第66話 戦闘
夜も更けて来た頃、転送陣のある建物の中から僅かに光が溢れ出す。
扉が開き、中から馬車が三台そこから出てきた。今回は拐った人と、それと今までの盗品なんかも全て持ち出してるようだ。とにかく逃走資金が欲しいんだろうな。
それを見て、すぐにゾランに知らせを入れる。俺からの連絡を待っていた兵達は、即座に茂みにある簡易転送陣から現れる。まずは数人程に止め、待機していて貰う。
裏組織の奴等が現れて、ギルド長の元へ行く。握手を交わし、商品を確認させる。馬車の中には三十人程の人達と、盗品らしき物がすげぇいっぱいあった。
「思ったより奴隷は少ないんだな。」
「それは仕方がないんだ。今俺達の組織は壊滅状態にあってな。他の所から持ち込まれる筈の奴隷が来なかったり、人員も捕まったりで大変だったんだ。だから今回で俺達との取引は出来なくなると思って欲しい。」
「そんな状態なのか?お前の所はかなり大所帯だったんだろう?」
「それも殆どが捕まっちまったんだ。帝国側に凄腕の冒険者だかがいるみたいでな。ここまで来るのも大変だったんだぜ?」
「そうなのか?しかし、たかだか冒険者ごとき、どうにでも出来るのではないのか?」
「帝国の冒険者を嘗めちゃいけねぇよ。噂では聞いてたんだけどな。ソイツが出てきて解決しない事件はねぇらしくってな。だから今日の取引もすぐに終わらせてぇんだ。」
「分かった。では商品を確認させて貰う。」
盗品の馬車へ何人か入って行き、その場で査定をしている様で、その間に他の奴が別の馬車から手枷をされて繋がれた人達を降ろしていく。そこには副リーダーもいた。
俺と目が合うと、ビクッとなって姿勢を正す。ビクビクすんなってーの!
兵達が捕まった人達を
「さっさと出てこい!このクズ共が!」
「きゃっ!」
「ら、乱暴は止めて下さい!」
「お前等に人権なんて無いんだよ!ほら、こっちへ来い!」
女性の頭を鷲掴みにし、引き摺るようにして並べさせる。副リーダーは俺を意識しながら兵隊長と話しをしている。盗品がある馬車に裏組織の奴等と兵達が説明を受けながら査定をしている。そろそろだな……
ゾランに合図を送り、転送陣から兵達が続々とやって来る。即座に現場を押さえるべく、オルギアン帝国の兵達で周りを取り囲む。
それを見たギルド長は、驚きながらもどこか余裕があるような感じで周りを見渡す。兵達は何が起きたのかと、戸惑いながら辺りを見て顔を強張らせる。
「な、なんだお前等はっ!」
「俺達はオルギアン帝国から来た。そこの人達はこの国の奴隷ではなく、他国で捕らえられた人達だ。お前等を人身売買、盗品売買の容疑で捕らえさせて貰う。」
「な、何言ってんだよ?!エリアスっ!お前がなんでっ!?」
「お前なんて知らねぇよ。俺はオルギアン帝国のSランク冒険者のエリアスだ。」
「なっ!なんだと?!」
「違うっ!これは!そ、そうだ、俺達は盗賊を捕まえる為にここにいるんだ!おい、コイツ等を捕まえろ!」
「そんな言い訳信じる訳ねぇだろ?全部分かってんだよ。」
「そんな事は……!いや、そ、うだ、コイツ等、この奴隷は俺達の国の奴隷なんだよっ!」
「そうなのか?」
「いえ、違います。この人達は奴隷制度のない国から連れ去られた人達です。私達はいつもこうやって、何の罪もない人達を連れ去ってこの国で売買を成立させていました。」
「なっ!!何言ってんだよっ!副リーダーっ!」
「ほら、そう言ってんぜ?もう言い逃れできねぇぞ?」
「そんな裏組織の副リーダーなんぞの言うことを信じるのか!俺達はカータレット領直属の兵士だぞ!」
