第72話 帰宅

「熱い!」

ナナが咳こんだ。

「姿勢を低くしろ!」

カカがナナに布を渡した。

「煙は吸い込むなよ」

ナナはロロの方をちらりと見た。

「あっ!危ないわ!」

燃えた天井が、ロロの上に落ちた。

カカは首を横にふった。

「あいつのことよりも、今は俺たち自身を心配しろ」

「ええ、そうね」

二人は四つん這いになって、出口へ向かった。


私がレレさんと地面に降りることに成功をしたとき、ナナとカカがお城の扉から出てくるのが見えた。

「ナナ!カカ!」

「茜!無事だったのね!」

私たちはハグをして、お互いの無事を喜びあった。

「ケケとココは?」

「さあ……。私たちは会ってないわ。

でもきっと大丈夫よ!」

「そうだね……」

そうは言いつつも、とても心配だった。私は二人が既に脱出していることを願うしかない。

「茜、ここもいずれ危険になる。

お城から離れた方がいいわ」

「そうだね、ナナはこれからどうするの?」

ナナは、うーんと考えた。

「私はとりあえずカカを家まで送り届けるわ」

カカは、びっこをひきながら歩いていた。

「私を庇っての怪我でもあるし、それぐらいはするわよ」

ほら、と言ってナナが手を差し出すと、カカはそっぽを向いた。

「なに?また意地はってるの?」

カカは声を小さくして言った。

「……いや、そうじゃなくて……。

ほら、あの……、手を繋ぐことに……」

ナナは数秒反応しなかったが、次第に顔が赤くなっていった。

「ばっ、馬鹿じゃないの!?

恋人同士でもないんだし、気にすることないのよ!

ほほほら!特別な意味なんてないもの!」

そう言うと、ナナは強引にカカの手をとり、「お散歩楽しいわねー!」とか言ってカカを引っ張っていった。ナナはかなり動揺している。

そんな二人の様子を見送った後、

「さて、僕たちも帰ろうか」

とレレさんが言った。私はレレさんの肩を借りながら歩いた。


私たちは、試験での様子を伝え合いながら帰った。私はキキの話した内容を聞き、この国の不治の病の真相を知った。

私たちがいつも話していた場所が見えてきた。

「いやぁ、少ししか経っていないのに、随分と懐かしく感じるなぁ」

「そうですね」

私たちは笑いあった。試練が終わった安心感が、表情筋を緩ませた。

「茜!」

前を見るとトトがいた。

「あっ!トト!」

私は手を振った。

笑顔だったトトの表情が急に真顔になった。

トトは瞬間的に移動した。

「え?どこ?」


「ぐっ……!」

声のする方を見ると、トトがレレさんを殺そうとしていた。レレさんは喉元への攻撃を、両腕でなんとか防いでいた。

トト、どうして?

めて、トト!」

私は叫んだ。でもトトは聞く耳を持ってくれない。止めようにも、足がちゃんと動かない。試練での怪我や出血で、立っているのがやっとだった。

レレさんとトトの実力は互角。いや、レレさんの方が強いかも。

でもレレさんの様子がおかしい。呼吸が荒く、足がふらついている。

試練のせいで、体力が回復していないのか。

いや、これは……。

「うう……!ああああああああ!」

レレさんは頭を抱えた。

まさか……このタイミングで発作!?

「レレさん!」


トトがレレさんにせまる。

お願いだから、待って……!

私はレレさんに手を伸ばす。

その手の先で、

トトがレレさんの胸を貫いた。

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