第44話 ミスターXの試練(後編)
その男は
端正な顔立ちに長い髪
そしてエルフ族のような長い耳
だが黒髪に黒い瞳
通常のエルフ族とは異なっていた
そして左目に眼帯をしている
凄まじい力を覆い隠すように
そして彼は名乗った
「俺はミスターX」
「今回はすまねぇ」
「お前らの力を試す為だったんだ」
「その為に私たちにワタルを攻撃させようとしたの?」
自分が勇樹を傷つける
それは絶対にあってはならない事
それを強要されたのだ
愛の目が一気に殺気を帯び始める
それを感じ取ったのか慌てて言い訳を始める
「いや この空間の中なら戦いで傷ついても外に出れば無かった事になるんだ」
「たとえ死んだとしても元通り!ってな」
「傷を負った痛みも最小限に抑えてある」
「それにしたって趣味が悪いんじゃねぇか おい?」
「やり方が気に食わねぇな」
ナノも大層ご立腹だ
ルナとリーウは怒りの余り
唸り声を上げている
彼が、少しでもおかしい動きをすれば
たちまち飛び掛かるだろう
「いや マジで悪かった」
男は深々と頭を下げる
「こうでもしないと本当の実力は分からねぇだろ?」
「こうするしかなかったんだ」
「こっちも切羽詰まっててな」
そして、今回の行動に出た理由を説明し始める
それはにわかには信じがたい内容だった
しかし、真実だとすれば大変な事態である
「この人は嘘は言っていない」
「それで僕たちの実力はどうでした?」
勇樹は男に問いかける
「正直想像以上だ」
「そうでなければ理由は話さない」
「頼む どうか力を貸してくれ!」
再び頭を下げたその姿には
悲壮感さえ漂っていた
「もちろん いいですよ」
即答だった
「まじかよ!? そんな即断でいいのか?」
「話が真実である以上、断る理由はないですよ」
「だがよ お仲間は納得しないだろ?」
「勇樹が決めた事に私たちが反対するわけないじゃない」
「それによぉ 俺たちだけの問題じゃないようだしな」
「私は愛様に従うのみです」
「勇樹様のお側にいる事が私の使命ですから」
「世界中を探し回った甲斐があった」
男の言う世界中と言う言葉が
様々な異世界の事を指しているのは明白だった
それは、男が異世界間を自由に移動できるという事
語られた内容の信ぴょう性が更に増した
「お前たちを見つけられて」
「本当にラッキーだったぜ」
男は今後の詳細を勇樹に説明し
「すまなかったな じゃあ頼んだぜ」
「はい 出来る限りの事はするつもりです」
「それじゃ またな」
そう言うと男は姿を消した
文字通りその場で消え失せたのだ
男が消えると同時に
勇樹たちは現実の世界に戻された
「僕たちがここに来たのは偶然じゃなく」
「必然だったのかもしれないね」
男が話した真実は
勇樹にそう思わせずにはいられない内容だった
AI(愛)は異世界を救う ゴブリン三等兵 @Saikyouseibutu-Goblin
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