天下の大悪人とされる松永久秀と共に妖しい事件を探る物語。話が進むにつれて様々な顔を表す久秀は果たしてどれが本当の彼なのか、謎めいた魅力に思わず引き込まれてしまう。願わくば長編でもっともっと異なる顔を覗いてみたい。
歴史には全然詳しくないけれど、めちゃくちゃおもしろく読めました。とにかく読みやすく、展開がスムーズで、それでいて目に浮かぶ描写がしっかり書かれていて、最後に不穏さを残すところが良いです。油断のならない老人、事件、解決者となる老人、戦闘、そしてまた更に油断ならない老人にもどるストーリーの流れですが、土蜘蛛の存在がまた物語に重層感を出しているのだと思います。オススメです。
魅力はあれど扱うのが難しい松永久秀を見事に描いています。しかも有名な悪事ではないところが上手い。一癖ある男。こういう松永久秀が見たかった。1つの事件を舞台にした老獪の様をとくとご覧あれ!