短歌集『とべないとり（仮）』

すりよられつるでしばられすいとられ部屋すら濃霧これ愛じゃない

閉じ込めてニセのくすりとわらうクマ　三日後また来て「なぜ喜ばない？」

言われたら風呂もトイレもキッチンもよいつかいかたわからなくなり

そうなのかぼくがわるいかふいうちかじょうきょうせいり相手が変だ

「座布団をちゃんと揃えろ」その言が祖父から父へ遺伝している

丁寧を続けていたら消えたのでいったん雑で可視化しますね

ぶっ刺します　これは僕だけではなくて最後に皆で笑いあうため

「うらぎりもの！」密かに奪うひとからは離れるひとへぶつけた甘え

しょうもない二人分とか背負えないしつこくすり寄る君が言わせた

クイズ出す「ガバナンスって知ってるか？　知らないだろう！」小学生に

「こうしなさい」「誰と遊んだの？」「わかった？」五十の父が二十歳の息子に

話します「そんなこと言うな！」黙ります「もっと話せ！」・・・です

ぷりぷりとあれこれ駄目と言うけれどみんなにんげんそんなもんやで

睨んでる君の残滓はばねにんぎょう殴らないのが必殺でした

新たなる春の空気はひんやりといつものひとの見えかた変える