第18話 天然ロリ巨乳

「じゃ、次にそれぞれのイベントで何のキャラをやるか。風祭はどっちのタイプだ? 似合ってる似合ってないに関わらず自分の好きなキャラを選ぶのか、それとも自分に似合うキャラだけ選ぶのか」

「両方ですね。自分に似たキャラを好きになることが多いので」

「なるほど。もう自分の中でこのキャラ! って決めてたりするのか?」

「夏マケはやっぱりマリヤちゃんやりたいです。コスプレするきっかけになった子ですし、昔から何回も何回も見返していくうちのどんどん好きになっていって……」

「似合ってるしな。体格とか」


 ロリ巨乳属性という稀な属性を備えているのは本当に羨ましい。というか低身長が羨ましい。身長は靴で高くすることはできても低くすることはできないからな。

 しかも風祭は一期、小学生時代を再現できる。これは強い。あのバベルさんが最後にしたマリヤのコスプレは二期の高校生時代のものだ。


「私、マリヤちゃんの公式設定と身長体重スリーサイズ、ほぼ一致してるんですよ!? すごくないですか!? もうこれは運命ですよ」


 なにぃ!? ずるいずるいずるい何それ何それ何それ。推しキャラと体格が

ほぼ同じ? 世の中舐めてんの? 理想に近づくために世のコスプレイヤーたちがどれだけ苦労していると。

 つか何気に身体情報開示してんじゃねえよ。マリヤと同じとか、それって痩せてるのに巨乳みたいなグラビアアイドル並の体型ってわけで。

 この思考はいけない。コスプレ脳に戻ろう。


 体型は完璧。ということはその他のメイク、衣装さえ整えてやれば限りなくマリヤに近づけるということだ。

 にしても、よく見たら風祭、顔までマリヤに似てるんじゃないか。特に目の形。

 メイクの力は偉大で、タレ目でもツリ目でも、元々の目の形関係なく作ることができる。作ることはできるが、元々同じような形ならそれに越したことはない。マリヤも風祭もタレ目。カラーつけまつげ付けてやればそれだけで雰囲気は似るはずだ。


「ゆうちゃん……」


 風祭の顔を見つめていたら、何を勘違いしたのか目をつぶって身を乗り出してきた。


「離れろバカ」


 肩を押して席に戻す。不服そうな表情してるのが腹立たしい。


「ちゅーしたいのかなーって思いまして」

「んなわけあるか。俺の今までの態度鑑みてみろや」

「そんなこと分かってますぅ。そうだったらいいなーっていう願望ですぅ」

「願望そのまんま行動に移すな」


 思い立ったらすぐ行動。それが良さでもあり悪さでもあると。


「それで夏マケはマリヤちゃんで確定でいいと思うんですけど、一ヶ月後のイベントは他の子でもいいかなって。特にこの子やりたい! っていうのはないんですけど」

「じゃあ俺が何キャラか提案するわ。ちょい待ち……ほい、この五キャラどうだ?」

「選ぶの早すぎません!? 一〇秒くらいしか経ってないんですけど」


 ロリ巨乳キャラは意外と数が少ない分、印象に残っている。一〇〜一五キャラ出すくらいなら造作ない、その中でも風祭用に難易度が低めのキャラを五キャラピックアップ。


「知ってるキャラいるか?」

「イウちゃんだけですね。アニメ二週しました。不憫系ヒロインとして強く印象に残っています。あんなに可愛くて健気なのに、どうして、どうしてぇ!」


 テーブルに拳を打ち付けて悔しがる風祭。気持ちは分かる。イウは物語途中参加組で、後輩属性持ち。無邪気エロ要員として投入されたのは明白。アニメだけ見れば確かにただの不憫キャラなのだが。


「でも原作だと個別ルートで大正義なのでオッケーです!」


 悔しがったと思ったら今度は満面の笑みでサムズアップ。


「風祭お前原作プレイしたの!?」

「え? あ、はい。私、気に入ったアニメの原作は全部追うことにしてるので」


 誇らしげに腰に手を当てている。マジか。あれエロゲなんだけど。全年齢版出てないはずなんだけど。触れないようにしよーっと。


「ともかく、イウの服装はちょっとフリルの多いだけの白いワンピースだ。服作りの基礎にちょうどいい。髪の色も特徴的でウィッグ必須だから、ウィッグの加工、手入れ方法も身につく。イウで決定でいいか?」

「もちろんです!」


 よし。これで動き出せる。この短い話し合いでここまで決められたことはかなり大きいぞ。

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