黒いローブの少女

「いったいいつになったらこいつは死ぬんだ!」

「知らん」


俺とデルタは二人で化け物と戦う。いくら攻撃しようともすぐに再生されてしまうため一向に倒せない。


「がああああああ!!」


化け物は歪な拳を握り締めて俺に向かって殴る。俺も拳を握り締めて殴る。拳同士がぶつかった瞬間、衝撃波が発生し辺りに散乱している鉄屑が吹き飛ぶ。そして化け物も腕から血を出しながら後方へ大きくぶっ飛ぶ。


「その力、貴様はどうやってその力を身につけた」

「教えるわけにはいかない。それよりも後ろにいるぞ」

「ふん、なら貴様に挑んでやる。勝ったら教えてもらうぞ」


後ろからはさらに一回り大きい化け物が拳を振りかざしていた。

デルタの足と腕が龍に変化する。その腕で化け物の攻撃を受け止めるとそのまま掴んで跳ぶ。


「まだ湧き出て来るとはな。やはり根元をどうにかするしかないな」


ゲートから出てくる様々な大きさの化け物。知能は少なからずあり、壊れた機械の残骸を投げたりしてくる。そこにデルタは化け物を投げる。さらに火を吹いて追撃をする。

化け物達は焼かれて灰になる。


「根元をどうにかするって言うがウィリアムが気絶しているぞ! ゲートを閉める方法はこの研究所の人達しか知らない!」

「元は貴様が私の邪魔をしたからだろう。それがなければ私の超能力とここの技術で完全にゲートをコントロールできたと言うのに」

「研究所を武力行使で乗っ取ろうとしたのはお前だろ!」

「話し合いでは間に合わないからだ」


そう、デルタの目的はここにあるゲートの技術を自分の手にすると同時にこの化け物をこの世界へとこさせないためだった。しかし、時間が無かったが為に武力行使で無理矢理技術を手にいれようとしたが俺の妨害により失敗に終わる。


「話しても信じないだろう。特に、滅んだ世界に化け物がいてこの世界に大量にくるとはな」


大量に押し寄せてくる化け物。どの個体も再生能力はあっても倒せないわけではなかった。しかし、一番最初に来た一番大きい個体がここにあった大量のクローンを取り込んでしまい、圧倒的な能力を得てしまった。


「だがまさかクローンまで研究しているとはな。我がデルタコーポレーションでも研究はしているが不安定で使い物にならない。だがここのは『代償魔法』を使えるほどの完成度だ」


俺は化け物の足を蹴り飛ばす。足を無くした化け物はバランスを崩して倒れる。そこへ俺は胸に拳を叩き込んで大きな穴を開ける。


「疑問に思っていたんだが、代償魔法は『自分の意思』がないと発動しないんじゃなかったか」

「おそらく思考回路を操作しているのだろう。洗脳等を使えば代償魔法を使わせることができる」


デルタは龍の鉤爪で化け物を切り裂いていく。


「でもクローンによる代償魔法は『命の価値』が低くて大きな力は得られない」


「「?!」」


突如として上から声がする。そこには黒いローブを纏った少女が浮いていた。


「誰だ!」

「貴様、人間ではないな!」


いつからそこに?! それになんだこの感覚は、俺はこの少女を知っているのか?!


ブラックカーニバル歌って踊って死のう


すると足元から黒い煙が発生すると何十体も人の形になり踊り出す。


すると化け物の体から人の形をした黒い塊が中から突き破って出て来て踊り出す。そして体内から無くなった分、小さくなって最終的には全てが黒くなって踊り出す。

一番大きな化け物だけは無くなった分再生する。


「これであの大きな化け物違いを片付けられたね」

「……」


俺達二人は少女を警戒する。ダンスを終えると黒い霧は消える。


「貴様は誰だ。いつからそこにいた」

「ごめんね、私は誰かは答えられないの。でも、さっき来たのは教えられるよ」


少女は降りてくる。ゆっくりと着地すると手を前に出して魔法陣を俺たちに向けて展開される。すると黒いレーザーが発射される。

俺達は一切動かない。スレスレで当たらないからだ。後ろにいた化け物に当たり後方へ大きくとばされる。


「だったら何故ここにいる。何が目的なんだ」

「このゲートを閉めに来たの」


ゲートの事を最初から知っているような感じがする。


「私は閉めなければいけないの。でないと、あの化け物達がこの世界に解き放たれたら大変なことになる。平和になってきているこの世界がまた争いだらけに戻ってしまう」


少女は使命感なのか強い意思を感じると同時に僅かながら悲しい表情をする。が、それを隠すかのようにゲートに向かって指を指す。


「けれど今閉めるのは早い。勝手に開いたゲートによって何人も行方不明になっている。だから救いにいかないといけないの。オーバー、貴方の実力ならこの化け物たちが沢山いても倒せる」

「何故俺の名前を?!」


少女はしまった?! と言った表情で目を泳がせる。すると何か閃いたらしい。


「あ、貴方達の会話を聞いたの! 」

「………………」

「ホントだよ!」


俺はデルタの方に向く。


「俺ら名前で読んでないよな」

「ウィリアムが会話で言っていた」

「そうだったな」


とは言え明らかにいま理由をつけた。もし本当に会話を聞いていたのなら即答できた筈だ。目を泳がせるなんてことはしない。


「俺の強さを随分と過大評価しているようだな」

「してないよ、だって、貴方は強い。私は知ってるかなら」


少女は指を動かす。ゲートまでにある残骸や瓦礫等が全て横にどかされる。


「時間がないよ、異世界にいたら長くは生きられない。ここの化け物は私がどうにかするから」


何故だろう、初めて会ったのに初めてな気がしない。そして、この真っ直ぐな目を俺は知っている? 何でか信じられる。俺の勘も信じるべきだと。


「わかった」


俺はゲートに向かって走り出す。


「え? ちょっ!」


デルタも走り出していた。


「異世界なら興味がある。あの化け物は貴様に任せるとしよう」

「どうにかするとは言ったけど、残ってくれないの?!」

「貴様のその魔力量ならなんの問題もない」


俺もデルタもゲートを潜る。1人残った少女はポツンと立っている。


「…………『魔王』を倒した貴方ならきっと、この世界を守ってくれるよね」


少女は振り替える。すると先ほどぶっ飛ばした化け物が少女に向かって走ってきていた。

少女は可愛そうな目で化け物を見る。


「誰も殺さなくていい、皆が手を取り合える世界がいつかはくる。だから、ただ殺すだけの君は、ごめんなさい」


少女が手を上げた瞬間、化け物の動きが止まる。


「いや、やっぱり撤回するわ。私には謝る資格がないのだからザ・ソード剣よ集え


大量の魔方陣が現れ、一万を越える剣が現れる。

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