ショート・ショート×怪談、その意味を作者様は知り抜いている。それが真っ先に浮かんだ感想だった。
ショート・ショートは難しい。極限まで文章量を削り、なおかつ起承転結まで盛り込まねばならないからだ。少なくとも、私にはいくらでも表現を盛れる短~中編の方がよっぽど楽に書ける。かくも難しいショート・ショートだが、非常に相性が良いジャンルが存在する。それがホラー、特に怪談である。
ラヴクラフト御大も言っているように、人は未知を恐れる。怪談とショート・ショートを掛け合わせれば、短さ故に全ては語れない。否、あえて語らない。だからこそ、読者は書かれた文章の裏に広がる、書かれなかった背景を想像する。それはきっと、明示されているものより遥かに忌まわしく、そして魅惑的でもあるのだろう、と。
作者様はこのような、ショート・ショート×怪談の相乗効果を計算して書いている。何故なら、全エピソードでこの姿勢が貫かれており、結果として高い水準を実現しているからだ。断じて偶然で為せる業ではない。
怪談を通して覗く、無限なる幻妖宇宙をご堪能あれ。
ホラーの短編連作集です。
もう、短編のお手本のような作品がずらりと並んでいます。
一話あたり、何文字なんでしょう……。
この文字数で状況と恐怖を読者に伝えるのですから、もう……。
巧い……。うなるしかない。
おまけに……。
小タイトルがまた上手いんですよ!
「ちょっとだけ、時間があるから読もう」と思って、一話読んで……。そしたら、最後に次話のタイトルが出るじゃないですか。
「……読まなあかんやんけ!」
それぐらい、タイトルもお上手なんですよ……。
内容は、あらすじにもあるようにクトゥルーが多いように思いますが、煌びやかな文章とじりじりと迫る恐怖の描写に、どんどんのめり込んでいきます。
面白かった。
ほんと、怖くてよかった。
おすすめです。
私もカクヨムで奇談を書いているが、私の作品と比べて、一段も二段も上手な作品がごろごろしている短編集で、とても感心した。うまいものだ。
同じようなアイデアの作品を私も書いているのだが、どうしてこうも違うのだろう。才能と努力の差であろうか。
文章を書く基本的な能力が高い。また、読む人のことを考えて、丁寧に書かれている。
文章から映像が浮かびやすい。しかも、浮かぶだけでなく、おもしろい情景を脳内につくりあげてくれる。
ストーリーも、私が想定した以上の締め方をしていたり、オチがわかっていても書き方がうまかったりと、参考になる作品が多い。
異常な世界のことを書いているのにリアリティがあるのは、文章の巧さと、得体の知らないものに対する恐怖、言い換えると、私たちに具わっているプリミティブな恐怖を扱っているからだろうか。
個別の作品の話をすると、13話「社」から17話までが特によい。
作品の中でいちばんよかったのは「社」。
皆、一度はこういう作品を書いてみたいだろうなと思ったのは15話「恥」。
16話の「丸く」は、日常から非日常への切り替えがスマートで感心した。
私の作品を読んでくれている奇特な方々には、ぜひ読んでもらいたい。おすすめの短編集である。