道中にて

 Side 三枝 ユキノ

 

 トラックの貨物室の中でシャーマンの動かし方を軽く確認する。

 パワードスーツは複雑な操作がいらないのが利点だ。

 セントリーロボットは町の防衛のために二機とも置いてきたが代わりに浮遊ドローンを搭載している。


『それにしてもユキノさん。どうして町の人を守ろうと? こんな危険な事をしようと?』


 運転室のアイから通信越しにそう言われた。


「自分でも不思議に思ってる。本当は恐いけど――だけど見捨てたくなかった」


『そうなんですか』


「ああ。こんな理由じゃダメなのかな?」


『いえ。それでいいと思います』


「うん。気づかれたら町の方へ一目散に逃げるよ?」


『分かりました。段々とユキノさんの事が分かってきたような気がします』


「どう分かったのか気になるね」


 どんな風に思われてるんだろう自分は。


『それで次の質問ですが』


「なんでしょうか?」


『どうしてニートになったのか不思議に思って』


「ああ、その事・・・・・・」


 アイは今も地球のネットに接続して学習し続けているのだろうか。

 機械らしさの中にどんどん人間らしさのような物が混じってきている。


『答え辛かったら忘れてください』


「いや――いいよ・・・・・・」



 自分がニートになった理由は単純に言えばブラック企業に引っかかったせいだ。


 それで精神を病んだ。


 そして人生とは何なのか分からなくなってきた。


 自分は頑張って勉強した。


 大学でも頑張った。

 

 だけどブラック企業に引っかかって自分の人生ってなんなんだろうと思うようになってしまった。


 まるで自分が全否定されたような。


 無価値だと判断されたような。


 そんな気分になったのだ。



「それからニートになって、家族の皆にも愛想尽かされて――独りぼっちでダラダラと引き籠もってたってワケさ」


「そう言うのがありふれてしまっているんですね。日本は。正直許せません」


「ははは・・・・・・そう言う返しされるとは思わなかった」


「核兵器で滅んだワケでもなく、余程の不義理を侵さない限りは生活に困ることもないにも関わらずそんな社会問題を放置する国も国ですね」


「うん。そうだね」


 本当に日本と言う国はなんなんだろうか。

 正直この荒廃した世界に来てからの方がイキイキとしてきているように感じてきた。


『古い地図ですがそろそろ目的地です。停車して浮遊ドローンからの偵察に切り替えます』


「分かった」  

 

 トラックを停車。

 目的地付近に辿り着いたようだ。

 ここから偵察を行うつもりらしい。


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