いたずら少女
窓から街灯が差し込む時間に私はいつもいたずらをするの。
誰もいない学校、ガランとした教室、真っ暗な廊下、こんなに私がいきいきとできる環境はほかにはないわ。ひんやりと冷たいロンリウムを音もなく走る快感はきっとあなたには分からないのでしょうね。
廊下を走るな、なんて言う人は嫌いよ。私は私が思うままに時間を過ごすの。私が良ければそれでいいの。
さてさて、どんないたずらを致したらいいのでしょう。さてさて、いったい誰を困らせたらいいのでしょう。私はいたずら少女。いたずらをすることが私が私である理由なの。
時間はたくさんあるのだし、別に今でなくてもいいのだけれど、今夜は月が出ていないから機嫌がいいの。女の子は気分屋なのよ。
よしよし、決めました。気になるあの子にいたずらしましょう。困ったあの子の顔が見たいから、ちょっぴり意地悪してしまいましょう。どんないたずらがいいかしら?
私も長いこといたずらをしてきたけれど、やっぱりワクワクするものね。楽しくって笑い声が口から漏れてしまうもの。暗い教室で笑う女の子も絵になるでしょう?
でも、いくら楽しくてもいつまでも笑っていちゃダメ。いたずらが成功したときにとって置いておかなきゃね。
笑いながらいたずらを仕掛けるようになるほど私も落ちぶれちゃいないわ。いたずらを仕掛けるときはいつも真剣よ。そうしないと成功したときに本気で笑えないモノね。
よし! いたずらの仕掛けが終わったわ。明日が楽しみね。
「あー、もう誰だよ。僕の運動靴の紐を全部ほどいたの」
またやられたの?
「うん、これでもう三回目。いったい誰がこんなことするんだろう」
全く困ったものね。
「本当にね」
ああ、この時が一番楽しいのよ。あなたの困った顔、本当に素敵だわ。けど、この時はあんまり長くは続かないの。すぐに近くの女の子がやってきて、
「ねえ、僕君、また独り言?」
って言われてしまうから。全く無粋よね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます