第20話 帰宅

私達はこれからの方針を決めた後も少し話すことにした。話の成り行きで、なんとなく発作について話すことになった。

「発作があらわれた人は、日本、いや、他の国から来た場合も考慮すると、やっぱり地球からきたのでしょうか?」

「うん、その可能性もあるし、カラ国出身の人が発症しただけなのかもしれない。こればっかりは実際に確認してみないと分からな」

レレさんは突然言葉を止めた。

「どうしたんですか?」

レレさんは答えない。

「レレさん?」

大丈夫だろうか。不安な気持ちでいっぱいになる。

レレさんは冷や汗をかいている。

「そろそろ、発作が、来そうな感じがする。残念だけど、今日、は、もう、帰ってくれ。君に、あまり、発作のすが、たを、見られたく、ない」

レレさんは苦しそうにかすれる声で言った。

私はレレさんのいう通りにしなければと思った。でも放っておけない、おきたくない気持ちがある。どうしよう……。


「茜ー!茜!どこにいるの?

もっとすっかり暗くなってるよ

茜ー……」

この声はトトだ。

「トト……」

「あ……そこにいたのね」

トトは私を見つけるとこちらへ近づこうとした。しかし、足を一歩踏み出したまま動かなかった。

「茜、近くにいるのは『不治の病』の人だ。ダメだよ!近づいたら!

うつっちゃったらどうするの……?

茜、早くこっちに来て……」

「でも……」

「早く!お願い……」

トトの強い求めを無視できずに、私はトトと一緒に家に帰った。

後ろからは苦しそうなうめき声が聞こえてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る