第11話B-3名前はソロ
「ソロ!大丈夫!」「ミャゥ」
何だ。誰か来たのか?
見えない。
もう何も。
「いた!うわちゃぁソロぉ」
どうした?何かあったのか。
「ミャゥ」
「ソロ。いい?落ち着いて聞いて」
主人が死んだだと?
何をバカなことを。
「信じたくない気持ちはわかる。
でもねソロ。これは事実なんだよ」
わかっているからソロはそんなに落ち込んでいるんでしょ?
先輩は口元に置いたスマホを今にも泣きそうな顔で見つめていた。
私は主人とあの後、話をしたんだ。
主人を説得もした。
しかし、ダメだった。
「詳しく聞いていい?」
主人は本当にクミと別れたかったのか?
と聞いたんだ。
「そうだよね。追いかけるべきかな」
と俯いてはしどろもどろになりその姿は見ていられるものではなかった。
聞こえていないと知りつつも私はすぐに追いかけてはカッコがつかないという主人に向かって、
私にはそうは見えないな。
追いかけてやれ!女はそれを待っているものなんだろ!と言ってしまったんだ。
「ひゅぅ、やるね?ここでそのセリフ使うなんて」
だが、主人は聞こえていない。
いや、もしかしたらという場面がなかったワケではないが。
「おや?」
あぁ、部分的には聞こえていたのかもしれないな。
そのセリフのあと泣き崩れていたからな。
私はさらに畳み掛けた。
主人はクミがいないと幸せになれないはずだ!と。
「言ってくれんじゃん」
そのあとは主人の走馬灯が私に流れ込んできて、
あぁこんなに幸せな生活を送っていたのかと思い知らされたよ。
だからこそ、理解できなかった。
何故我慢してまで、自分を裏切るようなマネをしてまで、別れたのか。
クミの話も聞いたよ。
元々動物苦手だったんだってな。
私くらいの中型犬に噛まれたことがあるのか。
少しでも主人に近づこうとブリーダーの勉強をしたりして動物の知識を蓄えていく内に動物が向こうから話しかけてくるようになったとかな?
最初に話しかけてきたのは公園の鳩だったんだって?
集団行動の苦手な鳩の一人が群れからハグれてクミに道を尋ねてきたと聞いた時は流石に笑ったぞ?
ありがとうと飛んていく鳩に手を振るクミはそのあとヒドく母親に怒られたらしいな?
「みんな聞こえないとは知らなかったんだもん」
忘れてたんじゃないか?普通は聞こえないもんだぞ?
あの、、良かったらウチで話しませんか?
いや、遠慮しておく。
私の主人はエルリック・エデューソンただ一人だ。
私は彼の遺した書物と共にこの遺跡に眠ろう。
この数百年後、ソロの宣言をエンヴィ家が代々受け継ぎ、エリィのアトリエは高名な作家の生家として遺跡に認定された。
のちに教科書に掲載されることになった肖像画にはそれぞれが一人で描かれるものの中にエルリックの画だけはエルリックに絡むクミとソロとミャウの姿が描かれ一際異彩を放っていたとか。
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