第73話 望まれない再会

マキとシロが家にいる頃、菜々は自宅に帰り研究室にこもりきっていた。

ホワイトボードにはビッシリと文字が書かれていて、幾つものバツ印や文字を消した後が残っている。

床にはクシャクシャに纏められた紙が何個も落ちている。

椅子に座っている菜々の髪は以前の時に比べて艶が消え、ボサボサの状態だった。

目の下にはクマが出て、顔に生気はもはや感じられない。

そんな状態の菜々がノートにひたすら何かを書き綴っていた。

途中で書くのをやめると、おもむろに立ち上がり棚を漁り始めた。

そして棚から薬品を取り出し、それをフラスコの中で混ぜ合わせ試験管に入れる。

菜々は試験管を覗き込むと、小さく笑い始めた後、だんだんと大きな笑い声に変わって行った。


「これよ、これだわ!これで全てが終わる!!!」


菜々は薬品を丁寧に包装し、カバンに詰めると一目散に脱衣所に向かった。

今まで来ていた白衣と下着を脱ぎ捨て、シャワーの蛇口を捻った。

菜々は体全体を洗い流し、髪も洗い終えたところでシャワーを止めた。

タオルで身体の水気を拭き取り、髪を乾かした後新しい服に着替えカバンを持って外に出た。

外にはすでに車を一台停めていたが、その物陰から菜々の父親が出て来た。


「遂に、完成したようだな」

「えぇ、これで全てを終わらせて見せるわ」

「・・・そうか、頑張れよ」

「うん!」


父親との会話を終えると、菜々は自分の家があるマンションに向かって車を走らせた。

菜々は車に乗っている間も常に考え事をしていた。

シロは無事なのか、マキちゃんが暴走していないか。心配事は山のようにあった。

でも、それを終わらせられるかもしれない、その一つの希望を抱き菜々は車を走らせた。

マンションに到着し、シロ達の家の前に行くと、菜々は得体の知れない恐怖感に襲われた。

一瞬インターホンを押す指がインターホンから指を離してしまった。

これはおかしい、そう思った菜々は深呼吸をし勇気を振り絞ってインターホンを鳴らした。

すると、どんどんと謎のオーラが近づいてくるのを感じた。

この感じ、間違いないわ。今目の前に来たのは・・・!


「どちら様ですか・・・って、あなた生きてたのね」

「久しぶりね、マキちゃん」


菜々はここでマキと決着をつけようとしたが、ここで菜々はふと異変に気付いた。

そう、この家どこの部屋も電気がついていないのだ。窓でさえカーテンのようなものがあり、あるのは暗闇だけだ。

今見えている範囲ですらも全く光を認識できない。微かにあるのは、私が今開いた玄関のドアから差し込む小さな光だけだ。


「ねぇ、どうしてそんなに暗くしているのかしら?」

「別にあなたには関係のないことよ。それより、なんの用事もなければ帰って欲しいのだけれど」

「用事はあるわよ、だから中に入れて欲しいんだけど」

「私はいいんだけど、この子がなんて言うかしらねぇ・・・」


そう言いながらマキがどくと目の前にはシロが現れた。

あぁ、良かった無事だったのね。これで三人仲良くまた過ごせるわ。菜々はそう思っていた。


「い、いやぁああああああ!!!!来ないでぇええええええ!!!!」

「・・・え?」

「あらら、シロちゃんやっぱりあなたが怖いみたいね。そういうわけだからお引き取りしてもらえないかしら?」


ど、どういうこと・・・!?この一ヶ月の間にシロの身に何が起きたっていうの!?

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