14

「久しぶりに一緒に寝る?」遥が言う。

「……うん」

 遥の問いに夏は素っ気ない返事をした。

 二人が一緒のベットで眠ることは昔からよくあることだった。二人にとってはなんでもない、……普通のことだ。

 遥はタンスから大きなタオルと小さなタオル、それから真新しい真っ白な下着を順番に取り出した。どうやら遥はお風呂の準備をしているようだ。

「お風呂はどうする? 一緒に入る?」笑いながら遥が言う。

「入らない」夏が答える。

「じゃあ、先に浴びる? それともあとにする?」

「あとでいい」

 夏がそう答えると遥はふふっと笑い、それからタンスから取り出した衣服とタオル類を両手で抱えるようにして持って、寝室を一人で出て行った。一人になると夏はばたんとベットの上に寝っ転がった。

 目を瞑ると、とても強い疲労感に襲われた。

 とくに背中と足の疲労感が強かった。

 夏は両足を抱えるようにしてベットの上で丸くなった。そのままなにも考えずにゆっくりと両足のふくらぎのマッサージをしていると、しばらくしてドアが開く気配を感じた。

「夏」

 遥の声がする。

 ゆっくりと目を開けるとそこにはお風呂上がりの遥がいた。まだそんなに時間は経っていない。きっとお風呂には浸からずに、シャワーだけで済ませてくれたのだろう。火照った遥の体からは、お風呂上がりのとてもいい香りがした。

「うん」

 夏はそう返事をする。

 それからゆっくりと起き上がり、夏はお風呂場へと向かうことにした。

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