第40話 オークの掃討やっと終わったぜ
俺達は、深淵の森をバロンに向けて繋げる道を、精霊魔法で整備しながら進んでいる。
既にファルム側から15kmに渡って街道整備を行っているが、現れる敵もオーク種を中心とした構成から、オーガ種を中心に構成したものに変わってきており、討伐難易度も跳ね上がっている。
それでも、俺達のパーティに加えて帝二人が居る現状では、殲滅速度が下がるわけでもなく今日も5km程の距離をバロン側へ向けて開発した。
俺はトールに質問してみた。
「なぁトール帝達はこの森の情報ってある程度持ってるのか?」
「いや、この森に関しては殆ど情報がないな、ただ中央部分に向かうほど敵の強さが跳ね上がる事位しか解らないなぁ、だがドラゴン種等の目撃情報が定期的にあるから中央部分に近づけば、ドラゴンの集落がある可能性もあるな」
「ドラゴンの集落というのは、魔物としてのドラゴンなのか?」
「いや、龍人族の集落だな、ここ1000年くらい目撃情報がないのだが、かつてこの大陸には高位龍が人化して暮らす集落が在ったという文献が残っている。それ程の存在が滅んだとは考えにくいし、総帝様は災厄の発生に関しての重大な鍵を龍人族が握っていると考えられているな」
その会話をしていると、マントヒヒの様な魔物とゴリラのような姿をした魔物の群れが、俺達を取り囲むような状態で現れた。
今まで見たことのない魔物だな、だが俺達を襲おうとして現れたと言うよりは、何かから逃げてきて現れたという感じだな。
それでも魔物である以上は倒すしか無い。
俺達は、30匹ほどの群れを殲滅して、俺のアイテムボックスに死体を放り込んだ。
トールが話しかける「コウキのアイテムボックスって容量はどれくらいあるんだ?」
「ん?普通はどれくらい入るものなんだ?俺のは一辺100メートル程の立方体の容量だな」なんとなく少なめに、言っておいた。
他の人間もLVに応じての容量だとしたらそこからLVを推測される可能性もあるしな。
その言葉に反応してサリアが「そんな容量聞いたこと無いよ、この前ゾルゲを収納したカプラが、頭と尻尾を取り外して、ギリギリ収納できたくらいだからね」
「ユノーのはその半分くらいで、私なんてこのゴリラだと3匹も入らないよ」
「そうなんだな、俺は他の人のがどうとか全然解らないけど、まぁ運が良かったんだろ」
「そう言えばさ、総帝って災厄と呼ばれる存在を何匹か倒してるんじゃないのか?」
「んー、私が聞いた話だと倒したのは一匹だけで、それもゾルゲよりは全然弱かったって言ってたよ」
「てかさ、それで良く召喚使って倒せるとか思ったよな?」
「ダメ元? でやってみたんだけどね、召喚はカプラが知識を持ってたんだけど一生で一度だけしか使えないんだって、次に使える人がいつ現れるかも全く解んないらしいよ」
「そっか、でも俺はこの世界に来れて良かったって思ってるし、今では少し感謝してるからな」
「そう言ってくれるなら良かったよぉ、私達も心配してたんだよ、送還されなかった上にいきなり反対方向に猛ダッシュして走っていっちゃうから」
「俺な、LVアップした時に聴力とかがいきなり上がって、お前らが使い捨て勇者とか話してたのが聞こえたからさ、予備知識もなしにそんな言葉聞くとヤバイと思って当然だろ?」
「まぁそぅだねぇ、ごめんね」
そんな話をしてると、ゴリラたちがやって来た方角から、でかいトカゲ形の魔物が現れた。
「『レッサーアースドラゴン』だねBランクの魔物だから、それなりに強いよ、きっとこいつに追い立てられて逃げてきたんだねお猿さん達」
俺は一番気になったことをサリアに聞いた。
「こいつ美味いのか?」
「うん、凄い美味しいよ。焼くと肉汁がジュワーッと溢れ出してきて王都でも大人気の食材だよ」
「よし、コイツラを徹底的に狩ろうぜ」
俺達はまず目の前に現れたレッサーアースドラゴンを速攻で倒して、他の個体を求めて森の奥へと入っていった。
薬草の群生地なども発見することが出来、収穫も大きい。
1時間ほど、索敵を続けていると、かなりの大きな魔物の集団を発見した。
レッサーアースドラゴンとオークが争っている。
このオークは俺達が殲滅した集落の残りっぽいな、これはラッキーだ。
こいつらを殲滅したら、俺の村落も安全性が大きく上昇するぞ。
状況を把握すると、レッサーアースドラゴンが3頭、オークは200頭、オークジェネラル2頭、オークキング1頭が確認できた。
俺は皆に指示を出す。
「こいつらは全部殲滅するが、前回の様に燃やしてしまうと売れなくなるから、各個撃破で倒していくぞ、トールとサリアは、レッサーアースドラゴンを頼む。俺はジェネラルとキングを狙っていくから、アラン達はオークを殲滅して行ってくれ」
それぞれが了解して展開した。
俺は周りのザコ敵をある程度減らすために、投石でジェネラル達が居る場所までの敵を倒していく。
アランやサリナも雑魚オークを連携しながら倒していっている。
ジェネラルをしとめることに成功した俺はキングに鑑定を掛けた。
LV303か今まで出会った魔物の中だと、ゾルゲを除くと最強だな。
でもこれくらいなら、そんなに問題は無いな。
フローラの打った剣を出して、一太刀で切り捨てた。
こいつのトンカツはきっと旨いはずだぜ!
