墨汁Aイッテキ!2019八月号

誰かにあてられた名もなき決意



あの日、世界は私からすべてを奪った。

私にあったものを根こそぎ奪った。


次の日、私の中から世界が消えた。

私は何も見えなくなった。



暗闇の中、ひとり放り出された。



それ以来、私は誰も信じなくなった。

それ以来、私の神は死んだ。



私はずっとひとりで歩いてきた。

長い長い旅路だった。



私は誓った。世界に奪われたもの全てを取り戻すことを。






だから、私は前を向く。

そこに道がある限り。


だから、私は空を仰ぐ。

そこに希望がある限り。



ついに私は掲げた。天より高い果てなき理想を。



私は歩き続ける。

それがいばらの道だったとしても。



私は求め続ける。

それが叶わぬ夢だったとしても。



私は――。



墨汁Aイッテキ!2019八月号

https://protozoa.booth.pm/items/1526451

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