35「お誘い」①




「おはようございます、レダ先生、ミナ先輩、ルナ様、ヒルデ様」

「おはようございます、皆様。ご歓談中失礼します」


 朝食を終えて、今日はどうしようかと話をしていると、エンジーとルルウッドが部屋に訪れた。


「エンジー!」


 椅子を蹴倒さんばかりの勢いで立ち上がり、エンジーのもとへ駆けていくのはミナだった。


「おはよう、エンジー。ご飯食べた?」

「おはようございます、ミナ先輩。はい、しっかり食べました」

「えらいね、エンジー」

「ははは、ありがとうございます」


 もともとエンジーは朝が苦手で朝食を食べる気力がなかったのだが、ミナの差し入れによって朝食を食べる習慣ができたのだ。

 少食のエンジーが少しずつ食事をとるようになると、細すぎの身体に少し肉がついた。それでもまだ痩せすぎだが。


「……どうしよう、ルナ。この胸の中に渦巻く感情が言葉にできない」

「……パパぁ。うん、まあ、気持ちはわかるけどぉ」


 一見すると、年下のミナが年上のエンジーにお姉さんとして振る舞う微笑ましい光景のはずだが、不思議なことにレダの心はざわざわしてしまう。


「ふふっ。いえ、失礼。ミナ様のおかげでエンジーもすっかり元気になりました。昔からの友人として喜ばしく思っています」


 ルルウッドが苦笑しながらエンジーの変化を喜んでいた。


「それで、エンジーとルルウッドはどうしたのだ? 他の子たちはどうした?」


 ヒルデが尋ねると、ルルウッドが言葉を続けた。


「みんなは家族に会いに行きました。私を含め、王都出身ですからね。家族も友人もいるのです」

「そうだったか。うむ。家族とは顔を合わせておかないとな」

「ありがとうございます。とはいえ、言うほど顔を合わせていないわけではないのですが、せっかく王都に戻ってきましたで」


 ルルウッドたちは時間があれば家族に会いにいくと事前にレダに行っていた。

 もちろん、反対する理由はない。

 ちょうど、それが今日だっただけだ。

 彼らも朝早くからレダに許可を取るのは迷惑かなと思ったようで、ルルウッドとエンジーが残り、事後報告になるが伝える役目を担ったようだ。


「ふたりはいいのか?」

「僕はその、家族とはいろいろあって」


 ヒルデの何気ない言葉に、エンジーが暗い顔をした。

 彼は、治癒を持って生まれたために、家族や友人から利用された過去がある。

 そのために人付き合いが苦手であり、気が弱くなってしまった。

 そんなエンジーが一緒に王都に来ることができたのは、彼が成長したからだろう。


「すまん、余計なことを聞いたな」

「い、いえ、そんな」


 ヒルデが謝罪すると、エンジーが慌てた。

 そこに、ルナがフォローに入る。


「それで、二人揃ってあたしたちを訪ねてきたのは、報告だけ?」

「いいえ、教会から許可はいただいているのですが、よろしければ私の家に来てくださいませんか?」


 ルルウッドの誘いに、レダたちは顔を見合わせた。






 〜〜あとがき〜〜

 教会の外に出ます! 一応、出ることが可能な理由も次回!


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