近年の遺伝子工学の技術発展は目覚ましく、倫理的なものを無視すれば自分のクローンさえ生み出せる。
さてそこで、自らのクローンを作ったとして、その個体は「自分」なのだろうか──。
クローン技術を初めて知った時、私はそんなことを思いました。このお話はそんな「クローン」にまつわる話です。ただ、純粋なクローンだけでは終わらないのがこの作者様の凄いところ。遺伝子の組み替えとミックス──、つまりヒトとナニカのハイブリッドの存在まで出てきます。
そこで思うのが、「人が作った生命に魂はあるのか?」という問いです。「科学」からは遠いように思える「魂」という概念。このお話はそんな「魂」について深く考察した、実に科学的な物語だと言えるでしょう。
あまり上手く説明できないのですが、とにかく読んで頂きたい。きっと「生命」に対する考え方が少し変わる。そんなキッカケになる、素晴らしい物語です。是非!