第32話 ギフト

「ティナ…」僕は王宮へ走る途中でティナやミスやリルのことを思い浮かべた…

すると頭の中にティナの声が…


「ダ、ダーリン!今、何処にいるの?」「パパ!」「パパだ、パパだ!わーい!」


「今、エメラルダの森の入口に…それよりナギさんが大変なんだ!今、ムラサメが人を呼びに行ってる…人手が必要なんだ。」「分かったわ…こっちもみんなを連れていく…お父様にも頼んでみるわ!」「ありがとう…鍾乳洞の中にナギさんが…お医者さんが説明してくれるよ…場所はね…」


僕は森の中の岩肌を調べた。しかし、お医者さんから見せてもらった辞典の絵のような薬草が見つからない…その時、ミスとリルの声が聞こえる…「パパ!」「いたいた!」ミスとリルが突然目の前に現れた。


「お前達…テ、テレポート?」「あはは…」「パパ見つけたよ!」「パパね、今薬草を探してるんだ!」「じゃあ、僕らも一緒に探すよ!」ミスとリルと三人で岩肌を探す…


しかし薬草は見つからない…時間が経つに連れみんなに疲労と焦りの色が出てきた。


優也は一旦ナギの様子を見に帰った…

そこにはお医者様と一緒にティナが付き添っていた…優也の顔を見てホッとするティナ…


その時、急にナギが咳込んで吐血をした…

「いかん!毒の回りが早い!このままでは…」ティナもその場に駆けつけた。ムラサメももう、どうする事も出来なかった…優也は自分の祖母が亡くなる時に子供ながらに背中をさすってあげたことをふと思い出した。ナギを横にして優也はナギの背中を一生懸命さする…ダメだ…絶対死んだらダメだ…優也の頬を涙が伝う…


優也の優しい心にムラサメは自分の武力の意味の無さを痛感し、ティナはその博愛の精神に改めて自分の心の小ささを感じていた。


その時、優也の手が少しぼうっと光を帯びた…ナギは心なしか楽になったような感じに見えた…


「不思議だ…毒の回りが遅くなっている…

こんなことが…」お医者様はナギの様子を見て…「しかし…時間を稼げても薬草が無いと…」


優也は諦めたく無くてもう一度薬草を捜しに行くために立ち上がった…すると…鍾乳洞の入口の光の中に小さな影が見えた…その影はこちらに向かってだんだん近づいてくる…優也はその影をじっと見つめた。


その影はいつも優也が仲良くしているオオカミだった…オオカミはナギの側にくわえてきた物を置いた…「こ、これは…スクリュード!さ、早速すり潰して姫に…」


…それからしばらくしてナギは目を覚ました…「ここは…そっか…私、目眩がして…」

「姉ちゃん!良かった!ワイは…ワイは…」

「もう少ししたら動いても大丈夫でしょう。

それでは…」お医者様は先に帰って行かれた。「優也さん…ゴメンなさい…私…」

「お礼はコイツに言ってくださいね…薬草を…あれ?アイツ…」


オオカミの姿はもうそこには無かった。

そこにいるみんながオオカミに心の中に感謝の言葉を浮かべていた…


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