃんもダメ男つかまえるかもしれないし」
『うっ』
一番いやな未来を想像させられて二人がうめく。隣でみかこまでもがうなづいていた。
「それにくらべたらさ、あたしみたいに八百屋って決まってるほうがよっぽどやるべきことも決まってきて得だと思うな」
これといった将来の心配のない立場から気楽に言われた。サラリーマンと公務員を父の持つ二人はその先行きの安定性を前にした気楽さに打ちのめされてしまった。
「そ……それは、そ……」
「はなちゃんはそれでいいけどぉ……」
何も言い返すことが出来ずもごもご口を動かす。言ったほうは気楽にお茶をすすっている。
「それにうちだったらお父さんやお母さんだけじゃなくて、弟たちとも協力できるしね。一人で無理しなくったっていいもん」
「うぐ……」
またも言葉を失った。兄弟の数もどうしようもない。
「はなちゃんはかわいい弟がたくさんいるからいいけど、わたし一人っ子だもん……」
ちょっと悔しそうに言う。ちらと京子を見た。それに気づいて口を開く。
「うちもお姉ちゃんいるけど、だからって一緒に出来ることなんてないわ……」
もう大学に入って家を出てしまっている。そして卒業したからといって家に帰ってくることもないだろう。そして帰ってきたとしてもそれだけにしかならない。
「ふふん」
はなはちょっと自慢そうだった。普段から兄弟仲がよく弟をかわいがっているため自慢したい様子だった。
なんとか一矢報いてやりたいところだったが、何も思い浮かばずふたりは歯噛みする。
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