第34話 宿



 闇商人に関係する情報を手に入れる前に俺達はしばらくこの町に滞在することになるので宿を探すことにした。ちなみに大都市での宿探しについてはすこし、アフーカでトラウマがあり(詳しいことなんてどうでもいいじゃないか。)あまりしたくない。



 「ギンさん。いい宿ありましたよ」



 あれ? といことで、俺のトラウマは本当にトラウマとなりピーチェがあっさりと宿を見つけてしまった。レイもここなら外見から心配なさそうですと言ってくる。



 「じゃあ、ここにするか」



 俺達が泊まることに決めた宿はまちの中心部近くにある宿であった。結構大きく、町公認と書かれたマークもあることから官営の宿であるとわかった。官営は政府関連機関が運営しているため宿泊費が安くて済む。宿の受付で2つの部屋を頼み俺達は、指定された部屋へと向かった。2つというのはもちろん女子と一緒に泊まるわけにはいかないからだ。これでも一応常識はわきまえている。


 俺はピーチェとレイと部屋の前で別れて自分の部屋へと入った。


 部屋は高級ホテルとは言い難いがきちんとした作りをしていた。ベッド、机、大きな窓などといった基本的なものは備えられていた。


 俺は、疲れていたのでベッドにダイブする。あ、意外とふかふかしていた。最近野宿でこの感触を感じることができなかったので久しく感じることできてうれしい。やばい、もう疲れて眠いや。まだ、夕飯も食ってないのに………。そいて、俺は睡魔に勝つことができずに眠ってしまった。



 ジリジリジリ。



 目覚ましを付けた記憶がないのになぜか目覚まし時計が鳴り俺は眠りから目覚めた。時計を見ると朝の5時だ。


 そうか、昨日はここに来たらそのまま寝てしまったのか。ピーチェとレイはちゃんと食事をしただろうか。昨日のことは謝っておかないと。俺は、そう思って布団から出ようとした。しかし、なぜだか布団のぬくもりが以上にあるような? 布団をめくってみると俺の隣に寄り添うようにピーチェとレイの2人が寝ていた。


 2人は何でここにいるんだ? 俺が思ったことはそれだった。2人は確か隣の部屋にいるはずのなのだが………気のせいだと思いたい。一応はよくあるほっぺをつねってみた。い、痛い。夢じゃない。現実はそうは甘くはなく2人がここにいることが現実であった。



 「はぁ~ん」



 「むにゃ」



 2人の瞼が開き目が覚めて起きたようだ。



 「おはよう、ピーチェ、レイ」



 挨拶しておく。もちろんこの後は、問い詰める。



 「おはようございます」



 「おはようございますギンさん」



 ピーチェとレイも挨拶してくる。さて、ここから問い詰めていきますか。



 「で、2人は何でこの部屋にいるんだ」



 俺は、尋ねた。2人はその言葉を聞くと体が固まった。しかし次の瞬間、バッと急に動いて部屋から出て行こうと逃げた。



 「「失礼しましたぁぁ」」



 「待つんだ!」



 俺は、全力で逃げようとする2人を無理やり進路妨害でもして止めた。2人はあっさり諦めてくれた。ちなみに2人の話によると宿代を浮かすために1つ部屋を返上して俺の部屋に来たが俺はもうその時はすでに寝ていたので仕方なく布団の中で一緒に寝ていたとのことだ。


 2人を説教しておき、終わったら俺らは朝食を済ませ闇商人の情報を仕入れるためにこの町一番の市場へと向かった。





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