第29話 大晦日

時間が進むのは本当にあっという間ね。つい最近クリスマスだったのに、もう今年が終わろうとしているもの。

今年は本当に色々あったわね。刑務所から出所してどう生活しようか悩んでたら、目の前にエリの生まれ変わりだ、なんて言ってくる子が突然現れて、あの時はタチの悪い冗談だと思っていたけど、話を聞いて行くうちに本当にエリの生まれ変わりだって事が実感できてしまった。

でも、私と会っても私を殺したいとか、復讐したいなんて全く言わなかったのよね。むしろ、未だに私の事が好きって・・・

その時エリが何を考えているのかさっぱりわからなかった。

本当はあの後二度と会わないようにしたかったけど、運命がそれを許してはくれなかった。

だから私は、エリとまた一緒に住むことを選んだ。エリへの償いの気持ちもあるけど、これ以上私が苦しまない為にも。

・・・っと、こんな事ゆっくり考えてる暇なんてなかった。早く掃除終わらせないと。

大掃除はシロも率先して手伝ってくれた。と言うのも、私が早く掃除を終わらせないと夕飯や明日のおせち料理が間に合わなくなる可能性があるからだ。なので、シロはいつも以上に気合を入れて部屋の掃除をしている。

いつもこのくらい動いてくれれば私も助かるんだけどなぁ・・・


「マキちゃん、こっちの掃除終わったよ!」

「じゃあ次はキッチンの方お願いしてもいい?」

「任せて!」


うん、やる気もあるし掃除も丁寧で良いわね。

むしろ私がやってた時よりも綺麗になってるような。・・・お菓子で釣ればまたやってくれるかしら。

朝から二人で協力し合いながら大掃除をしたので、昼過ぎには部屋の隅々まで掃除をし終えていた。

しかし、まだ大掃除が終わっただけでマキにはまだやる事が残されていた。

マキはおせちの準備をしながら同時に夕飯の準備も始めた。

マキがせっせとキッチンで料理をしている間、シロは冬休みの宿題を着々と進めていた。

シロは宿題を早く終わらせる事で、マキからおやつを貰える可能性が増える事を夏休みに知り、それ以来宿題は早めに終わらせるようにしている。

マキがキッチンを動き回っている時、マキの携帯に電話が掛かってきた。

マキは急いでタオルで手を拭き、電話に出た。暫く話すと携帯を置き、再び料理に戻った。

シロは先ほどの電話が誰からのものなのか気になっていたが、今話しかけると流石にマキに迷惑がかかると思い、あとで聞くことにした。

シロが宿題を終え、片付けに入ると同時に机の上に料理が並び始めた。今年最後の夕飯はマカロニグラタンだった。

キッチンには既におせちの箱が見えている。あぁ、あしたまで待ちきれない・・・!


「シロ、あなた今おせち食べようとしてたでしょ?」

「え、そ、そんなわけないじゃない!」

「正直に言ったら、味見用のやつあなたにあげ・・・」

「食べようとしました!」

「・・・隠す気が全くないわね」

「で、食べれるんだよね!?」

「味見用は嘘よ」

「そ、そんな〜!」


その後、うなだれながらグラタンを食べているシロを見兼ねたマキは仕方なく、冷蔵庫に隠しておいた栗きんとんを持ってきてシロに食べさせていた。

グラタンを食べ終え、シロがお風呂から上がって来た時、キッチンから何かを茹でる音が聞こえてきた。

シロが静かに覗きに行くと、マキがそばを茹でていた。

そうだ、まだ今日は年越しそばもあった!シロは浮かれながらテレビを付けた。

そして二人でそばを食べている間に日付を跨ぎ、新年となった。


「あけましておめでとうございます。今年もよろしく、マキちゃん!」

「今年もよろしくね、シロ」

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