第90話4-27ガレント帰還

4-27ガレント帰還


 

 あたしたちはガレントへ戻るため精霊都市ユグリアにあるゲートへと来ていた。


 

 「この茶色の色がガレント行きのゲートだ。」


 ソルガさんの説明でどれがガレント行きか教えてもらう。

 実際、間違ってゲートをくぐるわけにはいかないので、こうして行き先を知っている人がいると助かる。

 何せ生きているゲートと言ってもその先がどうなっているかわからなければ、下手をすると水没した遺跡に飛ばされると言う事も有りかねない。


 「ありがとうございました、ソルガさん。」


 「いろいろ終わりましたらまたここを使わせてくださいな、学園にも戻らなくてはなりませんので。」


 あたしたちはソルガさんにお礼を言う。


 「何、大したことはしていない。そうだ、学園と言えばソルミナは元気にしているだろうか?」


 「ソルミナ教授ですの?」


 あたしは思わず聞き直してしまった。

 もしかしてお知り合い?


 「ああ、ソルミナは私の妹だ。」



 ぶっ!

 世の中狭いとは言うけど、実感。



 「ソルミナ教授なら元気ですよ!こないだもサラマンダー追いかけてましたから!」


 笑いながらティアナが答える。

 ソルガさんもつられて笑う。


 「そうか、学園に戻ることがあったら伝えてくれ、たまには実家に戻って顔を見せろと。何百年もふらふらしていてたまにしか連絡よこさないので両親も心配しているのでな。」


 「わかりました。それではソルガさん。っと、その前にこの子を飛ばしてあげないと。」


 「それは伝書鳩か?」

 

 「はい、先ほどこのままガレントに向かう旨を手紙に書きました。学園のみんなにも知らせておかないと。」


 ソルガさんはそっと手をティアナに向ける。


 「ならばこいつは俺が飛ばしてやろう。ついでにソルミナ宛の手紙をつけてもいいかな?」


 「もちろんです!それじゃ、この子お願いします。」  

 

 そう言ってティアナは伝書鳩をソルガさんに渡す。

 流石にエルフ、伝書鳩を怯えさせず丁寧に扱っている。

 ソルガさんは伝書鳩に何か言って肩に止まらせる。 


 「それではソルガさん、行ってきます。」

 

 「行ってまいりますわ、ソルガさん。」


 「ああ、君たちに精霊の加護を。」


 ソルガさんの声に送られあたしたちはガレント行きのゲートを起動させる。

 茶色い光が輝き、あたしたちを包む。


 ◇


 その光がだんだんと消えていった頃にはあたりの風景が一変する。

 薄暗い雰囲気の神殿の中のようだ。

 アンナさんのお話ではここは首都ガルザイルの郊外にあるファーナの神殿。


 豊作と愛をつかさどる女神ファーナ様は農民を中心に人気がある女神様だ。


 その女神様の神殿と精霊都市ユグリアがつながっているというのも奇遇だなぁ。

 しかもこのゲート、二千年以上前のモノだからこの神殿も二千年以上前に出来てるってことだよね?


 ティアナは明かりの魔法を使って内部を照らす。

 そこそこ大きな部屋みたいだけど、窓も無く正面にある固く閉ざされて扉しかない。


 「エルハイミ、今度も大丈夫なの?」


 「ええ、何というか魔力使った事には使ったのですが、それほど使った感じがしませんわ。多分、今のティアナでも余裕で使えるのではないですか?」

 

 そう言ってあたしは正面の扉を見る。


 「ティアナ、神殿にはまだ連絡来てませんわよね?」


 「ええ、最短でも明日の夕方でしょう、となると・・・」


 そう、ここまで上手くいくとは思っていなかったのでまだあたしたちがゲート使ったことは誰も知らないはず。

 となると、ここの扉も・・・


 あたしはさっそく同調して扉を見る。


 「やっぱり、魔法の封印されてるわね。」


 一足早く同調したティアナがあたしと同じく扉を見ている。

 そう、いくら使い勝手が悪いとはいえそのまま放置しておくわけにはいかない。

 なのでこう言った風に封印されるわけだけど、向こう側から来たときとか考えないのかな?


 「どうしますティアナ?」


 「めんどくさいから封印焼き払っちゃおうかしら?」



 おいおいおい、流石にそれはだめだろう!!



 「ティアナ・・・」


 「わかってるって、冗談よ冗談。」



 目が泳いでるところを見ると半分本気だったな・・・



 「じゃ、とりあえず封印の魔法を解体しちゃうわよ!」


 そう言ってティアナは封印の魔法自体をかき消し、魔力に還元して吸収してしまった。

 まあ、あの程度の封印なら今のティアナには蝋燭の火を消すほどの労力もいらないだろう。


 封印が解かれ、鍵があるのでそれもティアナがさっくりと解除して念動魔法で扉を開ける。


 すると、上に続く階段が現れた。

 どうやらここも地下だったみたいだ。


 あたしたちは開いた扉をくぐり、階段を上る。

 すると登りきったところに今度は鉄格子のカギが。


 それも念動魔法でこじ開けようとティアナがしていると、ちょうど目の前を見習い神官っぽい女の子が通る。

 年のころティアナと同じくらいかな?


 「ちょっと、そこの貴女!」


 「え?うひゃぁっぁあああっ!!!」


 いきなり声をかけられた女の子は驚きのあまりしりもちをついてしまった。

 まあ、普段使われていない鍵かけられた鉄格子からいきなり呼ばれれば誰だって驚くだろう。


 「あ、ごめんごめん、驚かせちゃったか。私はティアナ=ルド・シーナ・ガレント。悪いんだけどここ開けてもらえない?急ぎ王城に戻らなきゃならないの。」


 「え?ええ??」


 いきなりの事にまだ混乱しているようだ。

 仕方ない。

 あたしはさっさと鍵を念動魔法で解除して鉄格子を開ける。

 

 「この方はガレント王国がティアナ姫ですわ。訳有って急ぎ古代魔法ゲートを使って魔法学園都市ボヘーミャからお戻りになられましたのよ。取り急ぎ司祭様に引き合わせてくださいましな。」


 そう言って彼女に手を差し伸べる。

 彼女は恐る恐る手を差し出しあたしの手を取る。


 「私はエルハイミ=ルド・シーナ・ハミルトン。あなたは?」


 「わ、私はファルって言います。」

 

 「ではファルさん、お願いできますかしら?」


 彼女は立ち上がりコクコクと頭を縦に振ってからあたしたちを案内する。



 そしてあたしたちは司祭様に会いに行くのだった。

 

 

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