　その日の午後、チャールズ・スペンサーに「パラダイス」のオーナーであるダニエルから、電話が入った。

「すまないがチャールズ、君の父上のつてをたどって、調べてみてほしいことがある」

　オーナーがわざわざ電話をかけてくるなど、今までにはないことだった。

「最近、中東で変な動きがあるのだが、それを探ってほしい」

と、オーナーは言った。

「何が気になるのですか？」

「S国の親衛隊が今、アジアとニューヨークで活発な活動をしている。たぶん誰かを拉致し、S国へ強制連行するつもりのようだ。ターゲットが誰なのか、知りたい」

と言った。

「ターゲットがうちのプリンス・チャーミングでなければ良いのだが…」

　ムハンマド王子は一時期、プリンス・チャーミングに熱を上げていた時期があったのだ。

「今回はどうも、ペット狩りに親衛隊が駆り出されたようなのだ。テロ爆破班まで同行させている」

　それは爆破テロを計画しているということだった。

　そして爆破テロは、起こった。

　それはダニエルたちの予想を超える計画だった。

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