俺と体育祭。 その3
当たり前だが、あれからも競技が続き、1年生大縄跳び、2年生ムカデ競争、3年生選抜リレー、綱引き、1年生全員リレーが終了した。
ムカデ競争は俺が転けたことにより、敗北してしまった。あの時は凄い恥ずかしかった!!
だが、それでも俺達赤チームの方が勝っていることに変わりない。それでも点数は赤563。青559と気を抜いたら抜かれてしまいそうなのだ。
次は2年生全員リレーだ。ここで、差をつける!
「山本君。」
テントから出ようとした時、後ろから声をかけられる。
「浅木さん?どうしたの?」
「私の次のランナーって君でしょ。だからその……私のバトン…ちゃんと受け取ってよね。期待してるから。」
浅木は顔を赤らめそう言ってきた。それならこう言うしかないよな。
「あぁ、後は任せろ!」
親指を上げ、声をだす。かっこよく言えたかな?
***
いよいよ、2年生全員リレーが始まろうとしている。
俺は最後から二番目。入り口側の方で浅木のバトンを待てばいい。
そして、先生が耳を塞ぎ、ピストルを上にあげる。
先生はスタート前の合図すると、最初のランナーが構える。
「ドン!!」
先生の合図とピストルの音と共に、ランナーは走りだす。
最初は2組の西口と言う女子が1位に躍り出る。
それに負けじと4組、5組、1組、3組と順番に続いて行く。
そのまま次のランナーにバトンが繋がれ1組は桃白にバトンが繋がれる。
桃白は俺が思ってた以上に早く、5組、4組を抜かし、2位になって、そのまま次にバトンが託された。
その後も、順調に続き、1位にはなれないが2位をキープ出来ると思っていたが、3組の夏樹、黒白の走り、最下位から一気に1組のすぐ後ろまで来ていた。
そして浅木の番が来て、俺も待機に入る。
浅木は順調に走っていたが………
「あっ!」
浅木は自分でも制御できないほどの勢いをつけてしまい、転んでしまった。
当然、後ろにいた3組に抜かされ、そして4組が浅木の後ろまで来ていた。
浅木は膝から血が出ていたが、それでも立ち、よろよろと走りだす。
そしてようやく、俺が待機しているテイクオーバーゾーンまで来た浅木はバトンを前にだす。
俺も軽く走りだし、受け取る用意をする。
「ご、ごめん!!」
「いいよ。言ったろ?………後は任せろ!」
バトンを受け取り、全力で走りだす。
「はっ?あいつはやっ!!」
「誰だよあいつ!?」
周りは何か騒いでいる。
俺は本当は運動は平均的にしかできないが、スイッチを押すと何故か速く走れるようになる。
これも、
そう考えながらも俺は3組を抜かし、アンカーのよっしーにバトンを託す。
「頼んだ。よっしー!」
「おう!任せとけ!!」
バトンを受け取ったよっしーはそりゃもう速かった。独走していた2組を抜かし、そのままゴールした。
「よっしゃーーー!!!」
「1位だーー!!」
1組のみんなは歓喜の声を上げる。
俺は浅木のもとへ向かう。
「大丈夫?浅木さん」
「うん大丈夫。」
「保健室に行かなくちゃ。」
「そうだね。」
俺は浅木の隣を歩きグラウンドから保健室に向かった。
「それにしても君ってあんなに速かったんだね。」
保健室に着いた後、先生に絆創膏を貼ってもらい、テントに向かっていた。
「そうかな?」
「うん。それに転んだ私に文句一つ言わずにバトンを受け取ってくれた………その––––」
浅木は言葉を詰まらせ、恥ずかしそうに口にした。
「かっこよかった………」
「え………?」
まさか浅木からこんな事を言われるとは思わなかった。
きっと今の俺は顔を赤くし、おどおどしているだろう。
「それじゃ、競技も始まってるし、応援しなくちゃ。」
「えっ、ちょっ……」
浅木はテントに向かい、桃白達と応援をし始めた。
そういえば、今の競技は玉入れ。次はパン食いマラソン………正直凄いめんどくさいよ。
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