6センチの向日葵
晴川 滝
第1話 注いだのは
「おやすみなさーい」
妙に甲高い声が疲れた脳に響く
明らかに俺の声ではないし、そんなアラームをセットした記憶もない
時計の針が10時を示すこの自室で俺以外の声なんてするはずがない
耳からようやく目に意識を脳が移した
朝、畳んだはずの布団が広がり、膨らんでいる
驚きに理解が追いつかない
白い枕の上に黒の綺麗な短い髪が重なって見える
おま、なんで
「だって、代わりに寝ててあげようかって言ったじゃん」
俺が言い終わるより早く声の主は言った
確かに昼間、寝不足って話からそういう話にメールでなってたけど
掛け布団から顔を覗かせ満面の笑みで笑う
この女は俺のストーカー、、ではなく、彼女だ
どうやって入ったんだよ
「え、普通にドア開けてお湯貯めたよ?」
いや風呂じゃねえんだよ…
「あー、部屋?これでねガチャガチャしたら開いちゃった」
やっぱりストーカーだこいつは
針金2本を交わらせながら「こうやってね」
と話す彼女を見ていると疲れと怒りは消え去っていた
早く出ろ
掛け布団を少し引っ張ると、下着が目に入った
黒色、、、、
「ダメだよ、だって服着てないもん、、」
こいつ人んちで何してんだ そう思ってしまった
あーもうはいはい、今晩は仕方が無いから泊めてあげますよー
ニコッと微笑む彼女に内心、やられたと思ったが俺も明日は休みだし問題は無い
「じゃあさ、お風呂はいってきなよ。上がったらご飯にしよ?」
その声を背中に聞きながら、ベランダに向かう
こいつに水をやんないと、初日はやりすぎちゃダメなんだよな
窓ガラス越しに彼女が不思議そうに見ている
ダメですー服着てない人には見せません
彼女は仏頂面で布団に潜りに帰った
これが咲いたら…言わなきゃいけないな
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