第9話
言われた意味がわからないようでぽけーと見返していた。その表情を見る限り、まりのは少し安心する。
「み、みかこちゃんもそういうお話って入っていけてる……?」
恐る恐る質問する。だが返事は早かった。
「はい。もちろんですわ」
聞いて落ち込んだ。やっぱり自分の興味関心では届かないのかもしれない。
「大体お会いする人たちは同じような境遇の人たちですもの。共通のお知り合いも多いですから、そうした方たちのお話をしていれば話題はつきませんわ」
「そ、そう?」
なんだかそれならやれそうな気がした。目を輝かせて続きを促す。
「はい。先日もサウジアラビアの王族の方とお話ししましたが、なんでも支援されていた学生の方が今度アメリカで上院議員に選出されそうだって喜んでいましたわ」
「ほら見なさい! 全然レベルが違うじゃないの!」
鬼の首を取ったように京子が叫んだ。まりのも肩を落とす。
「そんな話じゃわたしどうしようもないよ……」
「そうでしょうか……でもわたくしの知っている方々って名家の方が多いですから……」
申し訳なさそうにうつむく。しかしそんな態度を殊勝と感じられる人間はこの場にはいない。
「だからこんな世界無理なのよ。実直にやっていくしかないの」
「うぅ……でもお金持ちになりたいよぉ……」
身もふたもない願望を口にしながらみかこを見る。15㎝の距離が永遠に感じられた。
「でもさ、なら京子ちゃんもどうなりたいわけ。うちなら八百屋継げばいいけど、京子ちゃんは違うんでしょ」
かりんとうがなくなってしまったので湯呑に唇の先をつけながらはなが聞く。
「そりゃ……偉くなるのよ」
急にふられて答えに詰まり、益体もないことを口にする。
「偉くって言ったって、みかこちゃんみたいにはなれないんでしょ。それまりのちゃんだけじゃなくて京子ちゃんも同じじゃない。ならなんで勉強するの?」
「…………」
いきなり核心をつかれて黙り込む。今までまりのへと向けていた刃が自分に突き付けられた。
「そ、それは……」
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