第26話 参加表明

家に帰って、トト達に参加したいことを伝えた。

トトには最初は止められたが、私の意志が強いことを理解すると応援してくれた。

「上奏権獲得試練」は今から一週間後の正午から始まるそうだ。


「 試練は難しいと聞くから、少しでも姿をスムーズに変えられるように特訓した方がいい」

そう言ってトトは私に協力してくれた。

まずは手足を簡単に変えられるようにする。 次に、トトは全身の姿を変えられたほうがいいと言ったが、 レレさんの話を思い出して断った。

手足を変えるのに慣れてくると、 体のもっと細かい部分を変えることができるように特訓した。

一週間経つ頃には 、体の様々な部分を自由に変化できるようになっていた。


トトと特訓を始めてから二日経った時、 私はレレさんに 特訓の内容を話した。レレさんは「僕も協力しよう」と言ってくれた。レレさんは日本にいた頃、 空手をしていたらしい。

「 部活でやっていただけだから決して上手とは言えないが、基本的なことなら教えられる。実際に戦ったりするのは難しいだろうが、いざというときに動けるようにはなるだろう」

そう言って、私に足の動きやコツを教えてくれた。

一週間たつ頃には大分動けるようになっていた。


「絶対に戻ってきてね。茜ならできる。

信じてるから」

家を出る前、トトは私をぎゅっと抱きしめて、そう声をかけてくれた。


「上奏権獲得試練」はあと1時間ほどで始まろうとしていた。


町の正面入り口に立つと、王様が住んでいるお城がよく見える。

見上げると首が痛くなるくらいの大きさだ。

町の正面入り口から真っ直ぐ進むと崖のような丘があって、その一番上にお城は建っている。お城の前の広場が集合場所だ。


身につけた技術は付け焼き刃に近い。

けれど、2人が協力してくれたことを無駄にはしない。

決意して私は足を進めた。




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