【第17話】
早朝、アムルは、仕事で王都へと出掛ける
遠い空には鉛色の雨雲がどんよりと浮いているのが見える。
風は
広場では、子供達が楽しげな声を出しながらボールを投げ合ったり、縄跳びをしたりと遊んでいる。
多種多様な花が咲いている花壇では、いつもの様に黙々と
「毎日、お花のお世話をありがとうね。
アムルの優しい声に気付いた
「本当に綺麗に咲いているわね。 きっと、いつも貴方が毎日心を込めて丁寧に手入れをしてくれているから、花達も貴方の気持ちに応えて、こんなに綺麗に咲いていてくれているのね」と、アムルは
「お願いがあるのだけれど、今から授業で使う物を倉庫へ取りに行くのだけれど、一緒に教室まで運ぶのを手伝ってもらえる?」
「はい」
「ありがとう、
午前中の授業が終わり、アムルは子供達と一緒に昼食を済ませ、従業員と執務室で午後の授業の用意をしていた。
アムルは壁時計にチラリと目をやった。
「もう昼過ぎだというのに連絡の一つも無しで・・・全く困った子ね」と、アムルは1人愚痴ると、午後の授業の準備を従業員に任せ、
執務室を出ると、
「
「はい」と、
「今から
「はい、一緒に行きます」と、
「ふふ、それじゃ用意して行きましょうか」と、アムルは微笑んだ。
アムルと
アムルが早朝に見た、遠くに浮いていた鉛色の雨雲は色濃くなり、かなり近くの空にまで迫って来ていた。
周辺の空気も湿りを帯びて来ている。
「傘を持ってくれば良かったかしらね。 スラムから王都までは一本道だから、
「
アムルは
しばらく歩いて行くと、道沿いに綺麗な野花の群集が見えて来た。
そこには、得体の知れない恐怖で涙を流しながら震えている
曇天から雨粒がポツリと、アムルの頬に流れ落ちた。
神獣のテンペスト イシダ ヤナセ @masato56122
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