吉四六さんとタヌキさん淫夢的知恵比べ
昔々、あるところに、吉四六(きっちょむ)さんという知恵者がおったそうな。
タヌキどんは化け術を使って、吉四六さんを騙そうとしましたが、今まで吉四六さんの知恵の前に手痛い敗北を喫していました。
「どうしても勝ちてえ……あの吉四六に……!」
まるで福本漫画のようなセリフをいうタヌキどん。
しかし、タヌキどんには特にいい知恵もありません。
「もういっそ、直球で行くか……」
そう考えたタヌキどんは、吉四六さんの家に行くと、こう尋ねました。
「おい、吉四六、お前の怖いもんってなんなんだよ……!」
「私はホモが怖い。特にリンゴのロゴの企業を経営してるホモが怖い」
「なるほどな……確かにあいつらは儲けすぎてていけすかねえ……つうか円安より値段上げてて暴利すぎだろっ……! 確かに怖え……!」
「分かったかね、タヌキ君。アポーがその気になれば、日本人を金づるにするなど、たやすいこと……!」
何となく福本的に話が弾んだ二人。
しかし、タヌキさんは「ホモが怖い」というフレーズを忘れてませんでした。
――そして真夜中――
タヌキさんは吉四六さんが寝静まったことを確認すると、神経を集中させました。
「見せてやる、俺の妖術をな……!」
タヌキさんが妖力を送り込んで、吉四六さんの夢の中に入り込みます。
――農作業からの疲れからか、吉四六さんは黒塗りの車に激突してしまう……
――免許証、返してください!
――ダイナモダイナモ!!!!!
――そして最後に特大のウンコハンバーグ!!!!!!!
翌朝、吉四六さんは精神が崩壊してしまいました。
タヌキどんはそれを見て、何か大きなものを失ったように感じました。
勝った達成感より、福本ネタを振ってもちゃんと返してくれる吉四六さんを失ったことの方が重くのしかかってきました。
知恵比べで勝てなかったけど、むしろ知恵比べで相手にしてくれていたのです。
普通の人間相手なら、タヌキなんて狩られて終わりです。
吉四六さんだけだった……相手してくれたのは……
その優しさに気づいたときは、すでに失った後でした。
安易にホモネタを使うべきではなかったな……
タヌキどんは、今でも深く後悔しています。
もう、タヌキどんが妖術を使うことはなくなりました。
あなたが淫夢を見るとき、淫夢もまたあなたを見ている。
その深淵は深く、また悍ましい。
世界の中に淫夢があるのではない。
淫夢の中に世界があるのだ。
それを知る時、人は人であることに耐えられなくなる。
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