「それが信用できねぇんだよ!この犯罪は領ぐるみじゃねぇか!」
「領主様を愚弄するか!もういい!お前達、やってしまえっ!!」
剣を振り上げて切りかかって来ようとする奴等に雷魔法をお見舞いすると、即座にその場に崩れ落ちるようにして倒れていく。何が起こったのか分からない、と言った感じで倒れた同志を見る奴等にも、同じように雷魔法を放つ。そうやって兵達をバタバタ倒していく。
傍から見れば、何も攻撃等受けていないのに突然倒れだす、といった様になっていて、何故そうなってるいるのか、とギルド長も兵隊長も困惑していた。
「流石はオルギアン帝国のSランク冒険者といったところか……!俺の脳を操って知り合いだと思わせたんだな?!しかしそう簡単に俺がヤられると思うなよ!」
「俺がそんな悪どい思考のギルド長と知り合いな訳ねぇだろ?」
「喰らえっ!死を告げる千の矢!」
言うなり至るところから風の矢が俺を目掛けて振り掛ける。へぇ、結構ちゃんと風魔法を使えんだな。
身体中に風を
纏った風が止むと俺は無傷で、それを見たギルド長は驚きを隠せない状態だった。
「もう終わりか?そこそこの風魔法の使い手だな。まぁ、そこそこって程度だけどな。」
「な、んだ、と……!」
「ほら、来いよ。相手してやるぜ?」
「くそっ!出でよ我が
言ってるそばからギルド長の足元の土が盛り上り、土は集まり一つの塊となっていき、ゴーレムへと姿を変えた。それがあちこちから出現する。
「へぇ?すげぇな!ゴーレム作れんのか!俺も真似してみっか!」
「たわけっ!そんな簡単に真似等出来る訳が……!」
俺の足元の土も同じようにボコボコと盛り上り、そこから同じようにしてゴーレムを作り出してやった。これ、面白いな!
出現したゴーレム達は、ギルド長のゴーレムと争うように思考を伝えていくと、詳しく指示しなくても勝手に動いてくれる。便利だ。これ、すげぇ便利だな!
ゴーレム同士が戦っている様を見て、ふと他の事も思い付く。土でゴーレムを作り出した感じで、水魔法で水を作り出してから
いやぁ、良いもん教えて貰ったな。って思ってギルド長を見ると、驚愕の表情をして俺を見ていた。もうビビっちまったのか?もっと他の変わった魔法も見せて欲しいんだけどな。
ゴーレム達の戦いはそっちのけで、俺はギルド長に近づいていく。
「な、なんだ!詠唱も無しで!なんなんだ!お前はっ!」
「え?だからエリアスだって。なぁ、他にもなんかねぇか?もう終わりか?」
「く……っ!バカにするなっ!降り注げ!硬き巨岩っ!」
降り注ぐって位だから空から降ってくるんだな。そう思って空を仰ぐと、大きな岩が頭上から降ってくる。ったく、こんなのが落ちたら、人や建物にも影響を及ぼすだろ!まぁ、煽った俺も悪いんだけどな。
空に手をやり空間魔法を広範囲に広げ、落ちてくる岩を飲み込んでいく。落ちてくる筈の岩が何も落ちて来ないのを見て、ギルド長は呆然とその場に立ち尽くした。
一応結界も張っておいたから、岩が落ちても弾くくらいは出来るしな。
あれ、もうやる気なくなったのか?って思って見てると、「うなれ!
と同時に、いきなり俺の目の前が歪みだした。
その歪みを裂くようにして出てきたのはリュカだった。
「なん、でっ!リュカっ!」
「あ、エリアス……え……?」
驚いて対応が遅くなっちまった!やべぇっ!氷の矢がリュカにも……!
すぐに結界を張るけれど、間に合わ無いかも知んねぇっ!
頼む!間に合ってくれっ!!
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