第17話

「これがレマリア王国軍の歩兵装備なのか?」


「ええ、英雄殿。」


案内する兵士が構え、撃ったライフルは600mは離れているであろう所にある、我々の使用するプレートメイルを見つけた案山子を撃ち抜いた。


「…弓では勝てんどころか無効化されたな。長弓ですらこの距離では当たらん。」


「我らが陛下のご考案による物です。」


あの王は兵器開発にすら才が有ると。


「普段、君はどう扱うのだ?」


「これに銃剣、ナイフですね。それを取りつけ扱います。接近された際に槍のように扱えるように。」


これを集めて使えば騎兵突撃も防げるか。考えられている。まさに傑物。


「陛下にお会いしたい。取り次いで貰えないだろうか。」


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「陛下、私は貴方に忠誠を誓いたい。私は貴方のような主君に出逢いたかった。」


ほう、面白い。彼が全快する迄にひと月はかかった。それから3日ほどの事である。希望通りに一般的というか試作品のXМ1845は見せたが、他に何もしていない。


「良かろう。俺は王都に戻る。それについて来い。」


「はい、陛下。」


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「レマリア王国統帥会議を始めます。」


メアリ宰相の言葉で会議が始まる。

暫くは税収の安定や装備の充足率や兵員の補充計画等の一般的な国務が話される。

この様な事を新参者の私が聞いて良いのだろうか。


「アルベスター大尉でしたか?」


メアリ宰相から急に声がかかる。


「はい。」


「…確か、王国騎士のアルベスター?」


軍務卿のローランツ閣下が私に問いかけそれに頷く。


「へぇ、なんでこんな所に。」


「俺が連れてきた。」


「成程、俺はジョセフ・ハウト教皇騎士団大将だ。お前を副官にする。」


階級制度は教皇騎士団にも持ち込まれた。騎士候補生達が貴族・平民の出身を問わず軍学に勤しんでいるらしい。


「ありがとうございます。」


教皇騎士団の軍服は白い。動きやすく、帯剣や拳銃装備の為の配慮もなされデザインも良い。レマリア王国軍服は黒に近いグレー。高官用途以外は拳銃装備のみの略式品。陛下が身につけられているのは純金飾緒に各種勲章に陛下専用にドワーフの鍛冶師が鍛え、エルフが術式付与を行った長剣が腰に帯びてある。


「そのつもりで連れ帰ってきた。それで、メアリ。話とは何だ?態々ナオとユウキまで、本国に呼び出して。」


「勿論、陛下の婚儀についてです。王家の血を繋ぐの事は必須ですので。」


確かにそれは重大な問題だ。その時、会議室の扉がノックされる。


「陛下。失礼します。」


「入れ。」


アルドレス近衛少将が入ってきた。


「陛下、マグノリア王国第一王子と第一王女を名乗る2名がこちらに現れました。」


「通せ。私なら彼らの顔が分かる。」


数分後近衛兵10名ほどに連れられた2人の少年と少女が現れる。


「お久しぶりです。ヴァン陛下。」


一礼し深々と頭を下げる王子。


「久しいな。クルツ王子殿。ヒルデガルト殿。何用で参られた。」


「今更ながら祖国の惨状に目を背けられず、3000の兵を率いてやってきた次第です。それに良ければ我が妹のヒルダを。」


これは片付いたかもしれない。

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王家に近しい大公家の次男。ハイエルフの長老であり、最大規模の領地を持つ大貴族。そんな家の王都の最高責任者であり現当主の息子、次期当主の弟となり、行く行くは当主の叔父になる俺に王家との縁談が来るのもおかしくはないだろう。実際話は有ったし会ったこともある。だが、王の伯父が死に喪中で話が中断してるうちに新たに婚約者が決まり、流れたが。ヒルデガルトは記憶が正しければ仲というか関係は良好ではないハズだ。


政治的に考えよう。俺は国王、子は必須。そこら辺の娼婦との間に子を作る訳にもいかない。国母たる妻は必要。更に、マグノリアへの侵攻後の後始末を考えると併合してしまっては大義が薄れる。かと言って王族を残す訳にもいかない。故にきたクルツ王子に王位を継承させることはまぁ、いい案とも言える。それは結構だ。問題はヒルデガルト、俺は彼女が好きではない。


「ヒルデガルト殿と?いや、クルツ殿へのマグノリア王位継承は全く問題ないと我々は考えているし、私は賛同しよう。ナザレ同盟諸国には我々が働きかけても良いと考えている。そうだな、宰相。」


「ええ、構いません。」


「…私も同意した話です。ヴァン陛下のご慈悲にお縋りするほかなく。陛下を嫌っているという訳ではありませんし、婚約の話が出た事ものある相手であり一国の王であるならば望外に等しいものです。」


俺は気が進まないのだが。沈黙を保つナオとユウキには不穏だし。

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