第20話 そして、それは現実に

シロが悪夢を見るようになってから一週間が過ぎた。

ここ最近はあの夢を見なくなったらしく、元気や食欲も少しずつ回復してきた。

しかし寝る時はまだ怖いらしく、ずっと私のベットに潜り込んでくる。

以前に比べて、シロは私に甘えるようになってきた。何はともあれ、元気になってくれて本当に良かったなぁ。

そうだ、折角今日休みだし何か豪華なものでも作ろうかな。

そうと決まればまずは買い出しに行って、その後に食材の下ごしらえをして、それから・・・


数時間後、シロが学校を終え、自宅へ帰ろうとしていた。

シロが家の鍵を開けようとドアノブに手をかけると、なんと鍵が掛かっていなかった。

おかしい、あんなに用心深いマキちゃんが鍵を閉め忘れるなんてことする筈がない。まさか、中で何かあったんじゃ・・・

シロは恐る恐るドアを開けた。玄関にはマキの靴が無かった。

ま、まだ何かあったって決まったわけじゃない。そう、買い物に行ったって事も・・・

家の中を進んで行きリビングに着くと、そこには置きっ放しの買い物袋、そして床には血が数滴たれていた。

そう、今までシロが気付いていなかっただけで血の跡は玄関まで続いていた。

シロの意識は今にも何処かへ飛びそうになっていたが、なんとかギリギリで堪えた。

といってもこれからどうすればいいのか、探しに行くと言っても手がかりはないし、携帯もテーブルに置きっ放しだ。

・・・仕方ない、か。本当はあの人に頼るのは嫌だけど背に腹は変えられないわね。

シロは玄関を飛び出した。その時、目の前の何かにぶつかってしまった。そしてそのまま跳ね飛ばされてしまった。


「わ、シロ!?もう帰ってたの?」

「マ、マキちゃん!?」

「あなた急にどうしたのよ、家から飛び出して来るなんて。急ぎの用事でもあったの?」

「そ、それは玄関に血の跡があって、玄関も開いてたし・・・」

「あー・・・それについては後で説明するからとりあえず中に入りましょう?」


マキは買い物袋の中身を整理した後、血の汚れの処理を行っていた。

そこ関しては昔の知識が役だったっていうか・・・

その後、冷蔵庫からジュースを取り出し、二人分注ぎシロの待つリビングへ持って行った。


「さて、何処から話せばいいかな?」

「あの血は、何?」

「あれは、私が手を切った時に床に落ちたやつよ」

「で、でも玄関まで垂れてたし・・・」

「あー、それなんだけど、実は家に絆創膏がなくって下まで買いに行ってたのよ」

「じ、じゃあ鍵が閉まってなかったのは・・・」

「鍵を閉められる状態じゃなかったもの」

「う、うえぇえぇえん!!!マキちゃん死んでなかった、良かったよぉぉ!!」

「ごめんね、こんなに心配させちゃって」

「ううん、いいの。でも、しばらくはこのままがいい・・・」

「もちろん、良いわよ」


数分後、シロはマキに抱かれたまま泣き疲れて眠っていた。

今回は何もなかったから良かったけどもし、本当に私に危害が及んでいたとしたら?

そんな事滅多にない。そうわかってるんだけど・・・絶対にないとは言い切れない。

今後は家の中でも注意しておかないといけないわね。

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