第30話 抑えていた自分

「ママー!えーん!えーん!」


「ママー!パパがー!」


ミスとリルの鳴き声はテレパシーとなり、王宮のティナの元へ届いた…


「あの子達だわ!」


ティナは国王室の隣の応接間のドアに魔法をかけて一瞬でエメラルダの森にやって来た…「ミスー!リルー!どこなのー!」


ミスとリルはティナを見つけて駆け寄る…


「わーん!ママー!パパが何処かへ連れて行かれちゃったよ…」


「あ…」


ティナを軽い目眩が襲った…


「ナギ…」



エメラルダの森の中の鍾乳洞では拘束された優也が手足を縛られた状態で横たわらされていた。


「大人しゅうしといてや。今、姉ちゃんを連れてくるさかい…


しばらくして優也の前にナギが現れた…


「これは…優也さん…どうしたのですか?今すぐ縄を…」


「おっと、その必要はないで。姉ちゃん…」


「ムラサメ…あんたが…こんなことして…」


「こんなことして…?こうでもせーへんかったら姉ちゃんはどうなるっちゅうねん。ワイは姉ちゃんに想いを遂げて欲しかったんや。さあ…自分の気持ちに素直になりいや!」


「自分の…気持ち…」


ムラサメの言葉に優也への気持ちを抑えていたナギの心のタガが外れてしまった…


「優也さん…私、優也さんのこと…」






「何?婿殿が連れ去られた?相手はソーディアの…うぬぬ…マサムネの奴め…」


ソファーに伏して泣きじゃくるティナに怒りを露わにするゴルド前国王。


そんな二人を

シルヴァとミスとリルは心配そうに見守る…


「早速ソーディアに使者を送れ!


事と次第によっては戦争じゃ!」







ナギは優也の口唇を見つめて身体を抱きしめる…


「ナ、ナギさん…」


「好きです…優也さん…」


お互いの鼓動の音が伝わる二人の口唇と口唇の距離ははどんどん近づいて行く…

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