きっと中に捕らわれた女性たちもまた沢山いる筈だ。
前回のオーク集落よりも規模が大きいしな、ユーリに念話で状況を伝える。
『ユーリ、オークの残党を殲滅した。今から内部の救出に向かう。受け入れ態勢を整えて欲しい』
『了解しました。少し人手も必要ですね。ファルムの大きな方の屋敷で風呂などの準備を整えさせたいので、一度私達を屋敷に運んでいただけますか?』
俺はオーク集落内部の探索を始める前に、受け入れ側の準備を整えることを、トールたちに説明し戻ってくるまでの見張りを頼んだ。
ユーリの要請を受け入れ、王都で購入した奴隷の女性と、ジョアンナも連れて大きな方の屋敷へと移動した。
ジョアンナの指示で手際よく風呂や着替えの用意を始めさせ、俺はユーリを連れ、オーク集落へと戻った。
内部に侵入すると、何とも言えない嫌な臭いで充満している。
獣人のサリアは、臭いでギブアップした。
やはり女性達は居た。
前回と同じようにオークに凌辱の限りを尽くされ、既に目からは光が失われている。
大きく腹部が膨らみ、出産直前と思われる女性たちもいる。
大分領域的に奥に入ってきており、ファルムよりも獣人国側の領土に近くなっていたこともあり、半数以上が獣人の女性だ。
当然人属では無い魔物の雌固体や動物の雌固体もいたが、それらは全部殺す事にした。
人属系統の女性だけでも40人程いる。
とてもつらい思いをしただろうな。
自殺防止の為のオークなりの知恵なのか、口に服の布切れを詰め込まれてる女性も多いな。
内部にいたオークの殲滅をアランとトールに任せて、俺はユーリと共に女性の保護を始めた。
みんな意識が朦朧としているが、俺が転移の為に触れようとすると、激しく抵抗する女性が多い。
ユーリに触れられると、抵抗はしない。
しょうがないから女性に触れるのはユーリで俺はユーリの手を握る形で、転移を行った。
以前よりはスキルLVも上がったために少しは効率が上がったが、40人の転移に5往復が必要だった。
無事に全員を連れ出した。
時空魔法と治療魔法を併用することで時を戻す。
前のオーク集落の時よりも時間も経過していた為に、一度で全員の治療は難しかったが、それでも全員の体の巻き戻しに成功して、穏やかな寝息を立てている。
トールから念話が入った。
『キングがもう一体出やがった。ちょっと手ごわい手伝ってくれ』
『解った、すぐに行く』
俺が再び転移でオークの集落に戻ると、キングがジェネラル3体を引き連れて大暴れしていた。
アランとトールもケガが激しい。
「下がってろ、アラン、トール」
そう叫ぶと、俺は今度はドラゴンイーターを取り出し、横なぎに一閃するとジェネラルの3体は倒せたが、キングは上手くジェネラルを盾に使って、躱しやがった。
大きな体から想像もつかないような、ジャンプをして俺に飛び蹴りを放ってくる。
間一髪で避けると、飛び蹴りの衝撃で洞窟が崩れ始めた。
「やべぇな、これじゃ肉の回収が出来なくなっちまうじゃねぇかよ」
土魔法と風魔法を発動して崩れ始めた洞窟を、外側に吹き飛ばした。
更に魔法を連発して、結局この集落になっていた洞窟のある小山を丸ごと吹き飛ばしてしまった。
後に残ったのは、結構な広さの広場だ。
これは、丁度中間点に近いし、ここに宿場町を作るのもいいかもしれないな。
怪我の功名ってやつかな?
「助かったコウキ、でもお前想像以上に滅茶苦茶だな、山一つ吹き飛ばすとかどんだけバケモンだよ」
「見た目じゃトールの方がバケモンっぽいから安心しろ」
そんな会話をしてると、まだ倒れていなかったキングが上空から飛び降りてきやがった。
ちょっとビビッて腰砕けになったトールを横目に
「貴重なトンカツが逃げ出さずに助かったぜ」
と声をかけ、俺は満面の笑みでオークキングの首を跳ね飛ばした。
これで、当分の間のカオルのカレーショップの材料には困らねぇぜ!
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