湿疹
二〇一八年の九月になっても湿疹が治らない。どうなっているんだ、と体内へ呼びかけてもなにも返事はない。当然だ、口があるわけでもない。
昨年の十二月から背中左右が痒くなり、どうも寝ているときにボリボリとかいていた。やがて血が出て、敷布や掛布団カバーを汚した。
ひどくなったのは二〇一八年の一月からだった。
まず首が痒くなった。首へはよく湿疹が出るので、またいつもの湿疹かと、気づいたときにオロナイン軟膏を塗っていた。今回の湿疹はずいぶんと痒いなと、そのころ思っていた。
二月になると背中がものすごく痒くなり、痛みも出て来た。
このころ、二〇一七年十一月下旬にイボ痔の出術をしたのが原因ではないかと疑い出す。
肛門科の先生は薬疹ではないかと、治療薬を湿疹薬へと変えた。
ジオン注射という治療は、患部に四ケ所の注射をしてイボを固めるようだった。成分はアルミニウムとタンニン。
アルミニウムは体の保温性にはすぐれている。だが体内に入れるのはよくないことを知っていた。それを覚悟の上で手術を行った。
湿疹薬を処方され、徐々に小さくなった。その週に治りそうと思いきや、翌週はまた発疹してくる。この繰り返しをしてきた。
やがて肛門科の診察も終わり、湿疹のみ残った。
主治医である血圧の先生も首を捻っている。
血圧は内科なので、ここは専門の皮膚科へ行ってみようと受診した。
ジオン注のせいかと尋ねると、それはわからないという。それもそうだ、先生がそんなことをいえないだろう。ぼくは腸へ毒薬を打ち込んだため、長い時間をかけて放出しているのではないかと思うようになった。
結局、皮膚科の処方薬を飲んでも患部へ塗っても治らない。
専門の皮膚科へ通院したわけだから、すぐに治ると思っていた。
本当は長い間を掛けて治すのかもしれない。それならお金も掛かるし、命に別状はないのならと皮膚科をやめることにした。
夏になると発疹してきたので、五カ月ぶりに主治医で診てもらった。薬を処方されて一カ月様子をみたが、湿疹は治っていない。
先生はいった。
大病院で検査してもらった方がいいかもしれない、と。
ぼくは肩を落としながら、左の腕を血圧測定台へ載せた。
主治医もダメなら途方に暮れそうだった。
もうこう思えばいいのか。毒素を出しているのだから、いまは痒くて辛いが、そのうちにつるつるの背中になるだろうことを。
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