第22話 人見知りな僕の先輩と人形演劇部
『まぁ、オレ様たちの活動はざっとこんなもんだぜ! 分かったか、兄弟!』
僕に向かって話をしていたブルースさんは、陽気な声で僕にそう問いかけてきた。
僕は今、
部室は生徒会室より少し狭くて、隅に段ボール箱が何箱か開けっ放しで置いてある。
主に布や飾りつけといった小道具が入っていて、片付けが大変だろうなと、勝手に想像してしまった。
そんな部室の真ん中に、学習机をくっつけて並べていたのでそこでブルースさんと話をしていたというわけだ。
机は、全部で四人分あった。
ブルースさん曰く、去年までは三人の先輩がこの部室に出入りしていたそうだ。
『しっかし、兄弟みたいな物好きがいてくれて助かったぜ。これでオレ様もしばらくこいつと一緒にいられるってもんよ!』
ガハハ、と大笑いしながらブルースさんが告げる。
『オレ様がいねーと、こいつはホント、何にもできねえからな!』
はんっ! と大袈裟にジェスチャーをしながら話すブルースさん。
もちろん、それをしているのは
「仲がいいんですね、お二人は」
『一心同体、みてえなもんよ。こいつとは、ずっと一緒だったからよ。まさか、高校になってまでオレ様と一緒にいなきゃいけねーなんて思っちゃいなかったけどよ』
呆れたように言うブルースさんだけれど、それ以上に嬉しそうな感情が滲み出ていた。
たとえ、人形だとしても、ブルースさんと
『ここがなくなっちまったら、オレ様ももしかしたら居られなくなっちまうかもしれねーからな』
「あの、ブルースさん……」
『ん? なんだ、兄弟?』
「ずっと気になってたんですが、どうして人形演劇部がなくなっちゃったらブルースさんは一緒に居られなくなるんですか?」
『そりゃ……』
首を傾げる僕に、ブルースさんは説明してくれる。
『兄弟、オレ様とこいつが一緒に話してるのを見た時、どう思ったよ?』
どう思ったと言われても、最初は誰かが言い争いをしていると勘違いしちゃって……。
『そうじゃなくてよ、普通、オレ様みたいなやつと話してる人間がいたら、一目見ただけで関わりたくねえと思っちまうだろうが。だが、こいつが人形演劇部に所属してたら、一緒にいる言い訳ができるだろ?』
……ああ、なるほど。
『ここはよ、オレ様とこいつが自由気ままに話ができる場所だったんだ。ここにいた奴らも、こいつには優しくしてくれてな。すげえいい奴らだったぜ』
「……そうだったんですか」
『ああ、お前にも会わせてやりてえぜ』
にっこりと、
「ええ、そのときは宜しくお願いします」
僕が、その先輩たちの代わりになれるとは思っていないけれど、
『やっぱり変わってるぜ、お前』
呆れるようにそう言ったブルースさんは、続けざまに僕に問いかけた。
『しっかし、本当に良かったのかよ兄弟? あの生徒会長の姉ちゃん、お前がこの部活に入るってとき、結構深刻な顔してたぞ』
「……うん、それは、僕の問題だから気にしないでください」
姉さんは、生徒会室を出ていくときも、僕に何も言ってこなかった。
姉さんのことは、帰って二人っきりになったときに、ちゃんと話をしよう。
『……ふーん、そうかよ』
ブルースさんも、それ以上は何も追及してこなかった。
しかし、部室の中が少し重たい空気になったような感じがしたので話題を人形演劇部に移すことにした。
よし、こういう時は冗談っぽく
「あの、一応生徒会からは活動許可は出たんですし、これから頑張っていきましょう。
「!!」
そして、下唇を噛んで、ウルウルとした目で僕を見てくる。
ゆっくりと、ブルースさんがいる右腕が上がり、彼が口を開いた。
『その……「部長」っていうのは、止めてやってくれ。こいつがプレッシャーで死んじまう』
「す、すみません……」
なんとなく、
「僕、もう少し
「!?!?」
眼鏡にかかった前髪を、何度も何度も触って落ち着きがない。
あれ、また変なこと言ったったかな、僕?
『お前、意外に女子の扱い手慣れてないか?』
「えっ? いや……」
むしろ、苦手な部類だと思いますよ?
いっつも
とにかく、
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